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RUN&GUN ― 二人で一人の逃走譚 ―  作者: F94
第7章ー姫神奪還作戦ー
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ブリジットの姫神ー

「てめぇ……よくも俺の姫神達を奪ってくれやがったな」


「これのことか?」


ブリジットは両手に付けた手袋をゆっくりと外す。


その下には、両手とも機械の腕――魔装義肢が現れた。


左右で三個の指輪がはめられている。


ブリジットの瞳が光り、薄く笑みを浮かべた。


「これはいい……想像以上である。この力、吾輩が有効活用してやろう」


ベルは拳を握りしめ、額に汗を滲ませる。


「ふざけやがって……」


(アカリ、ミカゲ、カタナ……)


心の中で、奪われた姫神たちの名を呼び、怒りと焦燥が胸を締め付ける。


港の夜に、二人の間で静かに、しかし確実に戦端が開かれようとしていた。


「指輪さえ手に入ればよかったが……ついでだ。貴様も我が国に連れ帰り、実験動物として飼ってやろう」


ブリジットの笑みがより深くなる。


「けっ、そうはならねぇよ」


「指輪置いて1人で帰るんだな!」


ベルは甲板を駆け出す。


ブリジットはゆっくりと両手を広げる。


その両腕から、独特のキリキリという音が響く。


次の瞬間、両手の手首あたりから破裂音が鳴り、手のひらが飛び出した。


ベルは思わず両手を十字に構えて立ち止まる。


だが、飛び出した手首はそのままベルの左右をすり抜ける。


手首から伸びるワイヤーは、確かにブリジットの両腕と繋がっていた。


「なんだ?」


ブリジットの残る片目が、凶悪に光り、笑みを浮かべる。


次の瞬間、ベルの後方――ブリジットの両手の十本の指先から、強烈な光が放たれた。


それは貫通力を持つ光線となり、ベルを襲う。


咄嗟に身をかわすが、一陣の光が左肩を後ろから貫いた。


「がっ……!」


甲板に重い衝撃が響き、少年の体が僅かに弾む。


海風と金属の軋む音に混ざり、戦闘の緊張が港の夜に張り詰めた。


肩を抑えて片膝をついたベルを、ブリジットが恍惚とした表情で見下ろす。


「どうだ? かつての己の能力で貫かれた気分は?」


「ア……アカリか……」


「その通り。我らが魔装義肢と組み合わせれば、人間には到底及ばない使い方も可能だ」


「この姫神、我らが持つにこそ相応しいのだ」


「……マジで、ふざけやがって」


背後でワイヤーが引き戻される音がして、ブリジットの手首が元の位置に戻る。


「どうだ? どうなんだ? 自分の力で傷を負うのは? どんな気分だ? 教えてくれないか?」


ブリジットの呼吸が荒くなり、恍惚な笑みがさらに凶悪さを増す。


ベルは歯を食いしばり、悔しさと怒りを滲ませる。


「くそっ、変態野郎め……!」


港の夜風に、二人の緊張が重く漂い、戦端はなおも開かれたままだった。


ベルは呼吸を落ち着け、再び立ち上がると、先ほどより速く甲板を駆け出す。


距離を一気に詰め、ブリジットに手が届く間合いまで近づいた――その瞬間、ブリジットの残った片目が光る。


次の瞬間、ブリジットの背中から数本の鋼鉄の刃が伸び、全方位からベルに襲いかかる。


それは歪に曲がった大鎌のような形状をしていた。


「カタナか!」


ベルは咄嗟に後方へ飛び、距離を取る。


だが、ブリジットの足元から黒い触手のような数本の影が伸び、ベルを追い詰める。


さらに後方へと跳び退くベル。


「くっそ……近づけねぇ!」


ブリジットが両手の十本の指先から光線を放つ。


咄嗟に身をかわすベルだったが、足元を光線が貫き、木製の甲板をえぐった。


波風に揺れる船体と金属の軋む音、そして破裂音が混ざり、戦闘の緊張が港の夜に一層濃く漂った。


「ミカゲまで...使うのかよ」


ブリジットが身体を微かにくねらせ、悶えるように声を上げる。


「どうだ? 貴様より上手に使えているのではあるまいか?」


その声には歪んだ快感と、戦慄させる自信が混じっていた。


ベルは眉をひそめ、光線と影の攻撃を警戒しながら、再び構えを固める。


港の夜風が甲板を吹き抜け、二人の間の緊張をさらに濃く染め上げた。



アンジュ隊VSモーリス4


モーリスの手からイバラが蠢き、左手の義肢ドリルが鋭く回転する。


右手から放たれたイバラが甲板上を這い、三人の進行を阻む。


「みんな! 気をつけなさい! 当たると痛いですわ!」


アンジュが声を張り、甲板を素早く駆ける。


