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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第916話:仲良しグリフォン

 フイィィーンシュパパパッ。


「オニオンさん、こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「あっ、いらっしゃいませ、ユーラシアさん」


 リモネスさんとビルカを送り届けたあと、魔境にやって来た。

 何でって、あたしは冒険者の鑑だから。

 素材と魔宝玉を回収し、ドーラを経済的に活性化させるのだ!

 お肉?

 そこだけは魔境の物足りないところだけれども。


「昨晩はどうもありがとうございました」

「いいんだよ、お兄ちゃん」


 アハハと笑い合う。

 ちょっとはおっぱいさんとオニオンさんの仲を深める役に立っただろうかニヤニヤ。


「いただいた『光る石』スタンドの件ですが」

「うん、使用感はどうだった?」


 クララが用いるのに特に不便はない。

 でもレベルの低い人が魔力を溜めようとするとどうなんだろうな?

 マジックポイントを消費し過ぎて、疲れたりはしないか?


「全然問題なく。ええ、大変便利に使えます」

「うん、よかった」


 じゃあ今後必要になっても、今の通りでいいな。

 レベル低くて最大マジックポイントがどうかって人にあげる時も、特に注意しなくてよさそう。

 明日二回目の引き取りだな。


「オニオンさんに報告してなかったな。この前魔境来た時、図鑑に載ってない人形系レアに遭ったんだよ」

「図鑑に載ってない? というと例の聖地母神珠をドロップするという?」

「いや、あの赤いのとはまた全然違うやつ。見たところから察するに、ヒットポイントはクレイジーパペットと同じくらいだと思う。銀色で、スライムみたいにぴょんぴょん跳ねるのが特徴」

「ははあ、聞いたことありませんね」


 オニオンさんも知らないとなると、やはり未知のやつか。


「戦闘になったけど、逃げられちゃったんだよね」

「場所はどの辺りですか?」

「北辺西の人形系の多く生息してる場所だよ。あたし達はエルドラドとかパラダイスって呼んでる」

「ハハッ、確認したのは一体だけですか?」

「うん、一体だけ」

「個体変異かもしれません。増えてくれば種として確立されるかも」


 今倒しちゃうとそれっきりかもしれないってことか。

 何をドロップするかわからんし、ちょっと残念だな?


「二体以上になったのを確認してから倒す方がいいかな?」

「貴重な個体のようです。学術的にはその方がありがたいですけど」

「あたしもそいつが増えた方が面白い気がするから、しばらく倒すの我慢しようかな」

「では、複数体になるまでは現状維持の方向でお願いします」

「りょーかいでーす、行ってくる!」

「行ってくるぬ!」

「行ってらっしゃいませ」


 ユーラシア隊及びふよふよ飛ぶいい子出撃。


「姐御、今日はどうしやす?」

「真っ直ぐ北かな。あんまり時間ないけど、素材優先でいこうか。一体くらいはウィッカーマン倒しておきたいし、謎経験値君の確認もしたい」

「シルバークラウンね」

「欲張りモードですね」


 アハハとザコを狩りながら北進する。

 北辺まで行って謎経験値君がどうかを様子見したら転移の玉で帰るかな。


「デカダンスだ。もうドラゴン帯まで来たか」


 考えてみれば、あたし達の冒険者生活の最初の難敵がデカダンスだった。

 西アルハーン平原掃討戦はもう五ヶ月近くも前のことだ。

 今やあたし達も大ベテランだもんなあ(んなこたあない)。


「グリフォンが二体来やしたぜ」

「ほんとだ。喧嘩しちゃうかなあ?」


 いや、仲いいから夫婦かな?


「今倒すから、ちょっと待ってなさい」

「「くおっ!」」


 あたしの言ったことは通じてるな。

 グリフォンは賢い。

 通常攻撃でデカダンスを倒す。


「一緒に食べていますね」

「よかった」


 今までグリフォンは二体いっぺんに現れたことなかったけど、エサ取り合ったりはしないみたいだな。

 二体ともこっちに親しみを見せてくる。

 くおっと鳴いて、優しい顔をしているのだ。


「両方慣れてるねえ。ということは、グリフォン同士でコミュニケーションが取れるのかな? あたし達のことを、エサくれる人と認識している?」

「その可能性が高いですね」

「インテリジェントね?」

「みたいだねえ」


 満足そうにエサ食べてる様子を見てると、魔物を飼いたい帝国人の気持ちがわかるなあ。


「ガルーダ飼いたい人もこんな気持ちだったのかなあ?」

「ユー様、グリフォンは飼えませんよ? 場所がないです」

「エサやるのも大変だしなー。エサは自分で取ってくるんだよって教えたら、人をさらってきそうだし」

「魔境の魔物ですぜ? グリフォンは魔力濃度の低いところじゃツラいのかもしれやせんぜ」

「むーん? 考え始めると難しいな」


 まあでも野鳥は外で元気にしてる子を見てる方が楽しいかもしれないな。

 帝国で捕らえられていたガルーダも、見世物貴族の慰みものにされるのはきっと面白くなかったろうし。

 グリフォンには時々エサやるくらいにしておこう。


 ダンテが疑問を口にする。


「……エンパイアはガルーダをどうやってキャプチャーしたね?」

「きっとすごく頑張った」

「ユー様、そういうのはいいですから」

「考えてみりゃ謎だな?」


 どうやって捕まえたんだろ?

 向こうの人、兵士以外はさほどレベル高くないしな?

 とゆーかレベルが高くて倒すことはできても、捕まえるのはさらに難易度高いぞ?


「ガルーダ結構強そうだったよねえ」

「グリフォンと同等だと思います」

「ドラゴンレベルね」

「あたしらが捕まえるとすると、とりあえず戦闘不能にしておいて縛って、クララの『フライ』で運んで蘇生が手っ取り早い?」

「血も涙もないでやすねえ」

「血はガルーダから出るでしょ。泣いて満足するなら泣くし」

「ひどいです」

「ひどいぬ!」


 例えばの話じゃないか。


「アイシンク、何らかのトラップね」

「テンケン山岳地帯で見た、網を火薬で打ち出すやつ、あれなら捕まえられるかもな。普通に戦って勝ってもズタボロで蘇生できなさそうだわ」

「『ララバイ』の能力者がいれば、かなり難易度下がります」

「あっ、眠らせちゃう手があったか」


 考えりゃいろんな手段があるもんだ。


「よーし、北辺のパラダイスエリアを目指そうか」

「トゥデイはエルドラドじゃないね?」

「おっ、ダンテはエルドラドの気分なのかな? じゃあアルカディアにしようか」

「前後の繋がりがわからねえ」


 アハハと笑いながら手を振ってグリフォン達に別れを告げ、さらに北へ歩を進める。

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