↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/27

その11


お待たせ致しました!


今回は別視点です!

「…こんなところか」


赤髪ををオールバックにした壮年の男は、紙を何枚か重ねた資料に軽く目を通して、それを俺に渡した。


「そこに書いてあることは極秘だ。目を通したら処分するように。そして即刻少々をこちらに連れてくるように」



俺はその資料をぺらりと捲ってみた。


「…名前が書いてないのに、何故このような余計な事は書いてあるのですか」


「流石にわたしでも名前まではわからん。あれは完璧なものではないしな。…それに余計な事ではないと思うが。このような若い娘のスリーサイ…」


「それ以上は結構」


「お前は真面目だな、もう少し…」


「話が終わったようなので失礼します、では」


「…覚えろよ、それ全部」



バタンと重厚そうなドアを閉めて俺は自分の手にある資料を見つめた。

…上司である彼からの命令である。

それに俺は命令は完遂しないと落ち着かない質だ。


「…………」


不本意ではあるがこの名に掛けて、この資料を暗記するしかないようだ。






何枚も纏めてある資料だか、書いてあることは至ってシンプルだった。ある少女の顔立ち、おおよその体力、髪や瞳の色、身長、体重…などが記されていた。

我上司ながら凄いと思う。あの方の情報網を侮ってはいけないと、改めて感じた。

さて、話しはそれたがこんなことは5分もあれば覚えられる。


だが、問題はその先だった




相手は若い娘だ。

町にでも出て最近の若い男の言葉遣いやら仕草を学んでこい




最後のページには太い筆のようなものででかでかと書かれている。これは彼の直筆だろう。


…結局は彼はこれを伝えたかったようだ



何十回、何百回言われただろう。もう少し最近の若い人たちのような言葉遣いを覚えろと

彼は俺の堅苦しすぎる言葉遣いが気に入らないらしく毎度毎度ことあるごとに言われ続けている。

上司と部下の関係なのだからそこは許してほしいと思うのは俺の我儘なのだろうか。…いや、これは上司の我儘だろう


今までは必要がないからと避け続けていたが

…今回は相手は恐らく異世界の人物。

何があるかわからない


「…………」



やるからには今の面影が残らないくらい徹底的に成りきってやる。その誓いを胸に俺は町へ繰り出して行った。






「じゃあ、頑張って君のハニーを喜ばせてあげてね!」


「そおよぉ、マイダーリンの真似さえすれば女なんてイチコロなんだからぁっ! あなた格好いいんだからいけるわよ、絶対!まぁマイダーリンには勝てないけどねぇ!」


そうやって俺を励ましてくれているのは、偶然城下のカフェであった新婚だった。

俺が女を落とすテクニックや言葉遣いを教えてほしいと頼んだら快く了承してくれた親切な人達だ。



そして俺は彼らからの教えを胸に資料に記されていた薬屋を目指した。




暫く歩くと目的地は見えてきた。

一見すると森だ。木やら花やらが鬱蒼としており何処が入り口か分からない。

だが目を凝らして見てみると、申し訳ない程度の濃い茶色でできた扉が確認できた。多分これが入り口なのだろう。

資料には薬屋とあったが、ほんとうなのだろうか。


どうみても店を営業して、客を呼び込んでるようには見えない。そもそも何故彼は薬屋をしているのだろう。彼の給金は十分すぎる位あるというのに。

彼は謎だらけだ。今回は少女を保護すると言い出すし…こちらは予定を狂わされまくりだ。


そんなことを思いながら扉をくぐり、そのまた奥にある店の入り口らしきものを開けた。


――カランコロン



すると、店のカウンター辺りでうとうとしている少女を発見した。そして俺を見るとパチっと目を開き慌てて挨拶をしてきた。


その少女は、見事過ぎる位美しい金髪に、日焼けを知らない程の白い肌、頬はうっすらぴんく色で、果実のように瑞々しそうな唇。それに瞳の色はぴんく―――


誰だ、この人は。




資料によれば、少女は黒髪黒目の少女だとあった。…さてはまた別の子も引き取ったのか?

