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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第950話:謎君の謎

 途中でワイバーンの卵をゲットして、魔境北辺西の人形系パラダイスに到達した。


「パーラダーイス! 見よ、金がエサのようだ!」

「何言ってるかわかりやすけど、わかりたくねえ」


 アハハ、これだけ人形系がいるのだ。

 陽気に行こうじゃないか。


 グリフォンもここまで来れるならエサやり放題だけどなあ。

 もっとも亡骸はグリフォン以外の他の魔物も食べ、また新しい魔物が生まれ育つ。

 それが魔境のサイクルなのだ。


 パラダイスを見渡すと?


「謎経験値君、かなり増えたね?」

「シルバークラウンね」

「ダンテは拘るなあ」


 遠目でもあちこちでぴょこぴょこしてるのがわかる。

 大体クレイジーパペット五体につき一体は謎君くらいの感じだ。


「このまま謎君が……シルバークラウンが増えていくと、クレイジーパペットと置き換わっちゃう気もするけど」

「姐御、ダンテに配慮しやしたね?」

「一々『シルバークラウンね』って言われるのも飽きたから、一度だけ気を使うことにした。今後はまた『謎君』もしくは『謎経験値君』って呼ぶけど、あんまり気にしないで」

「オーケー、ボス」


 いや、モタモタせず魔宝玉を狩らなければ。


「ユー様、新型を狙っていきますか?」

「クララは新型って言うのな? これだけ増えればナチュラルに戦えそうだから、普通にいこう」

「「「了解!」」」「了解だぬ!」

「手当たり次第だ! あっちのブロークンドール二体からね」


          ◇


「シルバークラウン、今日四体目でやすぜ」

「今日初めて、クレイジーパペット&謎君の編成になりそうだねえ」


 クレイジーパペットと謎君はパッと見似てるし、北辺では生息域が被ってる。

 謎君はクレイジーパペットの変種なのかなあ?

 レッツファイッ!

 ん? 謎君が逃げる素振りを見せない……ヤバい!


「全員防御!」

「「「了解!」」」「了解だぬ!」


 謎経験値君の目が妖しく輝いたかと思うといきなりの轟音!


「ドオオオオオオーーーーーーーン!」

「どわーっ!」


 自爆だ!

 全員が吹き飛ばされた上、かなりのダメージ!


「あたた。全員集合!」


 うちの子達の無事を確認し、『リフレッシュ』をかける。


「謎君にこんな派手な芸があったとは。侮れないやつだった」

「ヤバかったですぜ」

「ヤバいのは何となくわかってたけど、あの爆発じゃドロップするはずの魔宝玉も吹っ飛んでパーだよ。何て日だ!」

「ボスにはソッチの方がインポータントね?」

「冒険者にとって、そして人形系ハンターのあたし達にとって、魔宝玉はひっじょーに重要だわ」


 危険な爆発に注意することも冒険者の基本ですよって顔をクララがしているが、まーそうだね。

 クララは偉い。


「ヴィル、レベル上がった?」

「上がんないぬ」

「あたしも。とゆーことは、経験値ももらえないってことか」


 何てことだ。

 疲労感が増すなあ。


「丸損という衝撃があたしを打ちのめすよ……」

「ユー様、あれを見てください」

「相当面白いもの見せてくれないと立ち直れないんだけど」


 クララの指差したのは、ズタボロになったクレイジーパペットだった。

 えっ、ズタボロ?


「謎君と一緒に出てきたクレイジーパペット? 何で爆発ごときでダメージ受けてるんだろ?」

「おかしいですよね?」


 人形系レアがダメージを受けるならば、それはすなわち……。


「……あの自爆は防御力無視属性なのか。相当ヤバいんじゃないの?」

「相当ヤバいですよね」

「相当ヤバいぜ」

「相当ヤバいね」

「相当ヤバいぬ!」


 あの規模の爆発で耐性対策がムダ、防御力をあげてもムダってことか。

 防御してなかったらダンテやヴィルは瀕死だったぞ?


「クララ、『フライ』で戻ろう」

「まだタイムは早いね?」

「アルアさん家とギルドで換金してくるよ。おゼゼに余裕がないと冗談にも余裕が出ない」


 笑い。

 クララの高速『フライ』でびゅーんとベースキャンプに飛ぶ。


          ◇


「ただいまー」

「お帰りなさいませ。今日は少し早めですか?」

「うん。換金してこようかと思って。それよりオニオンさん、新種人形系魔物のヤバい理由がわかった」

「拝聴いたしましょう」


 オニオンさんが真剣な顔つきになる。


「自爆することがあるんだ。無警戒で食らうと、レベル五〇ある前衛冒険者でも耐えられないよ」

「えっ? た、大変な威力ではないですか」

「うん。あたし達は何度か遭遇してるから、いつもと挙動違うのがわかったけど、初見じゃ見切れないかも」


 眉根を寄せるオニオンさん。


「もう一つ。爆発した時、たまたまクレイジーパペットと新種が同時に出現してたんだ。新種の自爆でクレイジーパペットもやられちゃったから、あの爆発は衝波属性なんだと思う」

「事前に耐性で対策することもできない、防御力を上げても無意味ということですか。非常に危険ですね」

「体力勝負だね。今んとこ北辺にしか出ない。もし何かの拍子に戦闘になったら、とにかく防御しろって皆に伝えといてよ。北辺に行くような冒険者は、レベル高い人しかいないだろうから、防御すれば自爆にもギリギリ耐えられると思う」

「ハハハ、北辺に行くのは、ユーラシアさんのパーティーしかいないですけれども」


 そーいや北辺で誰かに会ったことないな。

 皆どこでレベル上げしてるんだろ?


「情報をもう一度確認させてください。新種人形系魔物の出現域が、北辺西の人形系レア魔物の多く出現するエリア。クレイジーパペットと似ていて銀色。ぴょんぴょん跳ねる、ですね? どういう時に逃走でどういう時に自爆か、違いはありますか?」

「戦闘になるまではわからないな。逃げるか自爆かは多分確率。逃げる時は若干ソワソワしてるから、ちょっと見慣れればわかるけど」

「見慣れちゃダメですよね。他の攻撃方法はないですか?」

「まだ何とも。でも自爆並みに注意の必要な攻撃法を持ってる気はしないな」


 手の内を見切った感はある。


「ありがとうございます。魔境に来る冒険者には注意喚起を徹底しておきますので」

「お願いしまーす。あ、新種にうちのダンテが『シルバークラウン』って名前つけたんだ。あたしは『謎経験値君』って呼んでるけど」

「ハハハ、『シルバークラウン』ですね。了解です」


 『謎経験値君』はスルーのようだ。


「じゃ、また来るね。オニオンさん、さよなら」

「はい、またいらしてください」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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