戦闘中ー
アンジュ達 vs モーリス 2
⸻
静寂が、一瞬だけ落ちる。
その次の瞬間――
三方向から、同時に動いた。
「行きますわ!」
アンジュが踏み込む。
正面。
真っ直ぐ。
鉄鞭が唸る。
同時に、左右。
リックスとバロム。
挟み込む。
三方向同時攻撃。
「いい連携だ」
モーリスが笑う。
だが動じない。
左腕――義肢が唸る。
内部機構が回転する音。
まず、正面。
アンジュへ。
振り抜く。
だが――
「それは見ていますわ!」
鉄鞭が巻き付く。
軌道を逸らす。
重い一撃が横へ流れる。
その瞬間。
左右から同時に入る。
「もらいます!」
リックスのサーベル。
精密。
急所狙い。
バロムは正面から。
拳。
圧で潰す。
同時。
だが――
「甘ぇな」
モーリスが踏み込む。
前へ。
自ら間合いを潰す。
リックスの剣が届く前に、身体を捻る。
掠める。
同時に、右肩で弾く。
体勢が崩れる。
そのまま――
「っ!」
バロムの拳と激突。
正面。
真正面から受ける。
衝撃。
地面が沈む。
だが止まる。
拮抗。
「いいな、その力!」
押し込む。
バロムが一歩下がる。
その瞬間。
アンジュが動く。
「今度こそ――!」
短剣。
最短。
喉元へ。
だが――
「遅ぇ」
左腕。
義肢が引く。
ではなく――
巻き込む。
空気ごと引き寄せるような動き。
「っ!?」
アンジュの体が引かれる。
体勢が崩れる。
そのまま――
振り上げ。
叩きつける軌道。
だが。
「リーダー!」
リックスが割り込む。
剣で受ける。
だが完全には殺せない。
弾かれる。
その瞬間。
「……」
バロムが再び踏み込む。
無言。
だが速い。
横から。
拳。
叩き込む。
モーリスは受ける。
だが完全ではない。
わずかに体が流れる。
その隙。
アンジュが体勢を立て直す。
息を整える。
「……厄介ですわね」
目が細まる。
「ですが――」
鉄鞭が静かに揺れる。
三人の位置が、自然に変わる。
包囲。
逃げ場を削る配置。
リックスが静かに言う。
「連携を維持します」
バロムが一歩前へ。
「潰す」
短く。
モーリスは肩を鳴らす。
「来いよ」
義肢が唸る。
空気が震える。
三対一。
だが均衡は崩れていない。
次の一手で――戦局が動く。
モーリスが肩を鳴らす。
「姫神の力!使わせてもらうぞ!」
左腕。
義肢が、低く唸り始める。
回転。
重く、鋭い音。
同時に――右手。
指先が、わずかに開く。
「次、行くぞ」
その瞬間。
地面が裂けた。
「――っ!」
アンジュの足元。
黒いイバラが突き上がる。
鋭い棘。
一直線ではない。
絡みつく軌道。
「厄介ですわね!」
跳ぶ。
回避。
だが終わらない。
次。
横から。
背後から。
連続。
地面からイバラが生える。
「リーダー!」
リックスが前へ出る。
剣で斬る。
だが完全には断ち切れない。
しなる。
巻き付く。
「くっ……!」
足を取られる。
その瞬間。
「そこだ」
モーリスが踏み込む。
左腕。
ドリル。
高速回転。
一直線。
リックスへ。
「――っ!」
回避。
紙一重。
掠める。
だが装備が削れる。
火花。
そのまま体勢が崩れる。
「危険です!」
アンジュが叫ぶ。
だが――
止まらない。
モーリスはそのまま押し込む。
ドリルで追撃。
同時に、右手。
イバラが走る。
挟み込む。
「……っ!」
リックスが捌く。
だが防ぎきれない。
追い詰められる。
その瞬間。
「……」
バロムが動く。
割り込む。
正面から。
ドリルを――受ける。
「止まれ」
低く。
拳で。
衝突。
火花。
回転が止まりきらない。
だが押し返す。
強引に。
地面が沈む。
拮抗。
その隙。
アンジュが踏み込む。
「今ですわ!」
鉄鞭が走る。
イバラの間を縫う。
巻き付く。
左腕。
義肢へ。
拘束。
「へぇ」
モーリスが笑う。
「いい判断だ」
だが――
右手が動く。
イバラが膨れ上がる。
一気に増える。
拘束を引き剥がす。
逆に絡みつく。
アンジュの腕へ。
「っ……!」
引かれる。
体勢が崩れる。
「リーダー!」
リックスが再び踏み込む。
今度はイバラごと斬り裂く。
強引に道を作る。
「道は開けます!」
バロムが押し込む。
ドリルと拮抗したまま、一歩前へ。
「壊す」
短く。
その瞬間。
アンジュが笑う。
「なら――」
体勢を崩したまま、踏み込む。
無理やり。
イバラを引きちぎる。
「通しますわ!」
短剣が走る。
最短。
モーリスの懐へ。
三人の連携が、ついに一点へ収束する。
次の瞬間――
