ノルディエン家の騎士についての調査結果
騎士団の地道な基礎訓練をみっちりこなしてへとへとになり、ゆっくりシャワーを浴びてから夕食を終える頃、クロヴィスが私へ声をかけた。
「お嬢様。お耳に入れたいことがあるんですが、お食事後に少しだけお時間をいただけますか」
「ええ、もちろんですよ」
「ありがとうございます」
クロヴィスがわざわざ前置きをしたということはあまり他の人には聞かれたくないことなんだろうか。
食後に私の部屋へ案内をして椅子を勧めたけど、クロヴィスはいつも通り丁寧に断ったので、私だけ椅子に腰を下ろす。
クロヴィスは前置きもなくすぐに本題に入った。
「昨日学院での昼休憩のときに、お嬢様の様子を見ていたノルディエン家の騎士がいたかと思うんですが」
「第4学年の方でしたね。お話ができたのですか?」
「はい。『誰の指示で』『何をしていた』のかを確認しました。………………」
「……?」
一度言葉を切って申し訳なさそうな顔をして目を伏せたクロヴィスに、思わず首を傾げる。
「…………申し訳ありません。あの騎士は停学中のギルベルト様の指示で俺の情報を集めていたそうです」
「え? わたくしではなくクロの情報を?」
北部の辺境伯家の令息がどうしてクロヴィスの情報を……?
「はい。あの騎士が言うには、ギルベルト様は間もなく停学が明けるため、俺の復学次第で『公開試験会』のどの部門にエントリーするかを決めるつもりだったようで……昨日はお嬢様の復学の様子を確認しに来ていただけだったようです」
「なるほど……」
私は顎に指を当てて考える。
クロヴィスはアゼリアに合わせて学院を休んでたけど、アゼリアの回復……つまりクロヴィスの復学は、ギルベルトが思ってたより早かったんだろう。
アゼリアの記憶によれば、ノルディエン家は軍人貴族だからか、跡取りのギルベルト本人も戦闘能力が高い。
座学が得意なタイプではないみたいだし、『公開試験会』の剣術部門で優勝最有力候補のクロヴィスがいなければ、他の部門で苦労するよりもラクに勝ち上がれると思ったのかな……。
とりあえず、アゼリアになにか恨みがあって嗅ぎ回ってるとかではないなら、この件は放っておいてもよさそう。
「……それにしても、ギルベルトは『公開試験会』に対してかなり熱を入れているのですね」
「一族の名誉もかかってますから、お気持ちはわかります。俺も剣術の授業で手合わせをしていただいたことがありますが、ギルベルト様の戦闘に関しての実力は本物でした」
クロヴィスがそこまで言うなんて……。
私はクロヴィスを見上げた。
「ふふ。クロと本気で戦ったらどちらが勝つのでしょうか」
「それは……」
クロヴィスは私の視線を受けても動じることなく微笑んだ。
「お嬢様の望まれた通りの結果になるかと」
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