その21
長らくお待たせしました。
『前略勇者様…』に浮気をしてしまいこっちを全然進めれてませんでした!
なので、お詫びも兼ねて今回は“糖度高め&長め”でお送り致します!
それではどうぞ!
「あ、あのユフィさん!」
「ん?」
「…わ、わたしって…何かに追われてたりするんですか?」
「…」
「お、教えて下さい…!」
自分でこんなことを言い出すのはとても恥ずかしいんですけど先程サラサラヘアーさんが言っていた事が頭から離れません。
ユフィさんは暫く黙ってから何かを考えてこう言った。
「……わかった。ちょっと待ってて」
そう言うとユフィさんはハルさんに向かって何かを命令してサラサラヘアーともどもどこかへ行ってしまいました。
そしてひとり落ち着いていると回りも見えてくるわけで、
「…うわっ、部屋…ぐちゃぐちゃ…!」
折角ユフィさんが用意してくれた部屋が酷い状態です。布団もぶわっさぶわっさと夜風に舞ってしまって、それに扉は貫通して……え?
「ええぇ、なんで!?貫通!?だ、だだ誰が!?」
ぎょっとして思わず布団をつかんでしまう。よくよく見れば小さなテーブルも壊れてます。…わたし、よくこの状態で寝てたな!
自分の神経の図太さに半ば呆れていると、ユフィさんが入って…いや、穴を潜ってきました。
「ごめんね、お待たせ…これよかったらどうぞ」
「あっ、ありがとうございます!…紅茶?」
ユフィさんが手渡したのはこれまたラベンダーの香りのするお茶でした。
「そう。ユリオっていってね、安眠効果があるんだよ」
ほーと思いながら口を付けると、スッキリと飲めました。薬草って癖のあるものは凄いから、少し身構えてしまったけど思いの外飲みやすいもので安心しました。
「さて、さっきの話の続きだけどね」
「…っ」
ユリオの紅茶によって解れた身体に、ぎくっと緊張が走るのがわかります。
なんて言われるのでしょう?
「実は…」
実は?
「僕も詳しい事はよくわからないんだ」
「はッ…!?」
あ、危ない。思わず「はぁ!?」って言いそうになりました。咄嗟に口を押さえた自分、グッジョブ。
気を取り直してもう一度聞いてみる。
「…そ、それは…どういうことですか?」
「あ、ごめん。さっきのじゃあ言葉が足りないね。じゃあはっきり言うね。かれんは追われてるよ」
「…っ!?」
「…いや『狙われてる』の方が適切だね」
あはは、と笑ながらユフィさんは話しています。
いや、どっちにしろヤバイことには変わりがないんですね。というか、笑える話ですかね!?これ!
「え、その、なんで笑ってるんですか?」
「ん?…あぁ、もしかして身構えてた?」
「そ、そりゃもちろん…!」
わたしがそう言うとユフィさんが椅子から腰を上げて、わたしの隣に腰を降ろしました。
「ふふ、大丈夫だよ」
「ひょわ!?」
ユフィさんはその手でわたしの右頬をさらりと撫でて、くいっとわたしの顎を掴みました。
「かれんはあいつらなんかには渡さない。…誰にもね。安心して」
おうふ、ユフィさんはわたしを殺す気ですかね。にっこりと微笑まれてしまってはわたしは何も言えませんよ!…はぁ、時としてこの美貌は凶器となる…って、現実逃避してる暇はないのですよ。
わたしはどこかへいきそうになった魂を自分の中へ戻して、力一杯こう言いました。
「…で、でも!さっきみたいになったら…!」
「もしかして、かれんは僕の事疑ってる?」
「…ぐっ」
いや、はっきり言いますけどね、疑ってますよ!だってさっき侵入されたじゃないですか!!
…とは言えません。なんてチキン。…というか、なんか話すり替えられてません?
「そっそれより!ユフィさんが知ってることを教えてくれませんか?は、話すり替えてません!?」
「…バレた?」
可愛く舌を出されても、困りますよ。…でも美形がやればさまになる…!というかわたしの頬がぼぼっと真っ赤になってしまうのですか、どうしてくれるのでしょうか!
