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亀と別れた
亀は田んぼに帰ろうとしている。
どうやら、日向に居ると乾いてしまうようだ。
さっきからちょっと辛そうな表情が垣間見れた。
「帰るんですか?」
「ああ、ちょっと病気の婆さんのことが気になるのでな」
「ああ、それは仕方ありませんね」
「ああ、仕方ない」
亀は歩みが遅かった。
僕は、手を振ってお別れを告げていたが、段々と疲れてきたので辞めた。
しかし、辞めたタイミングで亀が振り向いたので、すかざず手を振り直した。
結局亀が見えなくなるまで5分近くかかった。
手が腱鞘炎になる直前だ。
(ふぅ、やっと帰ってくれたか)
僕は伸びを一つすると倒れていた自転車を起こした。
幸いなことに、どこも壊れていないようだ。
(よし、買い物にいこう)
僕はチリンチリンとベルを一度鳴らして、自転車をこぎ出した。




