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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1726話:『不思議の泉』

 フイィィーンシュパパパッ。


「やあ、チャーミングなユーラシアさん、いらっしゃい」

「ポロックさん、こんにちはー」


 リリーと別れてからドワーフの集落へ行ってでき上がった転移の玉を受け取り、とゆーかお肉と交換し、魔境で楽しんでからギルドにやって来た。

 忙しそうに見えるって?

 勤勉なあたしを崇め奉るといいよ。


「今日もドワーフに頼んでる新『アトラスの冒険者』用の転移の玉を回収してきたんだ。これでホームに置く用のビーコンとのセットが二〇個確保できたよ。一個パラキアスさんに譲ってるから、手持ち一九個ね」

「順調だね」

「うん、順調順調」


 新しい転移の玉も早めにチェックしてもらわなきゃな。

 何があるかわからんから、転移の玉の方は早めに揃えておきたいのだ。


「ユーラシアさんも、サクラさんから番外の石板クエストを振ってもらってるんだろう?」

「そーなの。この前も一つもらって、今日はクエストの報告も兼ねて来たんだ」

「ハハッ、楽しそうだね」


 実に楽しい。

 とゆーか最近の正規の石板クエストは、クリアまで時間がかかるのだ。

 長引かないクエストがないから新鮮で。


 さてギルド内部へ。


「「ユーラシアさん!」」「御主人!」

「あんた達は何をやっているんだ。あたしも混ぜろぎゅー」


 依頼受付所前で、アグネスとポーラとヴィルがぎゅーしてた。

 メッチャ可愛いやつらめ。

 あたしも参加したくなるだろーが。

 おっぱいさんとデミアンが話してるけど……まあ声を潜めないでもいいか。


「配ってる石板クエストの話?」

「ああ、そうだ。悪くない。ユーラシアもサクラさんから回してもらっているのだろう?」

「うん。何日か前に『青い空と白い砂の島』ってのもらってさ。ドーラ南部の沖の島なんだ。いずれ開発して観光地にしたい」

「観光地?」


 デミアンは首かしげてるけどおっぱいさんは頷いている。


「かなり温かいんだよね。冬でも泳げるビーチになんないかなと思って」

「南部沖の島なら気候は想像できるな。しかしドーラ近海なんだろう? 魚人が許さないんじゃないか?」

「だから魚人と共同開発してさ。海の女王は商売人だから、乗ってくると思うんだよね」

「ふうん、可能なら悪くないな」

「魔物がいたでしょう? 駆除できそうですか?」

「いや、ムリっぽい。でもおいしいから食べようかと思って」

「「は?」」


 これはおっぱいさんもわからんらしい。


「ハマサソリっていう弱い魔物がうじゃうじゃいるの。もー無数にいるし繁殖力強そうだから、根絶することはできないと思う」

「だから食資源に?」

「食資源ってほどじゃないけど、ローカルフードとしてウリにはなるかもなってくらい。揚げて塩振って食べるとなかなかイケる」

「ふむ……」

「ハマサソリって魔物は面白いんだ。子供でも倒せるくらい弱いの」

「見たことはないが、知識としては知っている。食べて美味いということは、吾輩知らなかったが」


 あれ? デミアンが知らないくらいだと、クララは何の本からハマサソリがおいしいって知ったんだろ?

 『魔物図説一覧』じゃないのかな?


「サクラさんが正規の石板クエストとしてルーキーに回さなかったのは、ハマサソリが毒持ちだからだと思うけど」

「はい、そうです」


 頷くおっぱいさん。


「なるほど、毒持ちの魔物は弱くても初心者向きとは言えないな。悪くない」

「逆に誰かついてりゃ安全に魔物退治体験ができるよ」

「あっ、魔物退治体験もウリに?」

「そうそう。帝国本土にない年中泳げるビーチ、ハマサソリを倒して食べる体験、魚人とのふれあいをメインコンテンツにすれば、帝国から観光客を呼べるんじゃないかと思うんだよね」

「エクセレントだ!」


 でしょ?

 あたしも楽しみなのだ。


「まーでもドーラ内部のインフラ整備と確実な移民受け入れ、穀物の安定生産の方が、優先順位ずっと上なんだよね。島の開発は当分できない」

「先の期待ですね」

「うん、愉快なクエストを振ってくれてありがとう」

「しばらくその島へは行かない予定なのか?」

「いや、外周ぐるっと回っただけで、中の方チェックしてないんだ。有用な植物が生えてるかもしれないし、ハマサソリも食べたいし、たまに行くと思う。デミアンはどうなん?」


 どんなクエストもらってるんだろ?

 興味あるな。


「アグネス向けのクエストを選ばせてもらったな」

「デミアンがアグネス向けと考えてるやつか。どんなの?」

「『青コボルトの巣』というものだ」

「あっ、コボルトか」


 ゴブリンと似たタイプの、弱いけどズル賢い魔物だという。

 相手にするにはある程度の経験が必要なやつだ。

 そろそろアグネスにも相手させとくべきと考えたんだろうな。


「いいんじゃないの? さすがデミアンだな」

「ユーラシアはゴブリンを手懐けたんだろう? マウさんから聞いた」

「そうなんですか?」

「いや、あたし自分のクエストでゴブリンやコボルト相手のやつがなくてさ。マウさんがジーク君とレノアを鍛えるのにゴブリンのいるフィールド行った時、お供させてもらったことがあるんだよ。そしたら思ったよりゴブリン可愛くて」


 あれも貴重な経験だった。


「ドーラ大陸でも端っこの方の、ノーマル人の活動と全然被らないエリアだったんだよ。わざわざ敵にすることなかったからね」

「敵に回すと厄介なのだ」

「らしいね。アグネスの勉強にはなると思う」

「悪くない」


 うむ、さすがにデミアンは考えてる。

 アグネスは成長するだろうなあ。

 おっぱいさんが聞いてくる。


「ユーラシアさん、次のクエストは御入用ですか? それとも前回の島をもう少し探索してからにしますか?」

「もらうもらう! ありがとう!」


 『青い空と白い砂の島』はゆっくりでいい。

 冬どれくらいの暖かさかも知りたいから、どうせ何度も行くことになるわ。

 おっぱいさんから新しい『地図の石板』を渡される。


「転送先は『不思議の泉』です」

「『不思議の泉』ときたか。期待を持たせる転送先だねえ」

「これ、クエストと呼ぶのが適切なのかも微妙なんです。ユーラシアさんならひょっとして有効活用できるのかと思いまして」

「ふーん、変わったやつだね? 大好物です」

「大好物だぬ!」


 アハハと笑い合う。


「ありがとう、時間のある時行ってみる」

「バイバイぬ!」


 さて、買い取り屋さん寄って帰ろ。

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