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永満亭の早瀬さん  作者: 塩コンブ
第一章 永満亭
28/44

28. みんなで遊園地!前編

前回に引き続き今回もギャグ多めです!というかこの作品がラブやってること自体が少ないですね。


「着いたー!」


「騒ぐなうるせぇよ!こっちまで恥ずかしいだろ!」


「あ、すみません」


連休最終日。

朝早くからマっさんの運転で遊園地へ出発。

意外だったのだが、マっさんの運転ということで、超アバウトな危険運転かと思ったら、そこはきっちりしているというか、アバウトなのだがアバウトが全てミリ単位できっちり当てはまってる感じで超安全運転だった。


そして、遊園地に着いた今、俺、リョータ、ツボミちゃん、隠してるけど早瀬さんも。子供組はテンションマックスだ。


「けっ、遊園地なんてどこがいいんだか……」


「そうですかね?ジェットコースターとか楽しいじゃないですか」


「一番楽しくねぇよ!あ、あんなの…………」


菊井さんが腕を掴み、ガタガタ震え出す。


「へー……」


「ニヤニヤしてんじゃねぇよ」


菊井さんの弱点一個発見。


「それにほら、お化け屋敷とか」


「あ、それは全然大丈夫。てかむしろお化け屋敷は楽しそうだな!なんかこう、幽霊みたいなすでに存在が悲しい存在相手だと生きてるだけで自信湧いてくるから」


「楽しみ方歪んでるなぁ」


「その発想がすでに悲しい存在だよね!大差ない!」


「あぁん?」


(シュンさんって恐れ知らずだよなぁ………最早ドMの域)


激昂した菊井さんにシュンさんはしばかれる。


「……………お化け屋敷……楽しくない……」


「へー……」


早瀬さんの弱点も発見した。


「それじゃあ、早速いきましょうか」


「「「はい!」」」


こうして、みんなで中へ入る。



◇◇◇



「まず、どれから乗りましょうか?」


入ってすぐ、後ろを振り返ると、リョータ、ツボミちゃん、早瀬さんが目をキラキラさせている。


いや、リョータとツボミちゃんは分かる。


「えーと………早瀬さん?」


「ハッ!………何?」


「いや遅いでしょ」


早瀬さんは俺が肩を叩くと、その瞬間目をキリッとさせて、俺を見る。


「……………実は……初めて……」


「えっ!?そうだったんですか?」


「……………今まで、こういう系には縁がなかったというか……」


「ふーん………じゃ、楽しみましょ!」


「……………うん…!」


俺と早瀬さんが笑っていると、後ろから服を引っ張られる。ツボミちゃんだ。


「ソーにぃ!あれ乗りたい!」


そう言って、ツボミちゃんが指さしたのは


「メリーゴーランドか……うん、じゃあ行こっか!」


「うん!」


「……………私も乗る……」


「仁美さんも乗ったら?あれぇ」


「あれ許されるの子持ちか二十代前半までだろ」


「まぁいいじゃないか!せっかくだしあたしも乗ってくるよ!」


こうして、俺達子供組4人とマっさんで飲みメリーゴーランドが始まった。



「オレは馬に乗る!」


リョータは嬉々として近くの馬に座る。


「ソーにぃ!一緒に馬車乗ろ?」


「うん、いいよ」


「……………私もいいかな……?」


「もちろん!彩さんもおいでよ!」


「俺も大歓迎ですけど、初めてですよね?だったら馬の方が……」


「……………馬車の方が楽」


「おい理由!」


こうして、俺達3人はリョータの馬の近くの馬車に乗り込む。俺の隣にツボミちゃん、向かいに早瀬さんだ。


「うん。ならばあたしはもちろん馬だな!見てろよ?あたしの馬が一番速いから!」


「いや、そういうのじゃないんで……」


「中々の乗り心地だ!この馬にエリザベスと名付けよう!」


「楽しそうですね」


───♪〜♩♪〜


と、音楽が流れ始め、動き出す。

ツボミちゃんはニコニコしながら「動いたよ!楽しいね!」と言っている。

ふと、早瀬さんを見ると、目を輝かせて外を眺めている。


「そんなに楽しいですか?」


「……………うん。馬車に乗って移動……お嬢様みたいで楽しい……」


「えっ、早瀬さんお嬢様に憧れたりするんですか?」


「……………それはするよ。だって──ッ!」


「だって?」


俺がからかうように聞くと、早瀬さんは顔を真っ赤にする。


「……………い、今のなし!なんでもない!」


「えー、なんでですかー。いいじゃないですかー。別にお嬢様に憧れるなんて普通ですよ。普通。さっきはギャップに驚いただけで、よく考えたら普通でした。全っ然おかしくありません」


