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春香達はみんな銭湯を堪能していた。


彩芽以外がいま銭湯を楽しんでいるが、


東条の言うインフラの関係を春香が女性陣に伝えたので皆が『最後かもしれない…』と言う思いで楽しむ。


美優は露天風呂で両手でお湯を飛ばし麗にぶっかけて注意される。


実録系情報雑誌大好きで情報協力してくれた片山のおば様はサウナで己との闘いを勝手に繰り広げている。





…『寝湯』と呼ばれる寝転べるスペースの、浅い浴槽にお湯が張られているところで春香が仰向けに寝転んでいる。


すると遅れて銭湯に到着した彩芽が春香の隣の寝湯に寝転ぶ。


「…!」


春香はそれに気付くも目を閉じる。


…でも彩芽が声をかける。


「この寝湯好きなんよねぇ~おばちゃん」

「……」




…やっぱり大人だ、この人は…




私はあんたが"命の恩人"なのにキレてしまった…




なのにあんたは怒りもせずにそうやって接してくる…




からかってるだけかもしれないけど…




やっぱりあんたは大人だ……




「彩芽さん、すいませんでした、お昼…」

「……」




彩芽は小さな笑顔で急にガバッと起き上がり




「春香ちゃん素直でかわいい~!おばちゃんそう言う女の子 大大大好き~!」


と言いながら寝転んでる春香に添い寝のごとく抱き着く。


「うわっ!それはマジでやめれっ!裸(バスタオルあり)で添い寝で女2人が抱き着くのは色々と絵的にやばいっておばちゃん!」

「おばちゃん扱いは続くのね」


…コントがあった後に彩芽が離れ寝転ぶ。


春香はふてくされながらも一緒に寝転ぶ。


「春香ちゃん…東条さん好き?」

「…!?」


リラックスで目をつぶろうとしていた春香が口を開く。


「好き好き大好き!恋愛感情なし大好き~」

「くっそ、照れたり怒ったりしたりしたら、からかってやろう思ったのに」

「それ高校生がやる事でしょ…」

「胸キュントークしたかったのに…」

「胸キュンとか言うなおばちゃん」


…おばちゃん発言も気にせず彩芽が続ける。


「とりあえず春香ちゃんの耳には入れとくね…」

「え?」

「東条さんと私が話した内容」


・


・


・


結果的に女性陣全員が銭湯を上がるまで電気はまだ続いていた。


着替え終わってドライヤーなどを終えた女性陣は随時屋上へ行く。


もう外は暗い時間帯だ。


美優は自分でドライヤーできるにも関わらず「麗ちゃん乾かしてぇ~」と幼稚園児みたいに麗にあまえると、


麗はドライヤーを二刀流で持ち右手で自身の髪の毛を乾かし左手のドライヤーは美優の髪ではなくわざと顔に吹き付ける。


美優はそれに「ひああっ…!?麗ちゃん!麗ちゃんごめんっ!自分でやる!やめてっ!!!いやあぁぁぁっ………!!!!!???」とあわあわと麗の左手のドライヤーを奪う。




髪を乾かし終えた春香は、マッサージチェアでバイブレーションされてるおばちゃ…彩芽に声をかける。


「彩芽さん、東条さんとの話の件、本当に信じていいんですね?」

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」

「おい聞いてんのかババァ」


…仲直りしたがもっと扱いがひどくなっている。




スイッチを切って彩芽が答える。


「…心配ないわ春香ちゃん。おばちゃん的には東条さんの作戦に乗るのがベストよ」


と答えてすぐマッサージチェアにスイッチを入れなおす。


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」

「……」


春香は冷めた目でバイブレーションの彩芽を見て冷たく去る…。


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」


…とふざけた声をあげながらも冷めた目で春香の後ろ姿を見る。


…ポケットの中にあるボイスレコーダーを握る。






バカだよね……




油断しちゃダメだよ……






―――あの3日目~4日目にかけての"深夜3時…"


彩芽が銭湯施設から抜け出し立花と2人で会ったあの時だ…



彩芽は、立花からボイスレコーダーを渡されていた


「お前のことは正直信用してねえしこのボイスレコーダーに効力はなんもねえかもしれねえが…」


…突然、立花は彩芽の首をガバッと右手で掴み壁に押し付ける。


「っ!!!???」


立花も本気ではない。


…脅しのためであり本気で締め上げるつもりはない。



彩芽は首を掴まれながらボイスレコーダーをポケットにしまい


「これで忠誠の証拠をしめせばいいの…?」


…と一筋の汗を掻きながら言う。



「もし俺の協力者だと証明してくれんなら、東条達とコンタクト取った会話内容を全部録音して俺に渡せ…」

「……」

「お前を裕福に飼ってやったのは誰だと思ってる…?」



濁った眼。


…オーナー立花の会社で勤める彩芽。


営業が取れなかろうが関係なく給料をくれた立花。


その根源は全て違法行為での稼ぎだが…




……立花は彩芽の首から手を離す。


特に強く掴んではないものの彩芽は首を押さえて前屈みになり少し咳き込みながら体勢を立て直す。


「はぁ、はぁ……あなたは私を知っているでしょう?」


「……」


「あなたが私を信用してないように私も誰の味方でもない。でも味方でないからこそ、わかりやすく『力のある方』に行くし力も貸す。こんな状況であなたほど権力がある人を裏切る訳がないでしょう…?」


…立花はその目を見て笑う。


「まぁ俺はその本性をお前に垣間見たから好きになったんだ」


新卒時代の彩芽を見てその性質を感じていた


「感情とかではなくその時に"強い奴"に乗ればいい。俺が神崎を不本意で持ち上げてるみたいにな。…あんな奴1mmも尊敬してないからタイミングを見て消すつもりだ」


彩芽はその目を見て一筋の汗を流す。


…立花は本気で神崎を潰すつもりでいるのだろう……



彩芽は表情を切り替えて言う。


「とりあえず、東条だろうが誰だろうがちゃんと録音して渡すから安心してください…"立花オーナー"」


「……」


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