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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1770話:魅力爆発と魅力満開の違い

「サイナスさん、こんばんはー」

『ああ、こんばんは』


 夕食後に毎晩恒例のヴィル通信だ。


「本日はあたしの魅力爆発の日でした! めでたし!」

『魅力爆発なんてのはいつもだろう?』

「いつもはあたしの魅力満開なんだよ。爆発はしてない」

『違いが判らない』


 そーかも。

 詳細にあたしの魅力を語ろう。

 最初から行きます。


「双子皇子から『輝かしき勇者の冒険』をドーラで刷って販売してもいいとゆー権利を、謝礼としてもらったって話したじゃん?」

『ああ、聞いた』

「ヘリオスさんにあげようと思って、今朝レイノス行ったの」

『君が持っていても役に立つものではないからな。ヘリオス氏に譲渡して、世の役に立ててもらうというユーラシアの崇高な志がよくわかる』

「あれ? 計算外のところであたしの魅力が弾けてるぞ?」

『ここまで波乱の気配なし』


 何の実況中継だ。


「そしたらセレシアさんがあたしに用があるって、イシュトバーンさんが教えてくれてさ」

『セレシア族長が? 店の経営は問題ないんだろう?』


 セレシアさんの商売は危なっかしいから、連絡があると逆に不安に思っちゃうかもな。

 ただし今日は暗雲漂うって話じゃないのだ。

 あたしの魅力爆発の話。


「秋冬物と水着のデザインを、帝都の『ケーニッヒバウム』に届けてってことだった」

『今魅力爆発に関わるワードが出てきた気がする』

「わかる? サイナスさんは鋭いな。店着いた途端にセレシアさんに水着を着せられて。で、そのセレシアさんデザインの水着の布面積が小さい小さい。おっぱいと腰回りしか隠れてるとこない」

「隠すほどおっぱいがないである」

「あるわ! ちゃんと引っかかってたわ!」


 まったくこんな時ばかりバアルは茶々入れるんだから。

 失礼なやつめ。


「イシュトバーンさんがあたしの絵を描きたがったから、セレシアさんとこの店の前で公開写生ショーだよ」

『ユーラシアの水着ショーか。相当沸いたろう?』

「うん。レイノスにこんなにたくさん人いるんだなーって思った。ヴィルがあんなにソワソワしてたの見たことないわ」


 悪い感情じゃないんだろうけどな。


『その絵どうするんだ?』

「考えてなかったな。まあイシュトバーンさんの趣味だから」


 画集第二弾の一枚でもいいか。

 あたしも帝国に関わってるし。


『セレシア族長の服飾デッサンは帝都の店へ届けたんだろう?』

「もちろん。ただ今日は、ヴィクトリアさんと上皇妃様の会談の日なんだよね。で、『ケーニッヒバウム』に行く前にリリー連れて皇宮行って』

『ふむふむ』

「そこで再び魅力爆発の水着披露」

『何故だ?』


 何故だ言われても。


「きちんと採寸しなきゃポロリしちゃう水着じゃん? 布も丈夫で伸縮性のある特殊なやつなんだよね。となると富裕層じゃないと多分買えない」

「以前の採寸がそのまま通用したである。つまり主のおっぱいは大きくなっていなかったである」

「おいこらバアル! それは魅力爆発に関係ない話だわ!」


 余計なことばかり言うんだから。

 しかしあたしはこの掛け合いが面白いと思っているので、バアルも悪感情を摂取するためにからかうわけじゃないんだろうな。

 バアルにもよくわからんところがある。

 あれか、掛け合いの相方として認められたい純情な感情?


『皇族が新作水着をどう思うかも知りたかったってことだな?』

「そうそう。話戻してくれてありがとう。もうちょっと余韻を楽しんでもよかったけど」

『君ムダは嫌いなんじゃなかったか?』

「エンターテインメントはムダじゃなくて心の余裕なの」

『わからんなあ』


 ムダと心の余裕はどこが違うんだろうな?

 暇がある時考察したいが暇がない。


「でも思ったより上流階級の御婦人方には、あんまり隠さない水着が好評で。ドーラでは痴女扱いだったのに」

『ハハッ、痴女扱いだったのか。ユーラシアはあんまり恥ずかしがらないよな』

「恥ずかしいところまで全部見えちゃってるほどじゃないわ」


 でもチラッと金払えとは思ったけれども。


「解放感がいいらしくて。お貴族様が水着姿になるのはプライベートビーチとかだから、他人に見せる場じゃないみたい」

『ははあ?』


 うむ、お貴族様の感覚は庶民と違う。

 サイナスさんも庶民で安心した。


「最後に『ケーニッヒバウム』行ってデザイン渡して」

『三たびストリップか』

「ストリップではないとゆーのに。魅力爆発だとゆーのに」

『君その水着は仕掛けてヒットさせるつもりなのか?』

「今回はヒットを狙ったつもりはなかったよ」

『イシュトバーン氏の描いた水着絵を宣伝に使えば売れちゃうだろう?』

「かもね。でも採寸が必要だから数を捌けないんだ」


 お貴族様には評判よさげだから、やっぱ富裕層向けになるんじゃないかな。

 あの布がたくさん手に入るのかも、確認しないとわからない。

 まあフーゴーさんとピット君に任せとけばいいだろ。


「『ケーニッヒバウム』で聞いたところによると、フィフィの本がメッチャ売れてるみたいだよ」

『いいことだな。イシュトバーン氏の表紙絵なら当然かもしれないが』

「本屋も表紙が見えるような陳列の仕方してくれてるんだろうし」


 人々の目を本屋に注目させるということに関しては、画集に続き大成功だな。

 一過性のブームで終わらせてはいけない。


『これからも本の仕掛けはあるのかい?』

「スイーツレシピ本が出版されるのは早いかな。画集第二弾はちょっと遅くなりそう。ビアンカちゃんの恋愛小説の方が先になるかも。言ったっけ? プリンスルキウスの母方の実家の子」

『物語を書ける子とは聞いたな。名前は知らなかったが』

「ビアンカちゃんの小説の進捗状況どうなってるんだろうな? 今日聞けばよかった」


 サロンは開かれているようだったし。


「フィフィの本が十分売れたところで、フィフィを帝都に連れていってイベントだな」

『色々考えてるんだなあ』


 あたしのような知性派美少女は、考えてる時が一番楽しいのだ。

 しかし主人公補正のおかげで、思ったようにならないことも結構ある。


「サイナスさん、おやすみなさい」

『ああ、御苦労だったね。おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『はいだぬ!』


 明日はたわわ姫のところへイシュトバーンさんを連れていく日だが、日中は予定ないな。

 やることはたくさんあるけど?

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