いや、髪の色と瞳の色以外は全て同じだった。それに見たこともないような服も着ている…



そういえば彼は魔術師だった

きっと魔法をかけられたのだろう


そう考えれば合点はいく。



そうして俺は彼から教えて貰ったテクニックをもとに行動に移した。



まずは目的の少女をこちらに呼び寄せた。そして、商品を教えて貰うふりをして、少女の好みを探るのだそうだ。


なので俺は何故ここで売っているのか理解出来ないが、媚薬のようなものを幾つか手に取り、お勧めを聞いてみた。


因みに俺が手に取ったのは、「意地悪な彼を」「意地悪されたい彼を」「新婚のように甘甘な彼を」

前の二つはどうすればいいかわからないので俺的には最後のものを選んで貰いたい。


だが少女は好みのものがなかったようで、動揺しながら黙っている。


そこで俺は出し惜しみしていた袋を見せた。


「あなたを殺したいくらい愛してくれる彼を」



それを見た少女はぶんぶん顔を横に振って否定した。…安心した、こればっかりは俺でも無理だ。というか殺したい程…など、考えただけで恐ろしい。



暫く待ってみたが少女は顔の表情がくるくる変わるだけで、「えぇっ…」とか「うぅっ…」としか言わない。

……はやくこの少女を俺の虜(カフェの新婚夫婦より引用)にして上司の元へ連れていかなければ。

ぐずぐずしていると彼が帰って来てしまう。そうなっては厄介だ




そこで俺は少し強引だけれど少女に無理やり選んで貰った。

数ある種類の中から少女が選んだのは――

「新婚のように甘甘な彼を」



俺はいまこそ努力の成果を見せるときだと確信した


…だが好きでもない相手にこのようなことをするのは少し気が引けた

いつも女の相手を任せてしまってた元相棒の事を思いだし、少し悪かったなと感じた。


…その思いは胸に取り合えずしまっておき、

早速その媚薬を飲んだふりをして少女に迫った。

流石にお金を払いもしてないのに薬は飲まない。それに彼の作った薬である。効き目は抜群のはず。飲んだあとが恐ろしいから、というのもあるが。


まずは耳に息を吹きかけて、その瞬間に髪の毛の内側を見た。ぱっと見ではただただ見事な金髪である。染めた訳では無さそうだ。


…この少女が真っ赤な顔で震えたので、取り合えず俺はさっき教えて貰った甘ったるい微笑みを向けてこう言った。


「愛してるよ。マイハニー」



……なぜだろう、心なしか少女が俺と距離を置いた気がする。相手が顔を赤らめたら笑顔でこのセリフではなかったのだろうか?

まぁそれはいい。それよりも、


この少女は俺と目を合わせない。

何故だ?

人と目を合わせて話すことは基本中の基本のはず…

ひとまず俺は少女の顔をこちらに向けた。


……が、

少女は頑なに目を閉じたままだった。

顔を真っ赤にさせながらぷるぷる震えている。


仮にもこの襲われている状況で目を閉じるのは、相当だ。きっと、何か理由があるはず…


と思い始めたとき、ふと昔噺を思い出した。

魔法をかけられてうとなった少女は王子に口付けられて元に戻った…みたいな噺だ。随分前に聞いた噺だから確証はないが、多分合っている。



そんなことを考えていると少女が頑なに目を閉じながら話始めた。


「あああ、あのマイダーリンさん」



「わわわたしは、あなたのマイハニーさんではないみたいですよ。ひ、人違いです」



それはわかっている。が、俺はさっきの媚薬を飲んでいる設定だ。気づけ

それに、俺のことマイダーリンと言っているのはわざとか?『マイ』という言葉は『わたしのもの』という意味のはずだが

俺は少女の無知さに不安になった。


「でも俺のことマイダーリンって言ってるよね?ということで俺とお嬢さんは晴れて夫婦に!めでたしめでたし」


「ちょ!勝手に完結させないで下さい!全然、これっぽっちもめでたしめでたしではありません!」



正常な頭脳は持っていたようで安心した。

だが、ここで意見を否定されると俺が少し困る。



考えた事は直ぐに行動を起こしたい質である

少し無理矢理だが、俺は問いかけた


「ねぇ?なんでマイハニーは目を閉じてるの?

…あぁもしかして誘ってる?」


「違います違います違います」


ここで違うと言われても、普通の人間だったらその言葉でさえ煽っていると思われても仕方がないと思うのだが

本格的にこの少女の行く末を心配した。

そんな心境で、先程思ったことをやるのはかなりの罪悪感がある

それもいちかばちか。



だが今の俺は任務中

私情は挟まない


「ふふ、可愛い。いいよ乗ってあげる」


自分で演じておいてなんだが、この俺は少し気持ちが悪いと思う。だが、世の中ではこれは新婚になると必ず通るらしい(カフェの新婚談)



「さっきから、マイダーリンさんは人の話聞いてませんよね!」



少女はぷりぷり怒っているようだ

だが目を閉じているため何故かシュール




………よし、決めた。

無心でやろう



「どこからやってほしい?」


「だからっ!」


「じゃあここから」


そして俺は少女の後頭部を片手でおさえて、少女の唇を舌でつつっと舐めた。


ふにっとした感触を舌で感じ、最初は少したじろいだが少女唇の真ん中辺りまでくると、なんとも言えない感覚に陥った





少女の顔を見ると丁度少女は目を開けた所だった、見えたのは目頭が少し赤く、潤んだぴんく色の瞳、ぷるぷると震える小さな唇




だったが、一瞬にして音も立てずに少女の髪と瞳は漆黒に移り変わった。



「うひゃゃやああぁあ!!!?」


少女は叫んだ

その大きな声で俺は少し目が覚めた。



……今は任務中であり私情は挟んではならない。

これは任務これは任務これは任務


先程と同じ事を胸の中で反復させ、少し冷静さを取り戻した。





その瞬間凄まじい程の殺気が後方からした


…恐らく彼であろう。


彼が居てはこの少女は連れ出せないだろう。任務失敗だ


「…ちっ」



俺は任務を失敗した失態と、先程から落ち着かない心へ苛立ちをぶつけた。



やっとテストが一段落致しましたので更新しました。お待ちしてくださった方本当にありがとうございます!



不定期更新ですが何卒宜しくお願い致します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。