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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第971話:リリーを連れて

「おーい、じっちゃーん!」

「何じゃ、騒々しい」


 昼御飯を食べて塔の村にやって来た。

 騒々しいかなあ?

 魅力が溢れちゃってるだけだと思うよ。


「じゃーん! 黒妖石を持って参上!」

「おう、転移の玉用のものじゃな?」

「あたしとアレクの分で合わせて四つね。大きさとか大丈夫かな?」

「……うむ、申し分ない」


 デス爺がためつすがめつ黒妖石を眺めている。

 よかった、これで不十分だとあたしの名前の自由開拓民集落で買った、デカい黒妖石を割って使わなきゃいけないところだった。


「しかし黒妖石もこれくらいの大きさになると、簡単に手に入るものではないであろう? どうやって入手したのじゃ?」

「ギルドに掘り出し物屋さんってのが来る時があってさ。一個五〇〇ゴールドで一〇個買ったんだ」

「ほう。ということは、まだ残りを持っていると?」

「うん。この大きさのはあと六個ある。それからカラーズの緩衝地帯と掃討戦跡地を結んでる転移石碑に使ってる、でっかい黒妖石も残り二つあるよ。西域の自由開拓民集落で買ったんだ」

「目端が利くの」

「利くんだよ。ところでじっちゃん。どこかで黒妖石を掘り出せるところか、買えるところ知らない?」


 あたしにももう、小石以外の入手の当てがない。

 デス爺が知ってるなら教えてもらいたいが。


「あいにくワシも知りたいくらいじゃ。手持ちの黒妖石を使い切ってしまっての」

「そーだったかー」


 ドーラじゃ偶然以外に手に入らないっぽいな。

 まあ仕方ない。

 小石の利用を考えてみるか。


「今日はリリーと帝国行くんだ」

「ふむ、聞いておる。母君のお見舞いだとか」

「皇妃様が呪いかけられて危なかったの。『舞踏の呪い』っていう三日苦しんで死ぬってやつ。災難だったなー」

「聞いたことはある。現在実際に使える者がいるとは知らなんだが」

「あたしもバアルにその呪い食らったことがあるんだけど、最初の内は呪いってわかんないんだよね。気付くの遅れると手遅れになっちゃうからヤバい」


 宮廷魔道士長が現場を調べていた。

 呪術の詳細を知ったとしても、手法が世に漏れることはないだろう。

 消えていい術だ。


「ユーラシア!」

「あ、来た」


 リリーと黒服だ。

 画集持ってるな。


「皇妃様に見せてあげるんだ?」

「うむ、我の晴れ姿だからの」

「まだ塔の村には情報入ってないかもしれないけど、この画集、予定通りメチャクチャ売れてるんだ。初版二〇〇〇部の内、印刷が間に合った七〇〇部だけレイノスで販売したんだよ。でも瞬殺、もう二〇〇〇部重版がかかってる。さらに帝国の商人さんからも二万部注文が入ってるんだよ」

「ほう、大したものだの」

「合計一〇万部目標だったけど、軽くクリアできそうな感じだなー」


 いや、マジで。

 帝国は人口がメッチャ多いから、画集の存在さえ知られればやたらと売れちゃうわ。

 宣伝はあたしが張らないと。

 黒服が聞いてくる。


「続編は出さないんですか?」

「続編かー。絵師がいい女しか描こうとしないんだよね。モデルを調達できればあるかも」


 でも同じことやるってつまんないしな?

 新しい切り口があればやってもいいけど。


「行こうか。じっちゃん、またね」

「うむ。皇妃殿下によろしくの」


 転移の玉を起動し、一旦帰宅する。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。

 皇宮に到着。


「やあ、精霊使い君。あっ、リリー様? これは失礼を!」

「よいよい。お勤め御苦労なのだ」


 恐縮する近衛兵を制するリリー。


「皇妃様のお見舞いに来たんだよ。まだ寝てる?」

「いや、すっかりお元気です」

「えっ?」


 三日間苦しんでたんでしょ?

 体力あるなあ。


「二日前の様子からすると、皇妃様ようやく起き上がれる頃かな、くらいに思ってたんだよ」

「我が母様だからの」

「なるほど、リリーの母ちゃんだもんな」


 思わず納得。

 黒服がおかしそうだ。

 近衛兵が聞いてくる。


「その液体は? お茶?」

「これドーラで最高のお茶。『リリーのお気に入り』っていうの。皇妃様にお土産だよ」

「ユーラシア、我の分がもうなくなりそうなのだが」

「あたしも販促と接待用しか持ってなくて、自分じゃ飲んでないんだ。新茶の季節まで待ってよ」

「仕方ないの」


 そーいや無限に湧き出る『ネクタルの甕』があったんだった。

 あれ使えばよかったな。


「案内いたしましょう」

「いいよ。お仕事中でしょ? リリーがいるから勝手に行く」

「しかし……」

「いや、構わぬ。職務を全うせよ」

「はっ!」


 おーリリー格好いい。

 三人で正門へ。


「歩くと割と遠いよね」

「宮殿だけあって大きいからの。今までここへ来た時はどうしていたのだ?」

「まあやっぱり歩くんだけど、飛んでく時もあったよ。塔の村でも売ってるでしょ。『遊歩』のパワーカード使ってさ」

「興味はあったが」

「使ってみる?」


 リリーに『遊歩』を渡す。


「魔力を流すと自動的に飛行状態になるよ。ちょっと待った。ここ枝が張り出してるから、頭の上に何もないところがいいな。念じる方向へ身体を持っていくイメージね」


 最初結構なスピードで上昇してったからビックリしたわ。

 念じ過ぎ。

 あ、でもコントロールできてるじゃないか。

 フワッと着地する。


「これは大層愉快だの!」

「でしょ? 黒服さんもやってみなよ。レベル高いほどコントロール難しいから注意ね」

「ありがとうございます。お借りいたします」


 ジワジワ浮いてきた。

 慎重だな。

 この辺性格が出る気がする。

 ひらひら飛んでる。

 上手過ぎて実につまらんな。


「便利ですね」

「歩くよりずっと速いから長距離移動にいいね。気に入ったら買ってあげてよ。二〇〇〇ゴールドだよ」

「注意点はありますか?」

「パワーカードは他のマジックアイテムや魔法の装備品と効果が干渉することがあるから、パワーカード使い以外の人は『遊歩』で空中戦とか考えない方がいいよ。ありがたいことに、これマジックポイント自動回復付きなんだ。実質マジックポイントの消費ゼロで安心」


 頷く二人。

 どうしても必要なものじゃないだろうけど、ぜひ売り上げに貢献してください。


「パワーカード屋はどこにあるんだったかの?」

「あっ? リリーは行ったことなかったか。路地の奥のわかりにくいところなんだ。エルかレイカに連れていってもらいなよ」


 やっぱあの場所は問題ある気がするな?

 皇宮正門脇近衛兵詰め所へ。

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