01
―――春香達は女性陣に声をかけに行き、東条は彩芽のもとへ行く。
近付けば彩芽も当然気付くので視線は東条に向けられる。
「彩芽さん…ちょっといいか?」
「ええ」
彩芽は小さな笑顔で返事する。
「あんたがビジネスマンなのはありがたい。無駄を省いて端的に話せるからな…」
「ははっ。『私もビジネスマンだから結論から…』って確かに言いましたけど、一応営業マンだから"無駄"なコミュニケーションも大事にはしてますけどね」
と笑う。
「彩芽さん、あんたが俺に言ってくれた事…
『あなたが"私を使えるかどうか"で判断してくれればいい』
と言う内容…」
「……」
「そんな事は聞くまでもなくYESだ。それは信用できるかどうか、能力がどうか、とかそう言う話じゃない。"立花を知ってる"それがデカイ」
「まぁそうでしょうね」
…東条は続ける。
「そして追加で聞きたい。あんたは『神崎と海田は自身を知らない』と言った。その事を信じた上で聞くが、このモールに来てから神崎と海田とは"立花の知人として"絡んだか?」
「……?」
先ほど『無駄を省いて端的に話せる』と言った東条の事だ。
この質問には意味がある。
「…まぁそうよね、東条さん見たら私が言う『神崎と海田が私の事を知らない』なんて証拠はないですもんね…。確かにそうだ、あなたはちゃんと論理的に物事を整理している…」
…彩芽は薄い笑みを浮かべる。
それは怪しいものはではなくどこか嬉しそうだ
「東条さん、証拠がない以上信じてもらうのは難しいかもですが、神崎が私と口裏をあわせて演技できるタイプと思います?」
「……」
「まぁそれも慎重なあなたなら確証は持てないでしょうけどね。海田もアレはただのNo.3で神崎と立花に使われてるだけです。…私はそう言うバカ2人には興味ありません…」
「……」
東条は鼻で笑って改めて口を開く。
この鼻で笑ったのも彩芽をバカにするためではなく嬉しくなっての事だ。
「…その情報はありがたい」
「……?」
…東条は凛々しい笑顔で彩芽に言う。
「まだ俺にBETするか立花にBETするか悩んでもらって大丈夫だ。ただ今から俺の考えている事を話す。それを聞いたら"頭の良いキミ"は『俺(東条)か立花を選ぶ』なんて次元じゃない事をわかるハズだ…」
「…!?」
「…彩芽さん、立花はあんたを見下し『東条にBETするなよ。裏切るなよ』みたいなタイプだと俺は勝手に思ってるが、俺は立花とは違う」
「……」
「俺はね……『あなた(彩芽)が立花か俺(東条)を選ぶ』と言う話ではなく、
俺からすれば『立花と俺(東条)があなた(彩芽)を奪う争奪戦』だと思っている」
「…!」
「その上で"俺の手を取ってほしい"と思っている」
「……」
「立花の事だ…奴は…あんたが俺たち側に何かしらのアクションをかけている事をわかっているか、もしくは、確証はなくとも疑ってるだろう。…まぁそれはあんたが一番わかってるだろうけどね」
「……」
「……俺の作戦を聞いてからでいい。それで決めてくれ」




