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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第961話:皇妃様呪殺未遂事件についてリリーに報告

「精霊使いユーラシア参上!」

「参上だぬ!」

「「「ユーラシア!」」」


 うちの子達とともに、塔の村の食堂へやって来た。

 エルが聞いてくる。


「今日はどうしたんだい?」

「話もあるし確認したいこともあるけど、一番重要なことは夕御飯だね。今日は結構働いたからお腹ペコペコ」


 エネルギーの補充は最重要事項なのだ。


「ハハッ、早速注文を入れよう」

「今日は食うぞー!」

「今日も、だろ」


 アハハと笑い合う。

 アンセリやエルマ達は後輩っていうスタンスを崩さないしな。

 同世代で本当に気兼ねなくお喋りできる塔の村には、時々遊びに来たくなる。


「ユーラシアさん、『光る石』スタンドいいですねえ」

「いや、本当に。あれは大発明品ですよ!」

「そお? 喜んでもらえて嬉しいけれども」


 ジンと黒服が絶賛だ。

 クララやコケシも盛んに頷いてるしな。

 でも自分で使ってないからどーも。


「ウシ子はあれからどうしてるかな?」


 レイカが笑う。


「塔のてっぺんの悪魔か。大人気だぞ? しょっちゅう呼ばれてる」

「えっ?」


 何故に?

 本来悪魔なんて嫌われるものじゃないの?


「本当に呼んだら来るのか、試してる冒険者がいるんだ」

「そーゆーことか。ウシ子気を悪くしてない?」

「いや、喜んでるぞ。呼ばれれば呼ばれるほど、『ザガムムのお守り』が売れる理屈だから」

「なるほどなー」


 バアルはウシ子のこと強欲って言ってたけど、小金にうるさいだけのような気がしてきた。

 あるいは冒険者に認められて呼ばれるってのが心地良いのかもしれない。

 悪魔は面白いなー。


「あっ、魚フライ盛り合わせ来た! いただきまーす!」


          ◇


「思い出した。今日リリーの母ちゃん殺されかかったんだよ。それ伝えに来たんだった」

「「!」」


 呆れたようにエルが言う。


「大事件じゃないか。忘れてるのはさすがにひどいんじゃないか?」

「あたしの中では既に一件落着なんだよ。お腹の虫を黙らせる方が、優先順位が上だったの」

「どういうことなのだっ!」

「儀式呪術でさ……」


 皇宮に遊びに行ったら、皇妃様が呪われているからすぐ来てくれと言われた。

 クララの『キュア』と『ハイヒール』で皇妃様を治癒し、ヴィルに犯人を見つけてもらって逮捕に至った旨を話す。


「そうか、すまなんだな。迷惑をかけた」

「ユーラシア様、皇妃様の容体はいかがですか?」

「疲れてはいたけど、問題はないな。明後日には身体起こせると思う」


 三日間苦しんだんだと身体かなり弱ってるだろうからな。

 丸一日寝て、明日午後から消化のいいものを食べるくらいなんじゃないか。


「明後日か……」

「どうする? お見舞い行く?」

「頼んでいいか?」

「もちろん。明後日の午後でいいかな?」

「うむ、よろしく」


 やや首をかしげる黒服。


「ユーラシア様、呪いが『キュア』で解けるというのが解せないのですが」

「あたしもよく理屈はわかんないんだけど、クララの『キュア』は基本八状態異常以外にも効くんだよね。皇妃様にかかってた呪いはあたしも食らったことあるやつで、その時クララに治してもらったんだ」

「経験済みだったのですか」

「心の清らかな精霊の白魔法は一味違うんだって理解してるよ。同じ精霊でもコケシの『キュア』じゃダメな気がする」


 アハハ、コケシよ。

 そんな怒った顔しなくても冗談だってばよ。


「もう一つ伝えておかなくちゃいけないことがあるんだ」

「何であろ?」

「実行犯の呪術師はドーラに連れてきてる」

「「「「「「えっ!」」」」」」


 まあ驚くんだろうけど。


「どうしてだ!」

「お嬢様、お待ちください。皇宮サイドの許可がなければ、犯人をドーラに伴えるはずがないのです」

「何か考えがあってのことに違いない。まずはユーラシアの話を聞こうじゃないか」

「おおう、皆が注目してくれると話し甲斐があるなあ」

「そういうのいいから!」


 せっかちだなあ。

 タメくらい作らせておくれよ。


「実行犯なんてのは道具に過ぎないよ。重要なのは仕組んだやつが誰か」

「うむ、誰だ?」

「リリーは直球でえぐるなあ。いや、わかんないんだよ。儀式の現場が皇宮の塔のてっぺんだったから、皇族なら誰でもあり得るってことまでしか。ただし実行犯のグロちゃんは、第三皇子セウェルスが黒幕だと聞いたみたい」

「セウェルス兄上が?」


 リリーが首をかしげる。


「いや、お嬢様。万一実行犯たる呪術師が捕らえられたケースを慮っての、予防線でありましょう」

「うん。ポロっと本当のことを話したってこともないではないけど」


 どちらにしても証拠がない。

 そしてグロちゃんからもこれ以上の情報は出そうにない。


「って考えると、実行犯が牢屋にいたって、黒幕を追い詰める助けになんかならないでしょ?」


 頷く黒服。


「……毒でも盛られて消されるのがオチでしょう」

「後味の悪い幕引きじゃまっことつまらんから、この件については公表するなって言ってあるの」

「「「「「「えっ!」」」」」」


 ハッハッハッ。

 意表を突くのは実に愉快だなあ。


「いや、そうか。この事件について聞き回ることは、犯人だと自白してるようなものなのか。黒幕側は何もできない?」

「情報収集もできずに、生殺しみたいな日々を過ごすことを強要されるとは!」

「眠れない夜に苦しむといいよ」

「さすがユーラシア! 意地の悪いことを考えたの!」

「あんまり褒められた気がしねー!」


 アハハと笑い合う。


「仮に真犯人逮捕に至らなくても、疑心暗鬼に陥ってる間はこれ以上のアクションは抑制せざるを得ない、ですか」

「よくできた策だの!」

「もっと尊敬していいんだよ。で、呪術師グロちゃんは、結構な呪術の技量の持ち主なんだ。だからドーラのために働いてもらうの」


 いやあ優秀な人材が手に入って嬉しい。


「実行犯がドーラに来てることに関しては口止めしてないんだ。もしこの件についてドーラ政府にコンタクト取るよーなアホウがいたら、逆に辿って追いつめてくれってパラキアスさんに頼んであるよ。パラキアスさんは悪いやつだから、そーゆーことは得意」


 エルがボソッと言う。


「ユーラシアが生き生きとしてるな……」

「あたしを甘く見たやつは、後悔してもし足りない目に遭わせてやるのだ」

「これって元々君に関係ない事件じゃないか」

「あれっ? そーいえばそうだった」


 笑いの中で夜は更けてゆく。

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