05
「…!」
立体駐車場の屋上の入り口まで来ると、なんとそこにはバリケードが出来上がっていた。
スーパーで使用するカートやカゴやホームセンター売り場から持ってきたであろう木材だったりごちゃ混ぜにして作られたバリケード。
「すごっ…」
春香がそう口にしたと同時に彩芽がバックミラーや左右を確認してゾンビが近くにいない事を確認して運転席のドアを開ける。
「…!?」
焦る麗と美優に声をかける。
「おばちゃんが様子見る」
「おばちゃんはやめてってだから…」
と春香が2年後の自分を想像してつっこむ。
彩芽はドアを閉めてバリケードの前に行き、すぐそこに人がいるかはわからないが、念のため両手を挙げて悪意がない意志をアピールしながらバリケードに声をかける。
「すいませんっ!生存者ですっ!誰かいますかっ…!?」
…その彩芽の様子を見る麗と美優だが、春香はバックミラーや左右や全ての空間を随時チェックする。
こんな状況でゾンビが出てきては彩芽の身が危ない。
春香はいつでも跳び出せるようにドアに手をかけている。
…もっとも自分が出て戦力になるかはわからないが。
「…」
バリケードから顔を覗かせる若い男…その男の見た目は正直言葉を選ばず言うと
『あまりいい印象は抱かない容姿』…いわゆる不良と呼ばれるような部類の者だ。
金髪を揺らしながら、その男は気だるそうに彩芽を見る。
その様子に気付いた春香もバリケードから顔を出した金髪の男の顔を確認して目つきを尖らせる。
しかし彩芽は特に態度を変える事もなく話し続ける。
「あ!すいません!ここコミュニティできてますか!?私ひと通り料理とか掃除とか家事とかできますよ!?あとサバイバル系の動画よく見てるんで実はそんじょそこらの男の人よりサバイバル能力高いですっ!あと魚捌けますし、虫も怖がらない女ですよ!なんなら雨から飲み水つくる方法も知ってます!食べれる野草も知ってます!それから…」
「いや、あ…あやめさん…」
車内の春香が、マシンガントークプレゼンを始めた彩芽を見ながら焦る…こんな感じであの不良を説得できるのか…
麗と美優も目をまんまるとしながら汗をダラダラと流す…
そして春香がバリケードの男に目を向けると、男も彩芽のマシンガントークに汗を流しながら引いている…
(効いてるんかいっ…!!)
「あといつでも嫁に行けるように裁縫もっ…!!!」
とマシンガントークを彩芽が続ける中、バリケードから顔を覗かせていた若い男…の背後から別の男が顔を出し声をかける。
「おおー、生存者かっ?」
「…!」
…その男は、一言で言えば『大男』…
筋骨隆々で先に顔を出していた若い男よりもさらにイカツイ印象で頬にはタトゥーが入っており、
また言葉を選ばず言えば『暴力団』にいそうなタイプだ。
「ふーんっ」
その筋肉男が彩芽を含め、車内の3人も確認し、口を開く。
「入れてやれ」
筋肉男の指示でバリケードの若い男が「はいっ」と言いながら人が通れるスペースを開ける。
「…」
彩芽は何か探るような表情で少し考えるも、車内の春香達に声をかける。
「行こう、春香ちゃんたち」
「…」
一方の春香は、今見た2人の男性に良い印象を抱いていないが、このショッピングモールより外に出たって安全はない。
まだ"人間"がいるここの方が安全だ。
何よりも麗と美優がこの安全施設にいる方が生存率が高いはず。
そう思い春香は後部座席の2人に声をかける。
「行くよ」




