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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第957話:フェイクなんて入ってない

「で、爺さんも飛行魔法の使い手なのか?」


 話しながら行政府へ行く。

 うん、ひゅーんと飛んできたイシュトバーンさんを見ればそー思うだろうが。


「違うんだぜ。ドーラにはこういうものがあるんだ」


 得意げに『遊歩』のパワーカードを見せるイシュトバーンさん。


「カード型の魔道具?」

「魔力起動していろんな効果を発揮する、パワーカードというものだぜ。飛行魔法が自動発動するやつがあってな」

「まさかそのカードさえ持っていれば、誰でも空を自由に飛べる?」

「とゆー理屈なんだけど、誰でもってわけにはいかないんだな。二〇くらいレベルがないと飛べない」

「ああ、なるほど。ベースは飛行魔法だもんな」


 あれ、グロちゃんたら、魔道についてもかなり知識があるっぽい?

 呪術も魔道の一分野だってことは知ってるけど、独学だって言ってたから呪術だけじゃなくて周辺分野のこともわかってるんだろうな。

 思わぬ拾いものだ。


「ところで君、ウルピウス皇子にプロポーズされていたろう。どうするんだ?」

「おい、その話詳しく」

「サラッと言われただけだし」


 と、突如忍び寄る二つの影。


「ユーラシアさん、イシュトバーンさん!」

「密会ですか逢引きですかスキャンダルですか?」


 いつものノリの男女二人組、新聞記者ズだ。


「こんにちはー」

「今日はタイミングが悪いぜ。せっかく面白い話聞けるところだったんだ」

「えっ、面白い話?」

「大好物です! ぜひ聞かせてください!」


 ノリが良過ぎるだろ。


「ごめん。面白いっちゃ面白いかもしれないけど、あたしだけの話じゃないんだ。相手の名誉のこともあるから、ちょっと話せないの。代わりにもっと事件的な意味で興味深い話を提供するよ」

「「何ですか?」」


 食いついてきた。

 いつもメッチャ熱心だけど、あたしがいない時の新聞ってどんな記事が載ってるんだろうな?


「話の性質上若干フェイクが入るけど、許してね」

「「わかりました」」

「ここにいるいかにも怪しい呪術師風の男、名前は言えないけど、今日起きたカル帝国のカレンシー皇妃暗殺未遂事件の実行犯だよ」

「「「えっ!」」」


 ハハッ、グロちゃんまで驚いてやがる。

 気分がいいなあ。

 イシュトバーンさんは意表を突かれた顔をしながらもニヤニヤしてるし。


「彼は帝都メルエル裏町の住人でね。何者かに呪殺を依頼されたんだ。契約金はいくらだったの?」

「……三〇万ゴールドだ」


 諦めたように話すグロちゃんと、すげえ楽しそうなイシュトバーンさん。

 結構なお値段だね。


「依頼主もターゲットも不明の中、彼が案内されたのは、帝国皇宮のとある塔のてっぺんの部屋」

「……皇宮の塔ということは、依頼主は……」

「想像してください。面白いでしょ?」


 ゴクリ。

 誰かの唾を飲み込む音が聞こえる。

 依頼主はセウェルス第三皇子っていうグロちゃんの聞いた話はあったけど、もちろん不確かなことは言えない。


「彼は必要なアイテム等を用意され、『舞踏の呪い』の儀式を始めた。これは発狂して苦しんだ上、三日で死に至る呪いだよ。この時点でもターゲットが誰かを教えられてなかったんだ」

「「「……」」」

「今日が三日目だった。たまたま皇宮に遊びに行った精霊使いユーラシアによって呪いは打ち破られ、彼はドーラに連れてこられたのでした」

「フェイクなんてほとんど入ってないじゃないか!」

「「えっ?」」


 猛るグロちゃんの迫力に動揺する新聞記者ズ。

 ハハッ、これがエンターテインメントだ。


「え、えーと……」

「どこまでが冗談なんです?」


 おずおずと聞いてくる新聞記者ズ。

 あらかた全部事実だけどな。


「どこまでだと思う? 仮に本当にそんな事件が起きたとしたら、あたしが彼をドーラに引っ張ってこられるわけないよね? 帝国だって犯人を釈放するわけにいかないから」

「「は、はい」」

「一方で、あたしが彼をドーラのために欲しかった理由ってのがあるんだよ。彼はかなり効果の高い魔物除けの札を作ることができるんだ。彼の技術があれば、聖水なんかなくてもかなり強い魔物を遠ざけ得る。これはフェイクなし」

「ということはつまり?」

「可住域を広げたり物資の輸送がより安全になったりする?」

「そーゆーこと! かなりドーラにとって有用な人材なのだ」


 こら、呪術師。

 クネクネすんな。

 褒められ慣れとけ。

 何故か悩ましげな新聞記者ズと、どーしてかメッチャ愉快そうなイシュトバーンさん。

 イシュトバーンさんは大体内容知ってるはずなのにな?


「いや、でも……」

「あれ、つまんなかった? ミステリーじみてて、新聞読者の関心を引けるんじゃないかなーと思ったんだけど」

「お話としては大変そそります」

「でも事実を掲載することをモットーとする報道紙としては、真偽の明らかでない記事を載せるわけにはいかないのです」


 何が報道紙だ。

 ゴシップ紙のクセに。


「お札まだ持ってるかな? 一枚くれる?」

「ん? ああ」


 グロちゃんからもらったお札を新聞記者ズに渡す。


「彼の自作の魔物除けの札だよ。このお札の効力を調べれば、彼の呪術師としての力量はわかるでしょ? お札を根拠に、あたしがドーラのためになる人を連れてきたっていう記事にすればいい。で、その人物について、あたしがいわくありげな素性を冗談っぽく話した。真偽のほどは不明って内容にすれば?」

「なるほど!」

「そうします! ありがとうございます!」


 よーし、これでよかろう。

 明日の新聞も売れるといいね。


「皆さんは今からひょっとして行政府に行かれるんですか?」

「うん。彼を紹介しにね」


 何だかんだで皇妃様呪殺未遂は結構な事件だからね。

 首をかしげる新聞記者ズ。


「しかし、お昼過ぎちゃってますよ? 今から訪れたのではお弁当を出してもらえないのでは?」

「あたしとしたことが、お昼に遅れて奢られ損ねるとはどうかしてた。美少女精霊使いらしからぬ失態だったよ。これは恥ずかしいから記事にしないでね」


 新聞記者ズ笑い過ぎだろ。


「じゃーねー」

「「ありがとうございました!」」


 グロちゃんが心配そうに聞いてくる。


「良かったのか? あれで。話さなくていい内容をかなり含んでたような気がするが」

「うん、バッチリ。新聞がよく売れちゃう」

「ええ?」

「まあ精霊使いには何か考えがあるんだろ」


 行政府に到着。

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