「……………ほ、ほんと?」


「ほんとですよ!クラスの女子とかもみんな好きですって!」


(小学生時代のクラスだけど……)


「……………笑わない?」


「はい!」


「……………なんか……馬車に乗ってたら、白馬のお、王子様が来たみたいで……」


「んッ………!」


早瀬さん、まさかの少女趣味。


(そのギャップは反則ですって………)


早瀬さんの赤面した顔と、少女趣味のギャップの可愛さに思わず笑みが溢れる。


「……………ほ、ほら!やっぱり笑った!」


「ち、違いますって!まぁ正直少女趣味だなぁって話思いましたけど、可愛らしくていいと思います!」


「……………!も、もうやだぁ……」


(可愛い!)


赤くなった顔を必死に手で覆い隠す。


「おい!遅いぞこれ!」


すると、横からマっさんの叫び声が聞こえる。


「どうしました?」


「全くスピードが出ない!くっ!このままだと世良達に追いつかれるぞ!」


「いやだからそういうのじゃないんですって。何周しても一生追いつかないから安心してください」


「どうしたんだぁぁ!エリザベスゥゥ!」


「だから違ぇっつってんだろ!これ以上速くならないから()()()()()()()!…………あっ、やべ!」


「諦める?」


「違いますよ?マっさん?違いますからね!?」


「諦めるなよぉ!どうしてそこで諦めちゃうだエリザベス!もっと頑張れよぉぉ!まだダメだよ諦めちゃ!ダメダメダメ!応援してくれるみんながいるんだ!もっと頑張れ!お前ならできる!お前ならもっと速く走れる筈だ!自分で限界を作るじゃない!」


「別に自分で限界は作ってねぇよ!速く走れないって言ってるでしょ!」


「もっと熱くなれよぉ!!」


「あーダメだこの人。日本語通じない」


「諦めるなよぉお!!」


「見られてるから!静かにして!」




メリーゴーランドは終了し、周囲の目に晒されながら俺達は出る。


「いや〜、なんか大注目だったな!」


「メリーゴーランドの馬に熱血指導するおばさんがいたら誰でも見ると思いますけどね……」


「何がそんなにおかしかったのだろうか?」


「ハッ……まさか俺がイケメンすぎて!?」


「違えよ」


「バカかシュン。私の美貌にだろ」


「だから違えよ」


「ほんとになんでだろうなー」


「お前のせいだよ」


そのまま適当に歩いていると、目の前に回転ブランコが見える。


「あっ、これ乗ります?そんなに怖くないですし」


「そーだな。身長制限も………子供用あるみてーだ。ま、こんぐらいな私も乗ってやっていいぜ」


「それじゃあみんなで乗りましょうか」



「いやぁ楽しみですね!」


「……………うん。楽しみ」


まだ誰も並んでいなかったので、簡単に座れることができた。


ここは、間はあるが、横二列になっていて、隣には早瀬さんが座る。菊井さんが必死に阻止しようとしていたが、なんとか死守した。


そして、またもや音楽が流れ始め、機体が動き出す。


まずは上昇。そして、上昇。上昇………上昇?まだ上昇している。


「おいおいおい、どんだけ上がってんだよ!」


『全長50メートルの回転ブランコ、お楽しみください!』


「「「…………………」」」


(((……っそだろぉ!?)))