「ふふ、照れちゃって…かわいい」
目線を逸らしていたわたしの目の前に屈みこんでそっと呟いてきます。
「うわあああッ!もう!照れてますよ!それがどうかしましたかっ?!話を戻して下さい!」
「…ププっ…」
こんな攻防が続き、やっとのことでユフィさんから聞き出せたのは、それから30分は経っていました。
「要は、さっき侵入してきた人が何故かわたしを奪おうとしていて、ユフィさんはそれが気に入らないと?」
「…ん、まぁそうだけど…大部省略したね」
そうなのです。
30分先程のような攻防をしていたと見せ掛けて実は、ユフィさんは親切に事細かに詳細を説明してくれたのですが…
「…ふわぁ…」
おっと、欠伸が出てしまいました。失敬。
でもですね、今夜中なんですね、眠すぎるのですね。…自分から話を振って申し訳ないのですが。
「…そうだね、流石に眠いよね」
「すみません…自分から振っといて…すこー」
「え?」
────はっ!?……いやいや、寝てませんって。
「な、なんのことでしょう?!」
「…あ、いや、何でもないよ。…くふっ」
口に手を押さえているユフィさんについてはノーコメントです、えぇ。なんで笑っているのか?なんて墓穴は掘りませんからね。
少し居心地の悪くなったわたしは、こう切り出しました。
「あの、…その、そろそろ寝てもよろしいでしょうか?」
「ん、…くふっ…。…あぁそうだね、寝よっか」
そう言って、もそもそとわたしのベッドに入ってくるユフィさん。
「はっ!なっ、えぇっ?!」
「どうしたの?」
いや、どうしたの?じゃあないですよねっ?!え、おかしいのわたしだけなやーつですか?違いますよね!?
「ななな、なんで」
「なんでって…寝るから?」
「な、なぜ一緒!?」
あせあせ焦っているわたしを見てユフィさんは、ふーんと言いながらわたしに詰めよってきます。
「なにか問題あるかな?僕たち兄妹だよね?」
「そ、それとこれじゃちょっと違うというか…」
「…それに、ほら。」
ユフィさんはピッと指をさす。
「扉が貫通してるし、危ないだろ?またああやって入って来られたら僕が傍に居ないと、今度こそ連れ去られるかもよ?」
「む…っ」
それを言われてしまうと何も言い返せません。
というか、わたしの心境はこれ一つ『早く寝たい』なので、もういいっかなぁと思ったり。
それにお兄ちゃんと一緒に寝るなんて、本当何年ぶりでしょう。なんかまた神様のお告げが聞こえました。『この期を逃すな』って。よってわたしは久しぶりのお兄ちゃんを堪能すると致しましょう!……あ、いや、ユフィさんがお兄ちゃんだとはまだ断定出来ませんけど。
「わかりました。じゃあ、お願いします…」
わたしはそう言って、またもそもそ布団の中へと入ると、先に横になっていたユフィさんがこちらに腕を広げて
「…こっちおいで」
──そう言われた瞬間、またもやお兄ちゃんがフラッシュバックして
耐えきれずわたしはユフィさんの胸板に頭を直撃させました。
「…ぐっ……?!」
「……」
ふわっと柔らかな、懐かしい香りがします。
──そう、お兄ちゃんの
男くささのない、なんとも形容し難いあの、お兄ちゃんの…
「…ぉ兄……」
「…?なに?」
ユフィさんに何か問い掛けられた気がしますが、もう無理です、眠い!
「…ねぇ?」
「すこー」
「…あ、…寝たんだ。……ふ、おやすみ」
そして、一瞬にして寝てしまったかれんを撫でながらユフィも共に眠りにおちた。
そして次の日の朝、
1つの布団を共有しているユフィとかれんを見て怒り狂った、ハルヴェストの声を目覚ましに二人は起きることになる。
数ヵ月放置してしまったのを見捨てないで読んで下さった皆さま、ありがとうございます!
今回はサービス回でして、ユフィの糖度高めでお送りしました!どうだったでしょうか?
改めて見返してみますと、…ほんと、話が進んでない!に尽きますね。
ですが、この話はこんな感じでだらだらと続く予定ですので見捨てないでやって下さい。
それと、前書きにも書きましたが
『前略勇者様。わたくし魔王は反省して貴方の侍女となります。』の勇者sideをUPしました!
この話に比べると、ばりっばりのシリアスでお送りしてます。(一応恋愛もののつもりが)
お気に召しましたらどうか閲覧してくださいませ。