勝負が、動く。
ビビ vs ターニャ2
⸻
赤熱の軌跡が、夜気を裂く。
ターニャの脚が振り抜かれるたび、空気が焼ける。
「逃がしません」
低く。
踏み込み。
間合いを潰す。
だが――
「うーん、やっぱ速いね〜」
ビビはふわりと後ろへ跳ぶ。
余裕の笑み。
だが目だけは、完全に捉えている。
次の瞬間。
ワイヤーが走る。
一直線ではない。
円を描くように。
包む軌道。
「……!」
ターニャが止まる。
周囲。
視界の外からも来る。
「拘束狙いですか」
踏み込む。
迎え撃つ。
踵。
振り上げる。
赤熱の刃が、ワイヤーを焼き切る。
火花。
だが――
「一本だけじゃないよ〜?」
次。
さらに外側。
複数。
重ねる。
「……っ」
焼き切る。
だが数が多い。
一瞬、遅れる。
その隙。
一本が足首に絡む。
引かれる。
「捉えた〜」
ビビが指を引く。
体勢が崩れる。
その瞬間。
「問題ありません」
ターニャは止まらない。
逆に踏み込む。
引かれる力を利用して、前へ。
加速。
「えっ」
距離が一気に詰まる。
至近距離。
膝が上がる。
赤熱の刃。
「うわ、それ嫌だな〜」
ビビは身体を反らす。
紙一重で回避。
だが髪先が焼ける。
焦げる匂い。
そのまま着地。
即座に回る。
背後へ。
ワイヤーが巻き付く。
ターニャの腕へ。
拘束。
「今度はこっち〜」
引く。
体勢が崩れる。
その瞬間。
「――っ」
ターニャの脚が地面を叩く。
衝撃。
足元から振動が走る。
ワイヤーがわずかに緩む。
その隙。
焼く。
腕のブレードで断ち切る。
「……対応が早いですね」
静かに言う。
だが次の瞬間。
踏み込み。
低い姿勢。
滑るように距離を詰める。
連撃。
蹴り。
膝。
踵。
すべてに赤熱の刃。
「わっ、ちょ〜速っ……!」
ビビが下がる。
回避。
だが完全には避けきれない。
腕に浅く入る。
血が滲む。
「……あ〜やばいかも〜」
笑いながらも、距離を取る。
呼吸は乱れていない。
だが目は少しだけ鋭くなる。
「じゃあさ〜」
指がゆっくり動く。
ワイヤーが静かに広がる。
空間を支配するように。
「ちょっと〜本気出そっかな〜」
ターニャは構えを崩さない。
「望むところです」
赤熱がさらに強くなる。
空気が歪む。
拘束と焼断。
回避と圧殺。
二つの戦いが、さらに深く噛み合う。
ビビの足元に、紋様が浮かび上がる。
細かく、複雑に。
全身へと広がる。
首から下――刻まれた紋様が、淡く光る。
「来て〜」
軽い声。
次の瞬間。
炎。
空気が震える。
何もない空間から、熱が集まる。
揺らめく火。
それが――まとわりつく。
ビビの全身に。
「わたし〜強いんだよ〜?」
笑う。
だがその熱量は先ほどまでと違う。
周囲の空気が歪む。
地面が焼ける。
ターニャは一歩踏み込む。
「……鬼の、剛力」
その瞬間ー指輪が揺れる。
脚だけではない。
全身に力が走る。
筋肉が膨れ上がるような感覚。
「カレン――出力解放」
低く呟く。
踏み込み。
地面が砕ける。
「……っ!」
一瞬で距離が消える。
ビビの目がわずかに見開かれる。
「速っ……!」
だが遅くない。
炎を纏ったまま、腕を振るう。
熱。
触れれば焼ける。
だが――
ターニャは止まらない。
踏み込む。
「押し切ります」
膝。
振り上げる。
赤熱の刃と、剛力。
威力が段違いに上がる。
「やば……!」
ビビが跳ぶ。
だが完全には逃げきれない。
炎が弾ける。
衝撃で吹き飛ぶ。
空中で体勢を立て直す。
着地。
滑る。
「ちょっと重すぎじゃない〜?」
笑うが、額に汗。
炎が揺らぐ。
ターニャは止まらない。
連撃。
踏み込み。
一歩ごとに地面が沈む。
力で押す。
速度も落ちない。
「……!」
ビビがワイヤーを放つ。
だが――
掴む。
片手で。
強引に引き寄せる。
「速〜っ!?」
そのまま踏み込む。
距離ゼロ。
拳。
打ち込む。
「っ……!」
炎が爆ぜる。
衝撃が相殺される。
だが完全ではない。
ビビの体が後ろへ弾かれる。
転がる。
すぐに起きる。
「うわ〜それズルくない?」
笑う。
だが呼吸がわずかに乱れる。
炎がさらに強く燃え上がる。
「じゃあさ〜」
紋様が一段、強く光る。
炎が収束する。
密度が上がる。
「これならどう〜?」
次の瞬間。
ビビが踏み込む。
炎を纏ったまま、一直線。
速度が上がる。
ターニャも動く。
「迎え撃ちます」
剛力を込めて。
赤熱の刃を振るう。
炎と力。
熱と質量。
真正面から――ぶつかる。
次の瞬間、爆ぜた。