「高っ!おま、これ無理ぃぃぃぃぃいい!ぐあぁぁぁぁぁぁぁあ!!」



「あー楽しかった!」


「……………程よいスリル……楽しかった」


「おい世良ぁ、どういうことだ?あ?私は高所恐怖症なんだよ。どうしてくれんだクソボケ」


「す、すみません……」


終わった後、三発殴られた。


「ねぇねぇ、ソーにぃ!私次あれ乗りたい!」


ツボミちゃんがちょんちょんと俺の服を引っ張る。

あれ、なんか菊井さん見て直後だと無償に可愛く見える。


「どーいう意味だテメェ?」


俺はツボミちゃんが指さした方を見る。


「あれは……コーヒーカップか」


「うん!一緒に乗ろ!」


「そうだね!……皆さんはどうします?」


「オレっちも乗る〜!」


「……………私も」


「パス」


「俺もかな」


「私もいいかなぁ」


「あたしも休むわ!」


「ふふふ、4人で楽しんできて?見とくから」


「わかりましたー!じゃあ行こっか」


「うん!」


俺達はコーヒーカップに乗り込む。

音楽と共に動き出し、リョータが回したいと言うので、俺と2人回した。

スピードは程よい、というか俺の腕の限界のスピードだったが、わりかしいい感じで、早瀬さんとツボミちゃんは終始楽しそうに笑い、リョータは大はしゃぎしていた。

そして、コーヒーカップを降りる。


「いや〜楽しかったですね!」


「……………うん。楽しい」


「最高だった!」


「ふっ、楽しい……ねぇ……」


「は?」


俺達がコーヒーカップのステージを降りた瞬間、3人組のうちの1人が壁に寄りかかりながらそう言う。


「あの程度のスピードで楽しい、か………笑わせるぜ!」


(なんだこいつ…………うぜぇ………)


「おっと紹介が遅れたな。俺はハリケーン高橋。こいつがフォース松村。最後にこいつがジェット山田。わかったか?」


「わかるか。誰だお前」


「何!?ハリケーン高橋だぞ!?分からないのか!?」


「分かるか!二つ名なじゃなくて本名言え!」


「ふっはっはっはっはっ、聞いたかマイク?」


「マイク誰だ!いるんかこの中に!?どう見ても日本人じゃねぇか!ていうか呼ぶなら二つ名使えよ!」


「ははっ、聞いたぜトール!」


「お前もハリケーン高橋呼ばれてねぇじゃねぇか!トールなんだトールて!……………〝高〟橋のトールか!!」


「こいつら、こんなこと言ってらぁ!」


「やめろその言ってらぁって!腹立つ。ていうかいつまでそのノリやるんだよ!」


「こりゃ、とんだアマチュアカフェインストだぜ」


「なんだよカフェインストって!語呂悪っ!」


3人組ははっはっはっとアメリカのテレビショッピングにありがちな笑い方をする。この小馬鹿にしたような笑い方は絶妙に腹が立つ。


「俺達カフェイン中毒者には遠く及ばないな」


「別にコーヒーカップよく乗る人のことをカフェイン中毒とは言わねぇよ」


「お前達のコーヒーカップなど、俺達コーヒーカップマスターズから見れば」


「カフェイン中毒者もう言わんのかい!」


「ガキが遊園地の遊具で呑気に遊んでいるようにしか見えんな」


「ガキが遊園地の遊具で呑気に遊んでんだよ。他に何に見えたらお前は満足なんだ」


「ズバリ!格の違いってのを教えてやる!よく見とけ!」


「コーヒーカップの速さで子供にマウント取ってる時点で底はもう見えたわ!」


3人は中へ入っていく。


「なんだったんですかね。行きましょう。相手するだけ時間の無駄ですよ……」


そう言って、帰ろうと振り返ろうとした瞬間、肩をポンっと叩かれる。


「おい世良ぁ………」


「菊井さん………」


「次は私も乗る。もう一回行くぞ…………」


「は?正気ですか!?」


菊井さんは悪そうな目をしながら肩を回す。


「わかってるよ…………勝負済んだろ?捻り潰してやるよ………!バカにされてばっかじゃ納得いかねーからな」


「いやいやいや!する必要ないでしょ絶対!」


「いーからやんだよ」


「でも」


「あー!世良()()()のかー!?」


菊井さんがわざとらしく叫ぶ。


「やってくれましたね、あんた……」


「それはほんとか世良ぁ!」


案の定、マっさんが俺に近づいてくる。


「どうしたぁ!?何を諦めるっていうんだ!」


「聞いてくれマっさん。こいつコーヒーカップの速さ勝負、受けずに諦めるらしいぜ」


「いやそれは」


「何ぃ!?どうしてそこで諦めてしまうんだ!もっと頑張れよ!そんなところで終わっていいのか!?ダメだろ!勝負を受けずに諦めるなんて絶対ダメだ!もっと熱くなれよぉぉ!!」


