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RUN&GUN ― 二人で一人の逃走譚 ―  作者: KK
第7章ー姫神奪還作戦ー
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作戦開始ー

ラインがゆっくりとテーブル越しに視線を巡らせる。


「では彼、ベル君への説明はベルさんにお願いします。他の皆さんは各自連携を取れるようにしていただいて」


「マークス警部補とパティさんは、互いの戦法など打ち合わせさせてください」


皆が頷き、静かにそれぞれの役割を意識し始める。


ベルは少し深呼吸をし、仲間たちの表情を一通り見渡した。


マリーナが腕を組み、冷静に説明する。


「教会と大陸警察、それにルグレシア王国は魔王殺しの保護もしくは観察対象とした事を公表している。本件の情報提供に関して何ら問題はなく、ハリス帝国の動向についても大陸警察の方で調査しましょう」


ラインは軽く頷き、簡潔に返す。


「では、よろしくお願いします」


ビビは軽く手を振り、にこやかに口を開く。


「カダブランカも〜まだ公表はしてないけど〜ベルくんのことでそのうち何かあるよ〜」


アンジュが眉をひそめ、首をかしげる。


「何かとはなんですの?」


ビビは両拳でこめかみをぐりぐりと押しながら思い出そうとする。


「え〜と〜なんだったかな〜??」


そして、ぱっと手を挙げて思い出すように言った。


「あ!そうだ〜たぶん〜アダラとの婚約発表?」


ビビの爆弾発言に、会議室の空気が一瞬止まる。


全員が目を丸くし、口元に手を当てたり、眉をひそめたりして戸惑いの表情を浮かべる。


ベルは思わず目を見開き、唇をかみしめた。


マリーナは腕を組んだまま、一瞬考え込むように視線を宙に泳がせる。


ラインは軽くため息をつき、苦笑混じりに頭をかく。


アンジュは片眉を上げ、やや呆れたようにビビを見つめた。


マークスは思わず手をかざし、軽く肩をすくめる。


静まり返った会議室に、微かな緊張と混乱の空気が漂った。


マリーナが眉をひそめ、低く問いかける。


「一応聞くが…婚約とは?」


ビビは肩をすくめ、にこやかに笑いながら答える。


「え〜?知らないの〜?婚約って〜結婚するよ〜てこと〜」


マリーナは口をとがらせ、納得できない様子で言葉を続ける。


「そうではなく…」


ラインが静かに視線を巡らせ、問いかける。


「それは?ベル君も承知してるということですか?」


ビビは首をかしげ、無邪気な笑顔を浮かべた。


「え?ベルくんは知らなくない〜?アダラと王さまが決めたんだもん〜」


会議室には一瞬、言葉を失った空気が流れた。


ラインは少し肩をすくめ、苦笑混じりに小さく呟く。


「それはなかなか…なかなかですね」


ベルは慌てて手を振り、真剣な顔で応じた。


「ラインさん、ダメ。考えたら負けですよ」


会議室には、少し張りつめた空気と、言葉にできない重みだけが残った。



夕方になり日が沈みかけたころ、ベルの提案で、一旦お開きとなった。ラインに夕食に誘われたが泣く泣くお断りを入れた。最終的に各チームの連携は検討を重ねつつ、相手の情報が入り次第、作戦は開始される予定となった。


数日ぶりのミリィと、久しぶりに会うパティを伴い、ベルは自分の宿へと戻ってきた。ベルとミリィは別々の部屋を取っていたが、今は3人でベルの部屋に集まっている。


部屋に入るなり、ベルはいつものようにベッドにうつ伏せに転がった。


「あーぁぁぁー疲れたぁぁぁぁーなぁぁー」


思わず大きな溜息をつき、頭を抱えるベル。ミリィは少し離れた椅子に腰掛け、静かに見守る。パティはベッド脇に控え、背筋を正して立ち、丁寧な姿勢でベルを見つめていた。


「ベル様、まずは休息が先です」と、声は淡々としているが、その瞳にはしっかりとした思いやりが宿っていた。


疲れ切ったベルの背中に、少しだけ安らぐ時間が流れた。


ベルはベッドの上に起き上がり、少しほっとした表情で二人を見やる。


「ミリィもお疲れ様。パティも来てくれて、本当にありがとう!」


ミリィは小さく微笑み返し、パティは控えめに頭を下げたまま、きちんとした声で答える。


「いえ、ベル様への恩を返す絶好の機会とあれば、馳せ参じないわけには参りません」


その言葉に、ベルは少し照れくさそうに笑みを浮かべ、ベッドの上で手を組み直した。


パティは軽く頭を下げ、整った声で続ける。


「それにしても凄い事です。ルグレシアにカダブランカ、教会に大陸警察。ベル様の人脈の広さに恐れ入ります」


ベルは思わず手で顔を覆い、少し苦笑する。


「パティまでやめてー。本当にすごいのはあいつの方だから」


パティは静かに首を振り、真摯な眼差しを向ける。


「そう仰られても、最初にお嬢様をお助け下さいましたのは間違いなく昼のベル様です。私にはやはり貴女に強く恩義を感じていますので」


ベルはその言葉に胸の奥がじんわり温かくなるのを感じ、少し目を細めた。


ミリィがふと窓の外を見やり、小さな声で告げる。


「ベルさん、もう日が沈みます」


ベルはあわてて視線を窓に向け、手で髪をかき上げながら答えた。


「あ……それじゃ、そろそろ二人とも部屋に戻った方がいいかも」


パティは淡々とした声で、しかし落ち着いた態度を崩さず言う。


「いえ、夜のベル様にお話もありますので、差し支えなければこのまま」


ベルは少し戸惑いながらも肩をすくめる。


「差し支えはないけど……なんか、ちょっと変身するところを見られるのは、妙な気まずさが……」


言い終わるより早く、ベルの身体が静かに、しかし確実に変わり始めた。

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