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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第994話:神様のお使い

 ――――――――――一七九日目。


 フイィィーンシュパパパッ。


「おー、こっちはいい天気! いい風!」


 本の世界で肉狩りをした後、うちの子達は置いて、一人でソロモコへやって来た。

 どーもこのクエストは何やっていいのかわからないので、定石通り時々来てコミュニケーションを取るのが最適解だろうと思われる。

 ちなみに何でも知ってる金髪人形アリスに何でも知りたい美少女精霊使いが聞いてみたのだが、ソロモコに確定した困りごとなんてないらしいのだが?

 大きな船が来ているという、住民からの気になる情報もあるんだけどなあ?


 しかしソロモコは暖かくていいところだなー。

 確かに風はやや湿り気を帯びているのだが、気温があるとこれくらいの方がいい。

 夏になるとすごく暑いのかしらん?

 ずんずん集落の方へ。

 ココヤシゾーンを抜けると住民の男達がいた。


「こんにちはー」

「「うんばー!」」


 皆仮面被っているし、服装も半裸なので誰が誰やら区別はつかない

 まーでもフレンドリーならどうでもいいのだ。


「お土産にお肉持ってきたよ」

「「おにくびみらー!」」


 ハッハッハッ、お肉のおいしさを脳に刷り込んでやった。

 どこへお土産にしてもお肉は喜んでもらえるなあ。

 二人とともに集落へ行く。

 今日は会う人会う人がバタバタしてるな?

 ソロモコの人達は歩く時のんびりっていう印象があったけど。


「随分と慌ただしいね。どうしちゃったのかな?」

「かずら?」

「うん。人も多いけど、何かイベントでもあるんだ?」

「ししらまいら!」

「えっ、神様のお使いが来てる?」


 ……あたしは純な乙女だから、何かいいことがあった時と頼みごとがある時にだけ神様を信じることにしている。

 とゆーかそれ以外は神様の出番じゃないとすら思っている。

 あたしの夢の中に出てきて睡眠を邪魔するのはいかがなものか。

 そーいや飛空艇を落とした日以来、たわわ姫出てこないな。


 で、ソロモコの人達は神様のお使いを信じちゃってるのかな?

 本当に神様のお使いなのか?

 騙されてないか?

 この前来たという、大きな船に関係があるか?


 いずれにしても、これがソロモコへのクエストが出た原因かもしれない。


「あたしもソロモコの救世主として、神様のお使いに挨拶しておこうかな」

「こちら!」

「うん、ありがとう。行くよ」


 神様のお使いがいるという広場へ。

 おー混雑してるね。

 神様のお使いを歓待しているようだ。


「あめらししら!」

「あれがお使い様か。ん?」


 どこからどう見ても大きめのフクロウだ。

 ただのフクロウじゃないことは、五〇を超えるレベルからして明らか。

 なるほど、本物の神様のお使いっぽいな。

 仮に帝国の軍艦が偵察に来て使者を派遣するにしても、まさかこんなんを送り込んでくるわけがない。


「おめらおうら」

「へー、皆の被ってる仮面はフクロウを模したものなんだ」


 ソロモコにはフクロウに似た神がいて、夜を支配しているとする信仰があるんだそーな。

 お使いは神の支配下にない昼にやって来ることがあり、使者もまたフクロウが担っているということらしい。

 了解したよ。

 それにしてもレベルの高いフクロウだなあ。

 さすが神様のお使いだけのことはある。


「ハッハッハッ、ボクを崇めるんだホー!」

「神様のお使いならコモンズ喋れるのは当然ではあるか。んー? でも神様じゃなくてあんたを崇めるの?」


 どっかで聞いたようなセリフだな?

 あっ、さては!

 群衆の前に出てフクロウの頭をむんずと捕まえ、こちらを向かせる。


「こんにちはー」

「えっ、共通語?」

「コモンズならソロモコの人達に内容伝わらないでしょ。あんた、ちょっと話を聞かせなさい」

「……つかぬことを伺いますけど、あなたは一体どなたで?」

「ウルトラチャーミングビューティーこと、ドーラの美少女精霊使いユーラシアだよ」

「というとヴィルを従え、バアルを捕らえたという?」

「よく知ってるね」

「ひええええええ!」

「こら、騒がない!」


 高位魔族でした。

 なるほどコンパクトなボディーにかなりの魔力だ。

 最近悪魔と絡みが多いな。

 ヴィルやバアルの現況を知っているところからすると、この子は情報収集に長けているらしい?


「ちなみにあたしは、ソロモコの危機を救う伝承上の救世主らしいんだ。であるとすると美少女精霊使いとしては、オーディエンスの期待に応えなきゃならない。わかるね?」

「は、はひ……」


 いかん。

 フクロウはどうでもいいけど、周りの人々が動揺している。

 傍からは神様のお使いと救世主が揉めてるように見えるか。

 こんな時は……。


「お肉だぞお!」

「「「「「「「「おにくびみらー!」」」」」」」」


          ◇


「じゃあフクちゃんは魔王の配下なんだ?」

「は、はい。できればボクのことはゾラスと呼んでいただけると……」


 皆が宴会を始める中、ゾラスと名乗ったフクロウの悪魔から話を聞く。

 フクロウだからフクちゃんでいいだろ。

 朝御飯は食べてきたんだけど、あたしも少し食べちゃった。

 周りがお肉食べてて自分が我慢なんて耐えられんわ。


「つまり神様のマネごとをして、ソロモコの住民から尊敬の感情を得ているってことだね?」

「そういうことですホー」


 悪魔にとっては悪感情よりも尊敬の感情の方が美味らしい。

 神様とそのお使いという地位になりすまし、尊敬の感情を得ているということか。

 ふうん、うまいこと考えたなとは思うが、特別どうってことはなさそう。

 どうやら悪魔のためにソロモコが危機に陥ってるというわけではないな。


「あの、こういうことは悪質だからやめろとおっしゃりたいのでしょうか?」

「え? 別にいいよ。特に悪質だとは思わないな。あんた達だってエネルギーの摂取は必要だし、騙してソロモコの人達からものを巻き上げたわけでもないんでしょ? 悪感情得ようと悪さするならお仕置きするけど、それよりよっぽどマシ」


 ホッとするフクちゃん。

 いや、ホーとするフクちゃん。


「ところでウソ吐いて神様のお使い名乗ってるのはどうなの? 悪魔って一般に、ウソ吐くのはあんまり好きじゃないみたいだけど?」

「いや、ボクとしては丸く収まるなら、ウソ吐くこと自体に特に抵抗はないのですホー」

「ふーん。悪魔もいろんな子がいるんだねえ」


 個性色々だな。

 フクちゃんは現実路線の子か。

 話はしやすいんじゃないの?

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