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その18

「はわわわぁっ…!」


わたしの目の前にあるのはサックサクのミートパイです。パイは沢山バターを使ったのでしょうか、一口ぱくりと口に含むだけで『じゅゎっ』とバターの旨味が流れ出てそれに続きミートの旨味も出てきます。

…………おいしいです…!!


「おう、嬢ちゃん旨そうに食べるな!」


そう話掛けてくるのはミートパイ屋さんのおじさんです。ここは大通りらしくて日本の祭の出店のように沢山の屋台があります!人も沢山居てとても賑やかです。…昨日ここを通ったなんて思えません。


「はい、これとっても美味しいですー!」

「おうありがとな~!これはうちの看板メニューなんだ!そこの兄ちゃんもどうだい?」

「…じゃあひとつ貰おうかな。はい200ルアン」

「はい!まいどぉ!」


ユフィさんも続けてミートパイをさくさくと食べてます。


「所でかれん」

「もぐ?」

「…本当にこれだけでいいの?」


そう言ってユフィさんはわたしの手持ちのバックを指差します。

…あ、因みに服はユフィさんのコートを借りました!制服姿だと変な注目を集めてしまうので。


「はい!生きてくには充分ですよ!」


普段着、下着、ハンカチ、靴下、靴、くし、ゴム。これさえあればきっと充分なはずです…多分!

…まぁ何か足りないものがあったらお金貯めて買います!


「でも…ネックレスとか装飾品はいらないの?」

「むーん…大丈夫です!」


ユフィさんには食費とか生活費まで面倒を見て貰うので、これ以上負担を増やしたくないのですが…強いて言うのならハンドクリームですね!わたし結構手荒れるんですよ…ですが


「さっきミートパイも買って貰っちゃいましたし、充分です。ありがとうございます!」

「んー…かれんがそう言うなら」


ユフィさんはなんだか不服そうな顔をしてちょっと考え事をしています。

暫くすると顔がぱぁっと明るくなりました。


「あ、じゃあ何か足りなくなったら遠慮なく言ってね!」

「おっけーです、その時は頼みます!」


するとユフィさんはふんわり笑いました。

…はぁ癒される…!






その後わたしとユフィさんは家に帰り食事やお風呂を済ませて各々の部屋に別れました。

食事はユフィさん特製のハヤシライスでとっても美味しかったですー!はぁ…明日も同じもの食べたいです…!

そしてお風呂ですが木で出来ていました!檜の香り的なやつで元の家のお風呂より極楽でした。



ぼふっ


「ふー」


わたしは自分の部屋のベットに俯せで倒れ込みました。ほわんとラベンダーのような香りがして落ち着きました。それにとっても良い香りです。…ここに初めて来たときはしなかったのに何故でしょう?


「ま、いっかー」


そこまでふかふかではありませんが、程よい固さで気持ちいいです。


「………」



やることがないとどうしても考え事をしてしまいます。



今日の1日で沢山の事がありました。


起こったことすべてが現実離れしていて、未だに夢なのかなって思ったりします。

ユフィさんに命を助けて貰って、自分は恩返しをするって決めたのに…


皆…わたしが居なくなって驚いてるかなぁ

……きっとわたしが居なくても皆は生きていて………わたしのことなんて……きっと


忘れてしまう



「――……ぅっ」




駄目です。こんな辛い時こそ笑っていなければ。

一度泣き出すと止まらなくなるので



…楽しい事考えます



…あ、そういえばユフィさんとお兄ちゃん。ほんとうに似てます…

むーん、これはわたしがトリップしたのと関係があったりするんでしょうか?

昔お兄ちゃんが居なくなったのは異世界に行ったから?それとも全く関係ない?


………考えてもわかんないので、自分が都合の良いように解釈してしまいましょう、はい!



わたしの見立てではユフィさんは実はお兄ちゃんと同一人物なんじゃないかなーって思います、多分……いや、でも判断材料が少なすぎます…てかわたしがそうだったらいいなーって思ってるだけで実は生粋の異世界人だったり……そうですよね寧ろわたしの世界の人だった方が驚きますもん



むきゃーー!駄目だ、わたしは考えることが苦手です!

ユフィさんとお兄ちゃんの繋がりは後々確かめることにすることにします!


とりあえず、寝よう。



わたしは布団の中に入って、サイドテーブルの蝋燭の火を消して無心で眠った。








――ぎぃっ


ユフィはそっとかれんの部屋の扉を開けた。

すると部屋の中は既に真っ暗で蝋燭の火は消してあった。


そっと何かを唱えると、彼の左手にぽわっと優しい光が生まれた。

そしてそれはベットの中ですやすや寝ているかれんの額へと優しく照らされた。ベッドはふわっとユリオの香りがした。ユリオは安眠作用があるため、かれんが風呂に入っている間に霧状にしたものを振りかけておいた。



よく見ると彼女の目元には涙の後が見える。

ズボンからハンカチを出し、また何かを唱えてハンカチを湿らせた。そしてそれを彼女の目元に持っていき優しく拭う。


「……お…にぃちゃ…」


きゅっと胸が締め付けられた。懐かしいような愛おしいようなそんな思いが何故か湧いてくる。

まただ。ユフィはそう思った。


これはかれんと初めて会ったときも、かれんが目を覚まして泣き出したときに抱き締めたときも、フィデレフに…されたときも、ライフに蹴り飛ばされて泣き真似をしていたときも



かれんとは一度も会ったことが無いはずなのに



理解出来ない想いを不思議に感じながら、かれんの頭を撫でるとかれんの部屋の扉を閉めた。





今年の更新はこれで最後になります!

今回はシリアス(…になってるはず!)が

多目だったので次はギャグ(という名の馬鹿騒ぎ)を

入れれたらなと思っております。


あとこの物語に出てくる人の名前や地域の名前、植物の名前は作者が直感で決めてるものなので実際のものとは全く関係がありません!

今回のラベンダーもといユリオもそうです!



それでは皆様良いお年を!

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