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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第933話:幻のスイーツ

「デザートでございます」


 うむ、食べたことはないけど、以前クララが作りたいと力説してたから知ってる。

 卵とバターと牛乳と小麦粉と砂糖をどうにかして作るケーキというやつだな? 

 なかなか綺麗じゃないか。

 どれどれ……。


「あまーい!」

「こ、これは……」

「おかわりじゃ! おかわりを所望する!」

「ハハハ、遠慮なくおかわりしてくれ」


 してやったりのイシュトバーンさん。


「あたしもおかわりを所望したいっ! でもまことに遺憾ながらもー入んないっ! 一生の不覚っ!」


 笑うな。

 いやだって、コブタ鍋もメッチャおいしかったんだもん。

 誰だ、甘いものは別腹なんてゆー虚言を流布させたやつは。

 魔法の葉青汁の刑に処す!


「老、これは? 正直食べたことのない美味です」


 皇族のプリンスが食べたことのないほどのスイーツかよ?

 こういうのって上流階級は食べ慣れてるもんなんじゃないの?

 多分お宝レシピを参考にしてるんだろうけど……。


「ワイバーンの卵を使ってるから味が濃厚だってってこともあるが、精霊使いよ。このレシピ本何だ?」

「バアルのお宝で出たってこと以外はわかんないな」

「細かい技法や工夫が多くて難物だ。今のところ唯一完全に再現できたのが今日のケーキなんだぜ」

「ビックリするほど美味かったわ」

「うむ、ところでおかわりはまだかの?」


 アハハ、笑うだけでお腹が苦しいわ。

 女王よっぽどケーキが気に入ったみたいだな。

 あんまり海底に甘いものはないんじゃないかと予想したけど、思った通りみたいだ。

 あ、おかわりが来た。


「当家の料理人の話では、過去の天才料理人達の秘密のスイーツレシピを集めたもんなんじゃねえか、ってことだ」


 ここん家の料理人腕がいいしな。

 作り方が細かくて複雑ってクララも言ってたし、当たってるかも。


「おそらくは帝国の宮廷料理人だろうとな。どうも今では知られていない道具がある。謎の手技もある。またドーラじゃ手に入らねえフルーツやナッツもあってな」

「ドーラじゃ手に入らないフルーツやナッツって悔しいなあ。あたし帝国に行けるようになったから、見つけたらもらってきて、ドーラに導入しよう」

「……製法の失われてしまった菓子の類か」

「これ、内容写させてもらっていいか?」

「もちろん構わないよ」

「いいのか? 世界中の料理人が欲しがる、まさにお宝のレシピ集だぞ?」

「おいしいものは、どこでも食べられた方が嬉しくない?」

「ハハッ、あんたはそういう考え方だったな」


 いや、普通そーゆー考えになると思うぞ?

 イシュトバーンさんが言う。


「さっきも言ったように、再現できたのが今日のケーキだけなんだ。正直これ以上は宮廷料理に詳しい協力者が欲しいぜ」

「少々味が劣ってもいいから、手に入れやすい材料使った簡単なレシピにできないかな? お手軽レシピ集だったら売れそう」

「どうしても儲ける方向に考えが行くのな」


 アハハと笑い合う。

 簡単おいしいレシピ集が出たら、皆が工夫しておいしい新スイーツができると思うよ?

 たくさん砂糖が消費されるから、サトウキビの大量栽培はありだな。


「『アトラスの冒険者』のクエストでは、貴重なものを手に入れられる機会があるのか?」


 クリークさんか。

 相当『アトラスの冒険者』に興味がありそうだが。


「どんなクエストを振ってもらえるかは運なんだけど、原則的に現在のレベルでクリアできないようなクエストは回されないんだ。実力があればあるほど、おかしなクエストに出会える可能性は高いよ」

「うちの娘は……毎日ドラゴンを倒す話ばかりしてるんだ。夢見るのもいい加減にしろと言いたいんだが」


 マックスさんか。

 まー心配だろうなー。


「ドラゴン見たら、満足して冒険者辞めちゃう人も多いんだって。リタイヤ組に比べりゃやる気のあるレノアは立派なもん。いつかドラゴンくらい倒せると思う。でもレベル五〇以下で倒そうとするのは現実的じゃないから、今は真面目に修行しろって言っといてよ」


 五〇以下のレベルで倒すのは、『竜殺し』の固有能力持ちがたまたま装備とパーティーに恵まれるとかじゃないと、難しいと思う。

 何だかんだでドラゴンだもんな。

 好戦的な性質も攻撃力もタフさも伊達じゃない。


「君の場合はどうだったんだ?」

「レアドロップの黄金皇珠拾おうとしたらレッドドラゴンに邪魔されて、ムカついたから倒したとか聞いたぜ?」

「何で知ってるんだよもー」

「皆知ってるんだぬ!」


 大笑い。

 イシュトバーンさんはどこで情報集めるんだか。

 まったくえっちだな。


「今では難なく倒せるんだろう?」

「そりゃあいつまでも夢見る少女じゃいられないもん。ふつーに倒すよ」


 手に入るの『逆鱗』だけだし、今となってはドラゴンって魅力的な魔物じゃないんだよな?


「見物人がいる時は倒すと盛り上がるから、アトラクションとして倒すことにしてるよ? けど正直そんなに実入りがいい魔物ってわけでもないんで、割とどうでもいい」

「ん? あんた結構倒してるって話じゃねえか」

「ドラゴンって性格荒くて向かってきちゃうんだよ。図体もデカいからやり過ごすのも案外難しくてさ」


 魔境ドラゴン帯は魔物密度が高いという事情もあるが。


「向かってこない魔物もいるのかい?」

「最近グリフォンとは仲良くしてるんだ。人形系魔物の亡骸を喜んで食べにくるから、あげるようにしてる。くおって挨拶してくれるようになったよ」

「羽毛を毟れるじゃねえか」

「もうちょっと仲良くなったら、エサと交換でもらおうと思ってる」


 ゲスト達が羽毛? って顔をしてるので説明。


「グリフォンの羽毛ってすげえフカフカの布団になるんだって。今狙ってるんだ」


 プリンスが言う。


「グリフォンの羽根布団か。最高級品と聞いたことはあるが……」

「プリンスが最高級品って言うくらいなんだ?」

「本当にグリフォンのものと証明できるなら、好事家がいくらでも金を出すと思う」

「証明はどうすりゃいいかな。グリフォンに会わせりゃいい?」

「「「「えっ?」」」」

「おんしの話はまっこと退屈しないの」


 さて、そろそろお開きか。


「ごちそーさま。おいしかった!」

「うむ、馳走になった。大した美味じゃった。また海底にも訪れてたもれ」

「喜んで」

「じゃーねー」

「バイバイぬ!」


 繰り返して転移の玉を起動し、ホームへ。

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