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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第922話:ウシ子

 もうちょっとラブロマンス成分が欲しいな。

 かき回したろ。


「あたしの弟分のアレクもエルラブなんだよね」

「知ってる。ハゲ村長の孫だな?」

「そうそう。アレクは年下だし住んでるのが遠隔地だし、ハンデが大きいじゃん? あたしはアレクの応援だなー」


 ピンクのモジャ髪男がちょっと真剣な顔付きになる。


「正直あり得ないと思ってたが、アレク×エルはあるのか?」

「あるに決まってるだろ。何であり得ないと思ってたのよ?」

「まだ子供じゃないか。頭でっかちでひ弱そうだし」

「年齢なんか時間が解決するだろーが。エルとの相性度で言えばチャラ男とどっこいどっこいだぞ? アレクのレベルは三〇オーバーであんたよりずっと上だし」

「レベル三〇オーバー?」


 何を愕然としてるんだ。

 モジャ髪ももうちょっと真面目に冒険者活動すりゃいいよ。

 あといくつかレベルが上がれば、段々他人の強さが感じられるようになってくるわ。


「ハハハ、まあいいだろう。階段はこっちだ」


 エルは自分のことでも、こーゆーのはサラッと流すのな?

 おっぱい関係になるとアップアップなのに。


「あれ、階段が四つもあるね?」


 あたしが以前登った時は一つしかなかったけどな?

 どゆこと?


「それぞれが一階、一一階、二一階、三一階に繋がる階段なんだ」

「へー。初心者が間違えると危ないねえ」


 いよいよこれは転移転送の類だな。

 この塔ドワーフが作ったって話だけど、ドワーフが転移転送に詳しいとは思えん。

 どっかから教えてもらった技術かな?

 モジャ男が補足する。


「大丈夫なんだ。一〇階の脱出魔法陣を使用すれば一一階行きを、二〇階の脱出魔法陣を使用すれば二一階行きまでの階段を使用できるようになる」

「初心者じゃ上級階行きは使えない設定か」

「一応オレが注意書きもしてるけどね」

「あれ? とゆーことは、三〇階の脱出魔法陣を使用したことのないあたし達は、三一階に直通で行けないのでは?」

「いや、一緒に行けば一つのパーティー扱いになるから問題ないはずだ」

「おそらくな」


 二人も確証はないらしい。


「まー行ってみようか」


 三一階行きの階段へ。


          ◇


 三一階は大きな部屋だった。

 備えつけであろう大きなテーブルと、椅子が何脚かある。

 パッと見会議室のイメージだ。


「あーら、いらっしゃい。助っ人込みで来たのねん?」

「君が高位魔族ザガムムだな? 塔の地下を解放してもらおうか!」

「おー、対決姿勢盛り上がる!」


 気が削がれたか、最上階の主である悪魔ザガムムがこちらを見る。


「助っ人風情が偉そうに……えっ? あなた達のレベル異常に高くない?」

「まあ高いけど。ヴィルカモン!」

「御主人の求めに応じ、ヴィル参上ぬ!」


 すぐにヴィルが現れた。

 呼ぶって言ってあったからな。

 ザガムムが驚く。


「あっ、ヴィル! ちょこまかとこの塔の様子を探っていたでしょう!」

「御主人の命令だったぬ!」

「御主人? あなた人間の僕に成り下がったのん?」

「じゃーん、大悪魔登場!」


 ナップザックから籠を取り出す。


「まさかバアルまで!」

「久しいであるな、ザガムムよ」

「あなた無敵じゃなかったの?」

「吾が主は強いであるぞ。これは忠告であるが、貴女程度では相手にならぬ」


 呆気に取られるザガムム。


「ごめんよ。あんたに謝らなきゃいけないことがある」

「な、何なのん?」

「うちの子達があんたのことウシだウシだって言うから、あたしはウシ君に会うの楽しみにしてたんだ。でもあんたはウシ君じゃなくてウシ子だった」

「ななな……」


 やはりヴィルやバアルと同じサイズの身体。

 黒を基調とする装いは悪魔に共通みたいだな。

 サフランみたいなドレスを着て、やや面長の顔に紅色の髪、きゅっと曲がった角が生えている。

 うむ、雌ウシだ。


「すげえコケシが嬉しそうな顔してるなあ。そーゆーの見ると、自分が悪になった気がする」

「何てこと言うんですか!」


 アハハと笑い合ってると、ウシ子が不満げだ。


「何なのん?」

「あたし達はオブザーバーなんだ。ウシ子がどんな子か見たかっただけ」

「君興味なくしてるだろう?」

「エルもなかなかやるなー。ヴィルやバアルに比べてウシ子のキャラ薄いから、割とどうでもよくなっちゃった」


 ヴィルはこの上なくいい子だし、バアルも大胆かつ偉そうなヘタレで面白い。

 この二人見ちゃうとウシ子はなー。

 どうやら特殊な固有能力持ちでもなさそう。

 ふつーの悪魔って感じがする。

 個性角オンリー?


「ななな……」

「あっ、ウシ子の顔赤くなった。赤べこだ!」


 再び笑い合っていると、ウシ子が怒り出す。


「ま、魔王様からこの塔を預かっているワタシに……」

「魔王からこの塔を預かっているだと!」


 エルが驚くけど、違和感あるな?


「ねえヴィル。ウシ子がこの塔にいるのはいつから?」

「一二の月の終わり頃からぬよ。帝国の山から帰ってきたらいたんだぬ」

「別に塔が魔王のものになったわけじゃないじゃん。何で急にウシ子が来るのよ?」

「そ、それは……」


 バアルが言う。


「魔王が配下を長きに渡って自らの下から去らせるというのもおかしいである。魔王は尊敬の感情を得られぬである」

「あーやしーいなー。さてはウソだな?」

「大方、魔王の了承を得ずして飛び出してきたのではないか? 冒険者の苦しみの感情を得るために、この塔に居座っているのであろう。すぐバレる偽りを申すなど、高位魔族を名乗るも汚らわしいである」

「嫌いだぬ!」

「ウソ吐く子かあ。さらに興味が削がれるな。地下解放したら行っていいよ」


 より赤くなり、俯くウシ子。

 悪魔でも恥ずかしいと思うのかしらん。


「に、人間風情がワタシに向かって……」

「面倒な子だなあ」

「面倒な子にはお仕置きですよ」

「こらコケシ、煽るんじゃないよ」

「ユーラシアさんばっかり煽って。私も参加させてください」


 あたしは計算して煽っているとゆーのに。

 どーしてこのサディスティック精霊は、敵が弱みを見せたと感付くや嵩にかかって責め立てようとするのか。

 実に正しい姿勢だけれども。


「つまらぬことをごちゃごちゃと! ワタシと戦うのです! 勝てば地下は解放しますん!」

「本気かよ?」


 見たとこあんた、レベル六〇もないじゃないか。

 そりゃあエルのパーティーだけじゃ勝てないだろうけど、ウシ子じゃヴィル一人にも敵わないぞ?

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