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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1725話:グロちゃんとリリー

「カラーズってのは赤・青・黄・緑・白・黒・灰の七つの村からなる、ドーラでも古い植民集落群でさ」

「うむ、チラッとは聞いておる」


 カラーズについてリリーと黒服に概要を説明する。

 カラーズって一まとめにされちゃうことが多いから、他所の土地の人達は案外この辺知らないような気がする。

 最近までレイノスとさえ行き来があんまりなかったしな。

 今後はさらに東の開拓地がドーラの人口中心になるだろうし、カラーズが知られてないことはあんまりよろしくない。


「それぞれ得意分野が違って、ちょっと前まで角突き合わせてたんだ。今は商売を通じて仲はいいけどね」

「黒づくめの怪しげな連中もおるの」

「黒の民だね。呪術が得意みたいな怪しい面は確かにあるけど、見た目ほど胡乱じゃないよ」


 皆似たような黒フードだし、顔を見せないから。

 でもあたしはむしろ、黒の民は純情だろって気がしてる。

 と、不意に声をかけられる。


「……リリアルカシアロクサーヌ皇女殿下?」

「んー?」


 頭までフードをすっぽり被った見るからに黒の民だ。

 黒の民は見分けがつかないんだよな。

 しかし画集でも『リリー』名義だったのに、略名でなく皇女であることも知ってるとなると……。


「あっ、グロちゃんか!」

「そうだ。誰だと思ったんだ?」

「いや、わからんわからん。全然わからん」


 元帝都メルエルの呪術師グロチウスでした。

 グロちゃんはしっかり黒の民に染まっているかもしれないけど、その常識がどこでも通用すると思うな。

 黒服がさりげなくリリーをカバーする位置に立ってるくらい怪しいからな?


「ユーラシアの知り合いか?」

「うん。リリーにも関わりが深い人だよ」

「ん? 何の関わりだ?」

「グロちゃんは上皇妃様を呪い殺そうとした実行犯なんだ」

「何だと! 例の呪術師か!」

「その節は申し訳ありませんでした! 平にお許しを!」

「まーグロちゃんも悪気があったわけじゃ……悪気はあったのかな?」


 焦るグロちゃん。

 ハハッ、エンターテインメントになってきたな。


「おい、仲裁してくれるつもりならもっと真面目にやってくれ!」

「グロちゃんも皇宮の何とかの塔のてっぺんからやらされてたんだ。断れる状況じゃなかったからごめんよ」

「むう……納得いかないものがあるのだが」

「簡単に許されることじゃないのはわかってるけどさ。彼はなかなか有用な呪術の知識を持っていて、結構な魔物除けを作れるんだ」

「ふむ、魔物の多いドーラでは重宝するな」

「でしょ? リリーが呪い殺したい人がいるなら助力するからね」

「「「えっ?」」」


 グロちゃんが何かを思い出したように言う。


「……思い出した。君、ミッチェルの水晶ドクロのデカいやつ持ってるって言ってたな?」

「持ってるよ。『舞踏の呪い』の呪いは呪ってる場所から対象までの距離が重要だって話だけど、ワープの使い手が協力してくれるなら距離は無視できるってよ」

「わっちは手伝わないぬよ? 呪いの負力は臭くて嫌だぬ!」

「よしよし、ヴィルはいい子だね。もしマジで誰かを呪うなんて機会がある時には、ガルちゃんに手伝ってもらおう」


 リリーが不思議そうに言う。


「ふうむ、ヴィルが拒否することもあるんだな?」

「初めてかもしれないな。でも悪魔は基本的に嫌なことはやらないからね。あたしだって嫌がることを積極的にやらせようとは思わないし」


 人間だって嫌なもんは嫌だ。

 話を持ちかける時はウィンウィンでないと。

 キャラ的にヴィルが呪いになんか関わって欲しくないとゆーこともある。


「呪いって冗談なんだろう?」

「冗談だけど、いざとなりゃこっちから呪いで反撃できるオプションもあるってこと。今グロちゃん製の強力な魔物除けは、かなりドーラの役に立ってくれてありがたいの。あっ、碧長石手に入れたんだ。ちょい先になるけど、超強力な魔物除け作る時に協力してよ」

「ああ、わかった」

「超強力な魔物除けが必要になるのか?」

「コショウの産地であるドーラ南部まで、西域から街道を通したいんだ。魔物が強いから、グロちゃんの強力な魔物除けでも効果が足りないんだよね」

「ドーラをいい国にするという考えの一環か?」

「そうそう」

「ウルピウス小兄様も、ユーラシアを妃に据えるには苦労するのう」


 あれ、リリーは本気なのかな?

 ウ殿下にはあたしよりもっと相応しい人がいると思うよ。


「おっと、何か揉めごとかい?」

「あ、サブローのおっちゃんと、『訓練生』の人」

「スティーヴだ」

「そちらの可愛いお嬢さんは?」

「美少女精霊使いユーラシアだよ」

「悪魔のヴィルだぬよ?」

「そうじゃねえよ!」


 アハハ。

 この掛け合いは何べんでもやりたくなるなあ。


「帝国の第七皇女リリーだよ」

「「えっ?」」


 リリーと黒服に説明。


「サブローさんとスティーヴは元辺境開拓民なんだ。移民でこっちに来たの」

「うむ。最初はつらかろう。御苦労なことであるの」

「サブローさんが来た最初の移民団の時はマジで大変だったんだよ。法律改正前でバカ高い出国税取られて、ほぼ裸で放り出された感じ」

「いや、ドーラは人も気候も暖かいんで、助かりましたんですよ」

「そうだの。ドーラは大層いいところだ」

「何か困ってることない?」


 ちょっと顔を歪ませるサブローさん。

 何ぞ?


「聞いてるかも知れねえが、移民の領域を北の森にまで広げてえんだ」

「うん、聞いた聞いた。夏頃になるって?」

「ああ、森の魔物を駆除して一気に大柵を北に押し上げるのが一番危険が少ねえと思うんだが、どうしても人手が必要だ。しかしおいら達には冒険者を雇う金がねえ」

「おゼゼの心配はしなくていい。あたしに秘策があるから任せろ」

「マジかよ!」


 大喜びのサブローさんと『訓練生』スティーヴ。

 新『アトラスの冒険者』用の転移の玉を配る際、三万ゴールドから二万ゴールドにまけるんで手伝ってって言えば、皆快く手を貸してくれるに違いない。

 皆いいやつだから無償でも助けてくれるだろうけど、理由がある方が頼みやすいしな。

 現『アトラスの冒険者』全員に廃止が通告される……。


「飽魚の月になれば仕掛けが利くから、その頃に計画実行できるよう、手筈整えといてよ」

「了解だぜ!」

「じゃーねー」

「バイバイぬ!」


 移民の開拓地の方にも行きたいな。

 肉スープも食べたい。

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