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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1741話:不思議なのか不思議でないのか

 ――――――――――二七三日目。


「雨は上がった。けど?」


 結構どんよりした空だな。

 まだ降るかも。

 ダンテが言う。


「トゥデイは降ったりやんだりね。トゥモローは晴れね」

「オーケー、明日晴れでよかったわ。凄草株分けの日に雨降ると萎えるもんな」

「『遊歩』を起動したままだとどうですか?」

「……雨の日の株分けが楽しみになってきたな」


 アハハ。

 『遊歩』の効果で雨を弾くことができるならどうってことなさそう。

 あれ? となると飛行魔法かかってる時に、効果範囲外のものを中から触れるのかな?

 検証すべきことが多いな。


「『不思議の泉』の転送先は異世界なんでやしょう? 天気関係ないですぜ」

「降っても構わない時に雨が降る。これが天運か。とりあえず行ってみようか」

「「「了解!」」」「了解ぬ!」


 二六番目の転送魔法陣に立つ。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


「……森だな?」

「森ですね」

「森だぜ」

「森ね」

「森だぬ!」


 転送先は森の中の道だった。

 『不思議の泉』という転送先の名前に拘わらず、見た目からは全然不思議さを感じられない。

 むしろ退屈な感じだな。


「つまりこの道を歩いていくと、摩訶不思議な泉に通じるってことなのかな?」

「そうでやしょうねえ」

「マカフシギとは限らないね」

「かもしれんけど、あたし達は不思議を求めてクエストに来たんじゃん」


 違った、エンタメを求めて来たんだった。

 不思議じゃなくてもよかったわ。


「まず森に入ってみようか」

「スプリングにアクセスしないね?」

「もちろんするけど、若干不自然な感じがするんだよね、この森」

「樹種が一種しかありませんね。あっ、生えてるの聖風樹ですよ」

「やたっ! 聖風樹欲しくなったらここに来ればいいんだな?」


 聖風樹で作った箱の中にものを置いておくと、時間による劣化を受けにくいという特徴がある。

 おそらくスキルスクロール紙の材料にも使える、有用性の高い木だ。


「帰りに少し枝持っていこう。今まで聖風樹ってどこに生えてるか知らんかったけどさ。植樹して増やせるならそりゃもう大騒ぎだよ」

「騒がなくてもいいじゃないですか」


 ふんふ~ん、もうここ使える転送先で確定じゃないか。

 気分がいいなあ。

 どんどん森に分け入っていくと……。


「ん? 道か」

「ボス、ストレンジね。さっきと同じロードね」

「そーなん? ヴィル、上から確認してくれる?」

「わかったぬ!」

「ダンテ、やっぱここって亜空間中の実空間なんだよね?」

「イエス。アイシンク、ブックワールドくらいの広さね」


 本の世界並みか。

 大きめではあるけど、森があっていいほどじゃないなあ。

 あ、ヴィル帰ってきた。


「ループしてるぬよ?」


 ループしてるのか。

 リタ暴走時のほこら守りの村クエストを思い出すな。


「ふーん。じゃあ道をどっちに行っても泉に着くのかな?」

「そうだぬ」

「建物とかなかった?」

「ないぬ」

「むーん?」


 確かに初見の印象よりも不思議な場所ではあるな。

 閉じられた小さな世界で魔物はいない。

 明らかに有益な収穫は聖風樹が生えていること。

 あと残ってる怪しいところは泉だけ、か。


「昨日オニオンさん、対人クエストがどうのこうの言ってたぞ? 住人がいるものだと思い込んでたな。でも森と泉しかないってことじゃん」

「確かによくわからないクエストですね」

「うん。クリアまでの手掛かりがないクエストってのは今までもあったけど」


 これが一番わけわからんな?

 大体誰もいないから情報も集められないし。


「姐御、こりゃもう泉へ行くしかありやせんぜ」

「うーん、他に手段がないってのは誘導されるようで嫌なんだけれども」

「ボスのセンスがモストわけわからないね」


 仕方ない。

 アハハと笑いながら泉へ。


「何だこりゃ? 斧? まさかり?」


 泉の前に一本の斧? まさかり? が落ちている。

 斧とまさかりがどう違うのか知らんけれども。

 クララが言う。


「道は何らかの原因でそこだけ植物が生えないということはあり得ます。しかし斧は明らかに自然物ではないです」

「うん、となるとやっぱり対人クエストの可能性が高いか」


 相手が姿を現してくれないと進まないじゃん。

 とっとと出てきてくれないかなあ。


「ボス、『全知全能』でそのアックスをチェックしてみるね」

「おお、やるなダンテ。早速調べてみよう」


 今のところ犯人(?)に繋がりそうなアイテムが斧しかない。

 斧に魔力を流し込みながら全知全能を発動!

 頭の中に文字列が並ぶ。


『名称:『鋼の斧』。木を切り倒すことを目的とした大型の斧。刃は鋼、柄はカシ製である』

「……何もわからん。有名なエピソードはないみたいだな」


 流し込む魔力量が多ければ、歴代の所有者を知ることができるかもしれない。

 が、名前だけわかったところで、だからどうしただしな?


「こんなところにある斧は絶対に怪しいでやすぜ」

「うん。斧はこのクエストのキーアイテムではあるんだろうけど、ヒントをくれるものではないってことなんだろうな」

「……ユー様、この泉何かいます」

「それなー。あたしら水中戦得意なわけじゃないから、避けて通りたかったんだけど」


 泉の中から何らかの気配が感じられるのだ。

 おそらく魔物じゃなさそうだが?

 ただあたしらが侵入者であることには違いないから、戦闘にならないとは限らないのだ。


「しょうがない。飛行魔法で潜るやつ試してみよう。えーと、あれどこいったかな……」


 ナップザックの中を探す。

 あった!

 バアルのお宝の一つ、思い通りに曲がる魔法のロープだ。


「クララ、端っこをしっかり握って、飛行魔法を発動したまま水に潜って。危ないと思ったら、つんつんって合図してね。そしたら引き上げるよ」

「わかりました」

「この泉かなり深いと思う。調査はロープの長さまででいいから、ムリしないで。余裕があったら、『フライ』と『遊歩』の違いも調べてね」

「はい、行ってきます」


 飛行魔法を起動したクララがゆっくり泉に入ってゆく。


「やはり濡れないでやすね」

「『遊歩』は水に潜る際も使えるってことは覚えとこう」


 もっとも海の女王によるとスピードは出ないって話だったし、下手にドーラ近海で潜ると海の王国のパトロール隊に引っかかるしな?

 使う機会はごく限られそう。

 飛行魔法使ってりゃ雨に濡れない、ってのが一番の利点か。

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