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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第944話:赤眼族のイモ

 フイィィーンシュパパパッ。

 コブタマンを狩って『焼け野原』の転送先に来た。

 縞模様の建物、ここに来たらやることは決まっている。


「精神を清める人っ!」

「「「はい!」」」

「グオングオングオングオングオングオーン!」×四。

「いやあ、満足した。さて、行こうか」


 どういう理屈か知らないけど、この建物防音性はいいみたいなんだよな。

 ガンガンしても外には聞こえないようだ。

 クララの『フライ』でコブタマンを赤眼族の集落まで運ぶ。


「おう、精霊使いの人!」

「こんにちはー。お土産少しだけね」

「少しって、一〇頭以上あるじゃねえか」

「ごめん、赤眼族と『少し』の感覚違う? あたしだとこれは少しなんだよ。少し持って帰った方がいい?」

「少しって、どんだけ持って帰るつもりだよ!」


 アハハと笑っていると、村長とミサイルが登場。


「よく来た!」

「いらっしゃい。今日は?」

「様子を見に来たんだよ。春も過ぎれば食べるものに苦労しないだろうけど、暖かくなるまでは心配じゃん」

「すまんね。そちらも大変だろうに」

「こっちはね、移民の移住元の帝国の法律が変わったんだ。次から来る移民は保存食とか作物の種とかを所持してるはずだから、もう多分大丈夫だな」

「冬の保存食は、こちらでも重要な問題だ。今回の火事で痛感した」


 村長が眉を顰める。

 大分家畜も潰してるはずだから、来冬は厳しいな。

 冬の保存食となると……。


「イモ大事だよねえ」

「「「イモ?」」」


 何故疑問形なのだ?

 穀物以外で保存が利く作物って言ったらまずイモだろ。


「ふつー、イモって保存食として重要じゃない?」

「まあ栄養価は高いが、量が取れるものではないからな」


 量が取れない?

 あれ、かなり認識にズレがある?


「赤眼族で大して加工もせずにまんま保存食として使える作物って何なの? 穀物以外だと」

「未加工で穀物以外なら、カボチャくらいか」

「ああ、カボチャか。冬まで持つもんねえ」

「保存食よりも、キャベツやダイコン、ニンジンなんかの冬でも収穫できる野菜がメインなんだぜ。火事でほぼ全滅だがな」


 なるほど。

 あまり保存食を重要視してない側面もあったのか。

 いや、食料庫焼けちゃったって言ってたから、保存作物があっても状況は一緒だったかもしれないけど。

 いつもいつも皆焼けちゃう大火事とは限らんから、保存食も重要なのは変わらない。


 とゆーか火事対策って重要だな。

 乾燥気味のドーラの気候は火事に弱いから、何か考えないと。

 

「……ちなみにこっちで言うイモってどんなやつ? 燃え残りがあったら見せてくれないかな?」

「これだ」


 小さい、見たことないイモだ。

 え、クララ何? ホドイモ?


「あたしらの方でイモっていうと、ジャガイモとかサツマイモを指すんだ。作るの簡単で収穫量多いから、すごく多く植えられてるの」

「ほう? 知らないイモだな。こちらにはないものだ」

「春になったら持ってきてあげるから、こっちでも増やしなよ」

「そりゃあすまんな」

「代わりにこっちのイモちょうだい。あたし達も作ってみたい」

「うむ、わかったぞ」


 よし、取り引き成立。

 いろんなものを食べられるようになるのは嬉しいな。


「じゃあねー」


 転移の玉を起動し帰宅する。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


「ユーちゃん、いらっしゃい」

「お肉お土産だよー」

「やったあ!」


 クネクネするバエちゃん。

 チュートリアルルームの見慣れた日常の光景だ。


「明日、夕御飯食べに来ていいかな?」

「あっ、じゃあカレーにするね。最近ダイコン食べ飽きちゃって」

「かなり収穫できたんだ? よかったねえ」

「作るのが面白いというのは理解できたわ。日に日に育っていくのが、見ていて癒されるの」


 あのダイコンは特別だけどな。


「赤眼族のことでさ」

「うん」


 バエちゃんの表情がちょっと引き締まる。


「役に立つ情報かわかんないけど、この前言い忘れたことがったんだ」

「どんなの?」

「地理的に言えば、赤眼族の集落ってのはドーラの大陸内にあることは間違いないんだ。ただし、あたし達の住んでるところからはかなり西に離れてるの。ほぼ接触がない」

「ふんふん」

「西へ旅して、赤眼族の集落に辿り着いた人の手記があるって聞いてさ。それに『物々交換を通して親しくなり、『かれえ』なる食べ物を供された』って記述があるんだって」

「えっ、カレー?」


 驚くバエちゃん。


「ちょっと興味をそそられるでしょ? あたしもかれえと聞いちゃ捨て置けないからさ、赤眼族に突っ込んで聞いてみたんだよ」

「面白いわねえ。私達たちの食べるカレーとどう違うのかしら?」

「いや、それがさ。レシピは伝わってるみたいだけど、くみん、たあめりっく、こりあんだあが何だかわからないらしくてさ。全然別物になっちゃってるっぽい」

「香辛料の知識を持つ人がいなかったということね?」

「みたいだね。仲良くなった赤眼族の子なんか、たまに食べさせられる草を煮た汁で不味いなんて言うんだよ」

「カレーが誤解されてるのはよくないわねえ。あんなにおいしいのに」


 うむ、あたしも残念だと思う。

 かれえが不味いなんてことがあるわけないのだ。

 誤解を正したい。


「バエちゃんとこの世界には、ジャガイモとかサツマイモはあるよね?」

「もちろんあるわよ。どうして?」

「赤眼族の人達は知らないんだよ。いや、イモの話をしてたら認識にズレがあってさ。赤眼族のイモってのは、あたしも知らないやつだったんだけど、クララが言うにはホドイモだって」

「ホドイモというのは私も知らないわ。私達の世界でも一般的なものじゃないと思う」

「ふーん。じゃあドーラに追放されてから手に入れたものかもしれないな」


 研究者みたいな人が調べるなら関心があるテーマなのかもしれない。

 しかしあたしが関心あるのは、ホドイモの味と栽培しやすさと収量なんだよなー。

 起源については誰かが勝手に調べて欲しい。


「バエちゃんとこの世界の人と赤眼族は元々同族かもしれないけどさ。少なくとも文化的には全然別物になっちゃってると思うよ」


 頷くバエちゃん。

 これでいい。

 赤眼族の情報を小出しにしていこう。

 異世界が赤眼族の何を警戒してるか知らんけど、もう危険なんかないと思うぞ?


「じゃ、明日楽しみにしてるよ」

「うん、待ってるね」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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