↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
56/139

襲撃

挿絵(By みてみん)

ボゴォ!


次の瞬間、タコの足のようにウネウネと動く木の根が、スイーツやお茶の並んでいたテーブルをめちゃくちゃに絞め潰しながら地面の中へと引き摺り込んでいく。



「……!? な、なにが……!」


「襲撃されています」


「え!?」



バチッ!

バチン!


私とクロヴィスの顔のすぐ横で魔術防御壁が何かを弾く音がした。

弾かれたことで役目を終えて姿を現したのは、どうやら小ぶりなナイフのようだ。

ぽろりと地面へ落ちていく。


……たとえこの世界であっても、ただの木の根やナイフが意志を持って動くことはない。


広い庭園の中で、蠢く木の根から離れた場所に着地したクロヴィスはナイフを弾きながらも、すん、と鼻を鳴らす。



「! この臭いは……」



ズズズ……


襲い来る見えないナイフの雨を捌いていたせいで一瞬反応の遅れたクロヴィスは、足元から現れた別の木の根に足を掴まれ私の体から手を離してしまう。



「お嬢様……!」


「わたくしなら大丈夫です!」



私は自分を中心に球状の魔術防御壁を展開しつつ、聖女の加護でクロヴィスの足を掴んでいる木の根を破壊した……が、破壊したそばから他の木の根が彼を狙って襲いかかる。



「(!? キリがない……!)」



払っても払ってもクロヴィス目掛けて伸びてくる木の根に鬱陶しさが募る。

クロヴィスはクロヴィスで、見えないナイフを振り払うことに苦戦しているようだった。


魔術防御壁は魔法攻撃には強いけど、ナイフや木の根みたいな物理攻撃には結構脆い。

攻撃を受けるたびにその破壊と再生を繰り返しているせいで、私はともかくクロヴィスの魔力消費が大きいようだ。

……このままじゃジリジリ追い込まれる。



「……クロ! あなたの防御もわたくしが担います! あなたは犯人を取り押さえて!」


「っ、お嬢様、どうかお気をつけて。いざという時はご自身の安全を最優先にしてください。襲撃犯は複数です。そしておそらくこいつらは……誕生パーティーであなたを襲った犯人の仲間かと」


「!」



クロヴィスはそう言って剣を抜くとぐるりと辺りを見回し、木の根と見えないナイフを切り捨て、弾きながら、ヴァロワール家の庭園のシンボルのような大きな木を目掛けて地面を蹴った。



「チッ! どうしてこんなすぐに場所が割れるんだよ!」



木の上から焦ったような男の声がする。



「これだけ大きな木の根を持つ木なんて、ここじゃ限られてる」



クロヴィスのアップルグリーンの瞳がターゲットを定め、そこに向かって剣を握り直した。



「クソ……クソッ! や、やめろぉ!! …………なんて、言うと思ったか?」


「!?」


「脆いなあ!」



木の上の男に向かって地面を蹴ろうとしたクロヴィスの四方八方を取り囲むように、無数のナイフが現れた。

代わりに……気づけば私への攻撃が止んでいる。


……まずい!!



「いくら"アゼリアお嬢様"の馬鹿みてえな魔力量でも、これだけの物理攻撃を連続で受けたら防ぎ切れねえだろうよ! お前さえ殺っちまえば、"お嬢様"は丸腰も同然だ!」


「……っ!」



クロヴィスは奥歯を噛みながら自身を囲むように魔術防御壁を発動させる。


聖女の加護を、甘く見るなよ……!

私は自分の持つ魔力リソースと聖女の加護の全てをクロヴィスの周囲に魔術防御壁として何重にも展開させた。



「甘っちょれえなぁ、これだから温室育ちのお嬢様には反吐が出るぜ……ま、その甘さがお前を殺すんだけどな」


「!! お嬢様!!」



クロヴィスが私を振り返って呼ぶ声が聞こえた瞬間、離れた木の上にいる男と目が合った気がした。

普段エブリスタで書いている同名小説をこちらでも順次アップしています。

★毎日22時に続話追加

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。