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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第965話:『魔王』クエストは難しい

「ただいまー。あれ? ソル君達じゃん」

「「「ユーラシアさん!」」」


 ベースキャンプに戻ってきたら、ソル君パーティーとオニオンさんが、何やら深刻そうに話をしている。

 あえて流れをぶった切るのがあたしのやり方。


「会えてよかった。イシュトバーンさんの美人絵画集できてきたんだよ」

「売れ行きがすごくいいと聞きました」

「まだ買ってないよね? モデルのアンセリには一冊ずつどーぞ」

「「ありがとうございます!」」

「ソル君もいる?」

「いえ、見せてもらいますので」


 見せてもらってくださいニヤニヤ。


「ところでどうしたの? つまんなそーな顔してたから気になっちゃって」

「『魔王』のクエストで」


 ソル君は『魔王』というなかなか雅な響きのクエストを請けている。

 同じく雅な魔境に関係があるのか?


「いや、レベル上げなんです」

「魔王の居城に行く道中がかなり面倒なんだ」

「ショートカットなり近道なりが存在すると思われるんですけど、発見することができないのです」

「ユーラシアさんの『雑魚は往ね』を習得させてもらえば、道中のマジックポイント節約になるのでは?」


 ソル君、アン、セリカ、オニオンさんが次々に話す。

 ふむ、この前バエちゃんに聞いた状況とあまり変わってないみたいだな。

 ソル君が聞いてくる。


「この前チュートリアルルーム行った時に、ソル君達が苦労してるみたいだ、とは聞いた」

「ユーラシアさんだったらどうします?」

「ヴィルも近道があるだろうとは言ってたんだ。見つけて行く」

「やはり道なりはあり得ないですか?」

「ソル君達が苦労するくらいじゃ食指が動かないな。楽しくて儲かるなら大喜びで道なりで行くけど」


 こら、あんた達あたしの行動原理を笑うな。

 解決手段としては……。


「魔王配下の悪魔に知り合いがいるんだ。その子に聞こう」

「「「「えっ?」」」」

「今から行くよ。オニオンさんまたね」

「「「はい!」」」「またのお越しを」


 フレンドで転移の玉を起動し、一旦あたし達のホームへ。


          ◇


「おーい、じっちゃーん!」


 肉狩りをしてから解体はクララ達に任せ、ソル君パーティーとヴィルを連れて塔の村にやって来た。

 ソル君達は肉狩りに適した転送先を持ってないようで、お肉分けたげるよって言ったら大変喜んでくれた。

 冒険者なのにお肉を得られないとゆーのは悲しいことだなあ。

 クララの包丁捌き見てビックリしてたけど。


「何じゃ、騒々しい。む? ソールではないか」

「デスさん、お久しぶりです」

「塔の村に用じゃったか?」


 輝く頭部に説明する。


「今ソル君『魔王』ってクエスト請けてるんだよ。情報収集に来たの」

「ふむ、ザガムムか」

「そうそう、ウシ子」


 ソル君パーティーが『ウシ子?』って顔してるけど、見ればわかるよ。


「ユーラシア、話はアレクに聞いた。黒妖石四個を持ってくるがよい」

「ありがとう。四個でいいんだね」


 あたしの分の転移の玉とビーコン二個、アレクの分の転移の玉ってことだな。

 アレクの分は行き先がカラーズと塔の村で、ビーコンは既存のでいいはずだから。

 ソル君が聞きたそうだったので、デス爺製の転移の玉であちこちに飛ぶ構想について話した。


「あたしも直接飛べないところがあって不便だからさ」

「以前掘り出し物屋で購入した黒妖石を使うと」

「ようやくあれの出番だよ。観賞用にしては風情がないし、重しにしては小さいんだよね」


 アハハと笑い合う。


「じゃねーじっちゃん」

「失礼します」

「気をつけてな」


 デス爺と別れ、塔へ向かう。

 アンが何かに気付いたようだ。


「あれは、モズさん?」

「アンとセリカ?」

「うわー、お久しぶりです」


 アンセリのテンション上がる上がる。

 おっぱいさんの弟で、最近冒険者を志して塔の村に来たんだよと、ソル君に教える。


「初めまして。ソールといいます」

「天下に名高いドラゴンスレイヤーだろう? こちらこそよろしく」

「ヴィルも初めてだったね。おっぱいさんの弟モズ君だよ」

「すごいお姉さんの弟だぬか。よろしくお願いしますぬ」

「おっぱいさん……すごいお姉さん……うんうん、よろしくね」


 和気あいあい。

 アンが聞く。


「モズさんは何故冒険者に?」

「頭でっかちは良くないと思ってね。実地も若い内に経験しとこうかと思って」


 レイカパーティーのジンに近いスタンスだ。

 レベルはムダにならないしな。

 ソル君が聞く。


「モズさんはパワーカードの使い手ですか?」

「ああ。精霊使いさんとペコロスさんに勧められたんだ」


 おっぱいさんとオニオンさんの関係を思い出したか、ニヤニヤするアンセリ。


「モズ君はソロなの? 今のレベルは?」


「仲間はまだだね。レベルは四。五を越えたら低層階にチャレンジしてみようと思ってるんだ」

「うーん……」

「難しいですか?」


 セリカが心配そうだ。


「……難しくはないけど効率は良くないね。この塔のダンジョンは特殊でさ。入り口である〇階は出入り自由で、スライムとか大ネズミレベルの魔物が出現する。モズ君の装備は魔法力と自動回復を重視した、ガチ後衛向きなんだ。『プチウインド』二、三発撃ってりゃ勝てるから、全然苦戦しないと思う」

「ああ、今のところその通りだ」


 問題は上の階へ行った時だ。


「五階まで脱出口がないって特徴があるの。出現する魔物はメチャクチャ強くなってるわけじゃないけど、数匹一度に出てくる時が多いから」

「なるほど、一人じゃ厳しいですね」


 ソル君が相槌を打つ。

 

「脱出魔法陣近くに陣取って一体で出た魔物狙い撃ちしてりゃ、ソロでもイケるよ? でも前衛を仲間にして後ろから『プチウインド』と『ヒール』唱えてる方が、よっぽど早くレベルアップできるでしょ。常識で考えて」


 ギルドに置いてないのに、オニオンさんがわざわざ取り寄せてまで装備させた『セイフティローブ』には、狙われ率が低くなる効果がある。

 パーティーを組んでないと意味のないカードなのだ。

 つまり仲間を得なさいというオニオンさんの意図がある。


「じゃあ、頑張って」

「ああ、気軽に声かけてみるよ」

「「「モズさん、さようなら」」」


 パーティーなんかとっかえひっかえでもいい。

 経験値は裏切らないから。

 誰もが冒険者としてずっとやっていけるわけじゃないのだ。

 レベルと知識と友を得られれば、人生大成功だと思う。


 塔の中へ。

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