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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第921話:ピンクのモジャ髪の男

 フイィィーンシュパパパッ。

 塔の村に到着。


「遅いぞ、ユーラシア」


 と言いつつ嬉しそうじゃないか。

 エルよ、あたしが来るのが楽しみだったんだろ?


「ごめんごめん。お弁当作ってたんだ」

「「「「お弁当?」」」」

「最上階って三〇階なんでしょ? 魔物をスルーするとしても、行くだけで時間かかりそうだから」


 え? 何なのその微妙な表情は?


「正確には最上階は三一階だ」

「弁当は必要ないでござる」

「いらないの? 何で? あたしの腹時計は正確だぞ?」

「来ればわかるよ」


 塔のダンジョン入り口フロアへ。


「やあエル。今日も可愛いね」

「おはよう、ケン」

「何なん? このチャラいのは?」


 入り口フロアに佇む比較的長身の男。

 年齢は二〇歳過ぎくらいだろうか?

 ピンクのモジャ髪が目立つ。

 冒険者の心得があって、何かの固有能力持ちと。


「あれ、君は?」

「エルじゃない方の精霊使いだよ」


 驚くピンクのモジャ髪。


「チャーミングと噂の美少女精霊使いユーラシア?」

「あたしのことは『ウルトラチャーミングビューティー』ユーラシアと記憶してね」

「何だい、それは?」


 エル笑ってるけど。


「昨日名付けてもらったんだ。二つ名として採用しようかと思って」

「オーケー、ウルトラチャーミングビューティーね。ピッタリだよ」

「チャラいなー。言葉に重みがないのがよろしくない」


 ……このモジャ髪は何か隠し事をしていると見た。

 レベルは大したことないけど、先々ドーラにとって割と重要なポジションに来るやつなんじゃないかな。

 あたしのこーゆーカンは当たるから、注意しとこ。


「あんたみたいなのが塔の村にいるって知らなかったわ」

「おっと、オレもまだまだだね。最近この入り口フロアにいることが多いからかもしれないな。ウルトラチャーミングビューティーは、塔で稼ぐ気はないんだろう?」

「ないなー。今日はエルがデートしてくれって言うから付き合ってやることにしたんだ」


 ん? デートにピクッとしたぞ?

 モジャ髪はエルに気があるのか。


「最上階の悪魔に会いに行くってことはチラッと聞いたな。だからウルトラチャーミングビューティーが付き添いなんだね?」

「うん」

「ケンは冒険者として、ボクのパーティーの次にこの塔に入ったんだ。今は主に塔の案内係みたいなことをしている。塔内にある看板や立札は、全て彼の手によるものだよ。皆が感謝してるんだ」

「ふーん。活動資金はどこから出てるの?」

「えっ?」


 こら、エル。

 怪しいところは疑問に思えよ。


「いや、オレ自身ももちろん冒険者活動してるんだ。相棒とね」

「相棒?」

「こいつさ」


 モジャ髪からリスが顔を覗かせる。


「おおおおお、何じゃこりゃ。ギャップがズルい!」

「素直に可愛いって言えばいいじゃないか」

「だってチャラ男が『可愛いじゃなくてカッコいいと言ってくれ。フッ』とかほざきそーなんだもん」

「完全に読まれていたか。さすがはウルトラチャーミングビューティー」

「さすがなんだよ。で、活動資金はどーした?」


 モジャ男が両手を上げ、降参のポーズを取る。


「誤魔化されてくれよ。可愛げがないなあ」

「フェイスが抜群に可愛いからいいんだよ。ちょっとは隙作っとかないとね」

「怖い怖い。実はハゲ村長から出てるんだ。オレが他の冒険者と違って特別扱いされてるとなると妬まれるかもしれない。秘密にしといてくれよ」


 ウインクするモジャ男。

 慣れてそう。


「で、その前は?」

「「えっ?」」


 モジャ男とエルの声がハモる。

 小出しにするんじゃなくて全部話しなよ。


「時系列がおかしいだろーが。この塔へ来て初心者サポートするようになったから、デス爺がおゼゼ出してるんでしょ? 殊勝なこと始めたのは何でなの? さあ、首謀者の名前を吐いちゃおうか」

「おいおいエル、何なんだよこの子。追及が厳しいんだけど?」

「ユーラシアは頭もカンもいいから、隠し事はムダだ」

「頭もカンも顔も気前も女っぷりもいいんだよ。急いでるからとっとと話して」


 モジャ男の眉がやや険しくなる。

 ま、話すなって言われてるんだろうけど、話しといた方がいいぞ?

 あたしも全部ぶちまけろとは言ってないから。


「……パラキアスさんだ」

「ふーん」


 まあ意外ではない。

 初期から塔の村に注目していて、しかも諜報員送り込んでくるような人、他にいないもんな。


「どういうことだい?」

「ドーラの発展を考える上で、ここ塔の村が成長するかしないかでは雲泥の差なんだ。このチャラ男は、パラキアスさんに塔の村の様子を知らせろ、運営を手助けしろって言われてここに来たってことだよ」

「パラキアスというのはどういう人なんだい? ハゲ村長を訪ねてくることがあるから、名前と顔くらいは知っているが」

「デス爺のこと、皆がハゲ村長扱いなのな? エルはパラキアスさんと直接面識はなかったか。ドーラの大実力者で、全体のことを考えているかなり視野の広い人だよ」

「いい人なんだな?」

「いいや。悪いやつ」


 モジャ男が苦笑する。


「口当たりのいいことばかりで国は治まらないってことさ」

「パラキアスさんは口当たりの悪いこと大好きだからな。でも信用はできる人だよ。あたしもよく連絡取ってる」

「信用できる人なら」


 簡単に納得するなよ、エル。

 パラキアスさんはドーラ第一主義だから、異世界がドーラに仇なすなんてことになったら、エルは巻き込まれるかもしれないんだぞ?


「ちなみにチャラ男がエルにモーションかけてたのも、多分パラキアスさんの指示だぞ?」

「えっ?」

「違う! オレは……」


 以前コケシとチャグが言っていた、エルにモーションらしきものをかけてくる男、それがこいつだ。

 出自不明で情報の極度に少ないエルを調べるため、パラキアスさんが近付けと命じたのに違いない。

 いかにもパラキアスさんがやりそうなことだ。

 しかしあたしの優秀なラブセンサーが告げる。


「でも本気でエルが気になっちゃって、チャラい割に心が揺れてるぞ?」

「もう嫌だ! どうして全部言っちまうんだ!」

「ごめん。何かぶっちゃけた方が面白そーだったから」


 恨みがましい目で見てくんな。

 今日のエンタメポイントだったからつい。


「チャラ男とエルの相性はいいから、頑張れ」

「えっ、応援してくれるのか?」

「しないけど」

「何なんだよ!」


 んなこと言われても。

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