「お、お……………うおぉぉぉお!!こうなったらやったりますよ!本音かなりムカついてますしね!捻り潰してやりましょう!」


「よしいいぞ世良!おーい!菜々も参加な!」


「えー………いいよ」


こうして、俺、菊井さん、マっさん、先生という最強の布陣でコーヒーカップ速さ勝負を行うことになった。


コーヒーカップに座る。


「ふっ、1人多いところで………我ら藤岡弘愛好家には遠く及ばない!」


「コロッコロ変わる名称だな!あとそれ最早ただの藤岡弘好きの集まりになってんじゃねぇか!もう少しコーヒーを押し出せ!」


「はっ、戯言は勝ってから言うんだな。私らをバカにしたこと………あの世で後悔させてやるぜ……」


「ふっ、上等だ!」


「いや、別に負けても死んだりはしないんだけどね」


───♪〜


「「「!!!」」」 


音楽が鳴り、勝負は始まった。


「はっ!くらえ!」


(誰にだよ)


だが、実際マスターズ達は速い。あっという間に高速回転している。


「やば!愛好家たち無茶苦茶速いですよ!」


「ふんっ!あんなもの………まぁ見とけ」


菊井さんはそう言うと、先生とマっさんの方を見る。


「あーあ、もう諦めよっかなー」


「なんだと…………諦めてたまるかぁぁ!!」


「うぉぉぉ!速っ!」


マっさんが物凄い勢いで回しだす。


「おい菜々、さっきあいつらがお前のことチョロそうとか言ってバカにしてたぞ。なんでも教師とか欲求溜まってそうで、すぐ落とせるとか。たまにいるんだよなー、そういう勘違い男」


(すっげ、息する様に嘘つくやん)


「………………ぶっ殺したるわぁ!!」


「さらに速えー!!」


先生&マっさんで既に経験したことのないくらいの速さだ。


「うし!あとは私だな!」


「あ、俺もなんか言った方がいいですか?」


「いや必要ない。自分で思い出せる………」


「は?」


菊井さんは頭を抑え、ぶつぶつ独り言を漏らし始める。

やがて、


「あの………くそ野郎………!」


菊井さんがハンドルに手を伸ばす。


「年収は600万っつってたじゃねぇかぁぁああ!!」


「何があったぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!?」


コーヒーカップは空を切る音を鳴らしながら、高速で回転する。


「ふっ、男1人に女3人。本気の我らには遠く及ばない!」


「なっ!お前あれ見ろ!」


「どうした…………って!なんだと!?高速で回転しすぎてわずかに竜巻が起こっている!?」


「ば、バカな…………俺達よりも速いぞ………」


「な、っ……………あれが、あれこそが………真のカフェイン中毒者達…………!」



「お見それしました…………貴方達こそ、真のカフェイン中毒者と呼ぶにふさわしい……」


「一っつもふさわしくねぇよ」


「はっ!わかりゃいいんだよ!次から私らに手を出さないことだな!」


「はい。申し訳ございませんでした!」


3人はそう言って去っていく。


「でもまぁ、勝ててよかったです」


「そうだな!」


「ちょっと君達!」


「「「え?」」」


スタッフが俺達に近づいてくる。

もしかして、褒められたりするのか?


「君達ねぇ…………」


「はい!」


「いい大人が何やってるだ!」


「「「へ?」」」


「へ?じゃないよ!壊れたらどう責任取ってくれるんだ!!」


この後、スタッフの人にこってりしぼられ、頭を下げまくったことで、なんとか出禁は免れた。


勝っても良いこと一つもねぇじゃん。

何やってんだろ、俺達…………





はちゃめちゃ続きの遊園地、次回も続きます!

個人的にマっさんのキャラだいぶ好きですね笑



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