1-1 元引きこもりはテンプレートな台詞を言われる
第2話投稿です。
「おお、正義よ。死んでしまうとは情けない」
「・・・・・・」
目の前の老人にいきなり暴言を吐かれた。
イラッとして、思わず睨み付けてしまう。
気づいたら、知らない人にそんなことを言われて怒らない奴はいないだろう。
「もしかして、怒ってるのか?」
「はい」
不安げに聞いてくる老人にはっきりと答える。
嘘偽り無い本心である。
「すまん。つい言ってしまったんじゃ」
「「つい」で言う内容ですか?」
思わず反論してしまう。
内容的に不謹慎極まりない。
ゲームの世界なら言う機会はあるだろうが、現実世界にはそんな機会は一生無い。
人間の命は一度きりなのだから──
「俺、死んだのか?」
ここで今の状況に気づく。
胸元を刺され、激痛を感じた記憶を思い出す。
遠い過去ではなく、先程起こったような感覚である。
「そうじゃよ。つい先程のことじゃ」
「・・・・・・そうですか」
老人に肯定され、俺は素直に受け入れた。
その反応が予想外だったのか、老人が驚いた様子で話しかけてくる。
「あっさり信じるのう」
「結構現実主義なので、こんなに記憶が鮮明なら事実だと判断できます」
「儂が言うのもなんじゃが、この状況が非現実的だと思うがの」
老人はなんとも言えない表情を浮かべる。
彼の言葉に俺はようやく気づく。
「それでここはどこですか?」
まったく身に覚えのない場所だった。
周囲には何もない。
物はないし、壁や床もない。
何もない空間にふわふわと浮かんでいる感じだ。
「一言で死後の世界かのう?」
「はぁ」
予想外の言葉になんとも言えない表情になる。
そんな反応に老人は怪訝そうに聞いてくる。
「自分の死はあっさり信じたのに、これは信じられないのか?」
「死後の世界って、非現実的でしょう?」
「否定はできんが・・・・・・むぅ」
反論できないのか、老人は黙り込む。
だが、今はそんな話はどうでもいい。
それよりも気になることがある。
「ここが死後の世界と仮定して、あなたは誰ですか? さっき俺が死んだことを知っているのなら、同じような死者とは考えづらいし・・・・・・」
純粋な疑問を投げかける。
死後の世界というものがあるのなら、ここにいるのなら同じような死者のはずだ。
だが、この老人が同じようには思えない。
「儂は神じゃよ」
「・・・・・・」
「おい、何を眠ろうとしてるんじゃ」
現実逃避に横になろうとしたが、老人──神様が文句を言ってくる。
仕方なく、再び彼に向き直る。
「で、(自称)神様がどうして俺の前に?」
「神の前に何かつけなかったか?」
「・・・・・・そんなことはないです」
図星をつかれ、俺は視線を逸らす。
意外と勘が鋭い。
だが、追求するつもりはないのか、神様は大きくため息をつく。
「お主にもう一度チャンスをやろうと思っての」
「チャンス?」
予想外の言葉に俺は首を傾げる。
一体、どういうことなのだろうか?
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