リックは落ち着いた表情のまま銃口を向け、イバラを正確に撃ち抜いて道を作る。


バロムは無言のまま、鋭い眼差しで隙を窺い、イバラの間を縫うように進む。


「おおっ、覚悟しろ!」


モーリスが豪快に笑い、イバラを自在に操りながら左手のドリルで威嚇する。


「右から回り込みますわ!」


アンジュが短く指示を飛ばす。リックは冷静に位置を調整し、隙を窺う。


モーリスの手首ドリルが旋回し、放たれたイバラが三人の足元を狙う。


バロムはただ一言「……来る」とつぶやき、間合いを詰めてモーリスへ接近する。


「行きますわよ!」


三人はタイミングを合わせ、一気にモーリスへ向かう。


黒い影のように蠢くイバラの隙間を縫い、攻撃の手が迫りつつあった。


モーリスの動きが急に止まり、鼻血を流す。


「な、なんだ…?」


リックが肩で息を整えながら叫ぶ。


「限界が来た!今です!リーダー!バロム!」


アンジュが鞭を一閃させ、モーリスの左手に巻き付ける。腕の回転がわずかに弱まり、その瞬間を狙ってバロムが体を張る。


「ぬぬ.,.っ」


両手と胸が鋭いイバラやドリルに切り裂かれるが、バロムは痛みに顔をしかめず、そのままモーリスの腕を止め続ける。


「……我が神速の突きや今、限界を越えろ!」


リックが瞬時に距離を詰め、神速の突きで連打する。モーリスの肩口の連結部が悲鳴と共に破壊される。


「ぐああっ、くそぉ……なにをする!」


怒号を上げるモーリスの腕を、バロムが力強く引きちぎる。モーリスの左腕は無力に垂れ下がり、鋭い痛みに顔を歪める。


「ここですわ!」


アンジュは迷わず短剣を手に取り、モーリスの脳天に叩きつける。刃は完全には貫通しなかったが、強烈な衝撃でモーリスは


「ぐ……ふぅっ!」


と呻き、甲板に倒れ込む。


それでもまだうめき声を漏らすモーリスに、アンジュは短く息を整えつつ警戒を解かない。


バロムは微かに肩を揺らすだけで、痛みに動じた素振りはなく、リックも冷静に次の動きを見据える。


限界を越えた突きを放ったリックが、その場に片膝をつき、肩で大きく息をする。


バロムはモーリスの左腕を抱えたまま両膝をつく。


アンジュはバロムに近寄り、


「2人とも、よくやりましたわ。傷は……大丈夫ですの?」


バロムは短く答える。


「…問題ない。皮膚の表面が裂けただけ」


アンジュは痛そうな顔をしつつ、バロムの抱える左腕の指先から指輪を取り上げ、月明かりにかざす。


「まずは一つめ、返していただきましたわ」


アンジュ隊VSモーリス戦 決着ー

姫神イバラキ奪還



ビビVSターニャ4


ターニャが両足の踵と膝から高熱ブレードを展開し、石畳の上を踏みしめながらビビへ襲いかかる。


ビビは精霊の炎を全身に纏い、笑顔で軽やかに跳ねるように前に出る。


「よ〜し、いっくよ〜!」


踊るようにステップしながらビビは炎を操り、ターニャの剛力攻撃を軽やかにかわす。


火花が散り、石畳の上に熱気と光が飛び交う。


「逃がしません」


ターニャは冷静にブレードを振り、ビビの動きを封じる正確な攻撃を繰り出す。


「うわ〜、熱い〜!」


ビビはふわっと舞い、炎でブレードの軌道をずらしながら反撃のチャンスを狙う。ステップごとに軽やかに回避と攻撃を繰り返す。


石畳の上、炎と熱が入り混じる中、二人の戦いは互角の激戦を繰り広げていた。


「…姫神を使って互角とは……それでは、もうやるしかありません」


ターニャは全身に力を込め、剛力を増幅させる。石畳が微かに震え、周囲の空気まで圧迫されるようだった。


「ええ〜、なになになになに〜!?」


ビビは焦った声を上げつつ、踊るようにステップを踏む。炎を全身に纏いながらも、目は真剣で、次の一手を探っていた。


「剛力…三倍……」


ターニャの体から力がほとばしり、周囲に緊張が走る。


「あ〜、そこまであげちゃうの〜?」


ビビは距離を取りつつ、軽く手を広げて挑発する。


「そんなにあげて〜、ほんとにだいじょうぶ〜?」


ターニャの力が全身に満ち、かつてないほどの圧力を放つ。


そして、ターニャが踏み出そうとした瞬間、唐突に意識が揺らぎ、思わず両手と両膝をつく。


「こ…これは…」


ターニャが目を見開き、鼻を抑える。鼻血が流れている。


「ほら〜、だからいったのに〜」


ビビがゆっくりとターニャに近づき、右足を大きく上空に振り上げる。


「おやすみなさ〜い♪ たのしかったよ〜」


その瞬間、炎の紋様が輝き、ビビの足が振り下ろされる。







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