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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第915話:ウルトラチャーミングビューティー

 一本路地を入ったところの突き当りに問題の店? はあった。

 雰囲気として怪しい、逃げ場のない場所なので、本来なら警戒すべきなのかもしれない。

 けどカラザもイガ頭も全然悪意ないしな?

 何より店主が不可思議な存在過ぎて目を離せない。


「ビッケ、感謝しな。お客さん連れてきたぜ」

「ひゃっ、ありがとお!」


 机があって、ビッケと呼ばれた店主は椅子に座ってるだけ。

 何かを販売してるようには見えないが?

 リモネスさんとビルカにこそっと話す。


「……少し離れててくれる?」

「わかりましたぞ」「はい」


 とりあえず問題ないと思われる。

 特筆すべきは、店主である女性ビッケの妙な格好か。

 多分二〇歳くらい。

 全身を赤い布でぐるぐる包み、顔だけ出しているように見える。

 何これ? セルフ簀巻き?


 カラザがニヤニヤしながら言う。


「精霊使い。彼女は何屋だと思う?」

「何屋って言われても、格好がこれ以上ないくらい異常だろ。それ以上の情報が頭に入ってこないわ」

「ハハッ、今日は寒いからな」

「……えっ? 情報『寒いから』だけ?」

「姐さん、ビッケは暑くてもあの格好ですよ」

「寒いは全然関係ないじゃねーか!」

「いや、暑い時は布地が違うんだぜ」


 知らんわ。

 何だそれ?

 ドーラ産のいい布地ってどんなんがあったかなと、一瞬考えてしまったわ!


「で、ビッケは何屋だと思う?」

「何って、占い師か鑑定士?」


 何かを販売してるわけではなさそう。

 じゃあ他には思いつかんのだけど。


「惜しい!」

「姐さん、ビッケは名付け屋なんです」

「名付け屋? って何?」


 新製品の名前とか屋号とか。

 人間だったら二つ名とか異名とか称号とかニックネームとか?

 そーゆー名付けを行う商売らしい。

 実に面白いけれども。


「名付けが商売になるんだ?」

「店の屋号が覚えやすかったり、商品名が個性的だったりすると価値があるでしょう?」

「……ありそーだね」


 世の中いろんな商売があるもんだ。

 帝国は進んでるなあ。

 カラザが言う。


「ちなみにオレは『通な男』と名付けてもらったんだ」

「あっ、シンプルでイカす!」

「表の通りの喫茶店が売り出した野菜ジュース『穀菜派宣言』は大ヒットしたんです」

「おお、なかなかやるね」


 ネーミングに価値を見出すというのは意表を突かれるな。

 おまけにカラザやイガ頭はこの子をかなり買ってるみたいだ。

 それにしても……。


「何であんたはおかしな格好をしてるの」

「ひゃっ?」


 こいつコミュ障か?

 カラザが説明してくれる。


「ビッケは基本、ずーっとここに座ってるだけなんだ」

「だから?」

「寒いだろう?」

「そんな理由なのかい!」

「ひゃっ?」


 確かに布でぐるぐる巻きで顔だけしか出してないなら、大して寒いことないだろうけれども!


「しかしオレの目は誤魔化せねえ。精霊使いはこういうの大好きなはずだ」

「あんたはあたしの何を知ってるんだ。大好物だけれども」

「じゃあ二つ名でも名付けてもらえよ」

「あたしには美少女精霊使いという立派な二つ名があるんだけど」

「じゃあ通り名でもよ」

「ええ?」


 何で名前をつけさせたがるのか。

 あれ、リモネスさんもビルカも興味ありそうだな。

 

「姐さん、ビッケに任せて損はありませんよ」

「押すなあ」


 まあ面白そーだから構わんけれども。


「ちなみに料金はいくらなの?」

「ひゃっ?」

「あんたはそれしか喋れんのか? あたしがひゃい子と名付けてやる」

「ビッケはあがり症で赤面症で人見知りなんだ。勘弁してやってくれ」

「料金はタダなんです」

「えっ?」


 どゆこと?

 商売にならんだろーが。


「つまり客が名付けに満足した時のみ、いいだけ払うってやり方なんですよ」

「良心的っちゃ良心的だけど、気に入っても払わなかったり、少ししか出さなかったりとかないの?」


 ニヤッと悪い顔を見せるイガ頭。


「姐さん、そのために俺達がいるんですぜ」

「なるほど、いい商売だなー」


 つまりひゃい子が名付け、ケチった客はたかりの対象になって毟られるのか。

 ハハッ、物騒物騒。


「で、何であんた達はあたしに勧めようとするの?」

「あんたは気前がいいからな。絶対にケチったりしねえ」

「姐さんはいいものがわかる女に違いないぜ」

「どーしてあんたらは出会ったばかりなのに、あたしのことを理解してるのかなー」


 笑うとこか?

 完全にあたしのエンターテインメント好きが筒抜けになっとるがな。


「じゃ、お願いしよう。あたしにニックネームを付けてちょうだい」

「ひゃい。ビッケいきます!」


 やはり見通す系の固有能力持ち。

 『鑑定』か?

 リモネスのおっちゃんを遠ざけといてよかった。


「ひゃ? 『自然抵抗』、『精霊使い』、『発気術』、『閃き』、『ゴールデンラッキー』、『限突一五〇』ひゃ? ひゃ? ひゃ?」

「お、おい精霊使い。どうなってんだ?」

「どうって何がよ?」

「固有能力だよ! あんたいくつ持ってるんだ?」

「六つ」

「「六つ?」」


 まあ珍しいらしいけど。


「デタラメだな!」

「デタラメだのメチャクチャだの美少女だのとはよく言われる。でも何でニックネームつけてもらうのに『鑑定』がいるのよ?」

「個性に関係したニックネームにするでしょう、普通」

「なるほど、ちゃんとしてるってことか」


 で、ひゃい子大いに混乱してるみたいだけど?


「大丈夫なん?」

「ひゃい! だい、大丈夫です!」


 本当かよ?

 信用できないぞ?

 メッチャ頼りないんだけど?


「ああ見えてビッケの名付けは天才的なんだ。的確に客の感性のツボを突いてくる」

「ふーん?」


 ひゃい子がカッと目を見開き、顔を紅潮させる。


「ひゃい! 発表するです!」

「ドラムロール!」

「「えっ?」」


 虚を突かれたような顔をするカラザとイガ頭。

 ノリが悪いなー。


「あなたのお名前は、『ウルトラチャーミングビューティー』!」

「おおっ! ひゃい子やるなー」

「固有能力関係ねえじゃねえか!」

「割と固有能力はどうでもいいなー」

「姐さんは『ウルトラチャーミングビューティー』で満足なんで?」

「すげえ気に入ったよ。使わせてもらう!」


 ナップザックから透輝珠を取り出す。


「これお礼だよ」

「ひゃい。魔宝玉?」

「透輝珠。さっき表の店で売ったら三〇〇〇ゴールドになったよ」

「ひゃい?」

「今日面白かったよ。また来る。じゃあね」


 転移の玉を起動し、リモネスさんとビルカを連れ一旦帰宅する。

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