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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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1705/2453

第1705話:オニオンさんに報告

 フイィィーンシュパパパッ。


「オニオンさん、こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「いらっしゃいませ、ユーラシアさん」


 うちの子達とともにふれあいと安らぎの地魔境にやって来た。

 これはあたしの認識であって、あんまり賛同を得られないけれども。


「今朝おっぱいさんに余ってる石板クエストもらってさ。丸々午前中かけて遊んできたんだ」

「簡単なクエストでしたか?」

「うん。ドーラ南部沖合の島だよ。魔物一〇匹倒せってやつ」

「ああ、はいはい」


 どうやらオニオンさんも把握しているようだ。

 おっぱいさんと仲良く選別してくれたのかなニヤニヤ。

 どうでもいいけど『おっぱいレディ』って言葉は出づらいな。

 せっかくだからオニオンさんに言ってみようと思っていたけれども。


「いかがでしたか? ユーラシアさんならそのクエストを回した意味もわかっていただけるかと思いますが」

「面白かった。リゾート地として開発したい島だね。帝国から観光客呼びたい」

「やはり開発という考え方になりますか。魔物の駆逐は可能ですか?」

「ちょっとムリだなー」


 オニオンさん、意外そうだな。

 いや、ハマサソリを全部倒そうと思うと、『雑魚は往ね』じゃ卵は残しちゃいそう。

 地形が変わるくらいの魔法が必要になるんじゃないかな。

 そんな魔法撃ち込んだら、リゾート地としての価値自体がなくなっちゃう。


「となると、方向性としては魔物を生かす?」

「うん。ハマサソリっていうすごい弱い魔物がたくさんいるの。これを観光客に倒させるっていう、体験型のレジャーにできないかなあと思って」

「ははあ?」

「帝国からの観光客にしてもドーラ国内の冒険者の卵にしても、一定の需要があると思うんだ。ハマサソリの経験値は少なそうだけど、さすがに一〇匹も倒せばレベル一の人なら二になるだろうし」

「安全な魔物退治体験ということですね?」

「そうそう。クララによるとハマサソリは美味しいらしいから、あとで食べてみようと思うんだ。今日の夜はハマサソリのから揚げがメイン」


 だからアトムダンテ嫌そうな顔すんな。


「同時に魔物食体験もということですか。しかし……」

「観光客に対する誘引力としては弱いよね。だから魚人に協力させてさ。パトロール区域から外してもらって、海水浴できるようになんないかなって考えてるんだ。現地はドーラ南部沖だから、年中海水浴できるかも」

「ほう、いいですね」

「魚人が屋台とか出してくれるといいなあ。普段あんまり魚人と親しく話す機会なんか、帝国人にはないでしょ?」

「ドーラ人にもありませんよ。しかしやはり帝国人向けの観光地という考え方ですか」

「外貨を落としてもらうのがメインの目的だねえ。ドーラは植民地時代も統治が緩かったから、反帝国感情がほとんどないじゃん? これは財産だよ」

「反帝国感情がないことが財産ですか。ユーラシアさんの視点は違いますねえ」

「海外旅行ならドーラっていうムードを作りたいんだよね。そうするともっと裕福な人が移民に来てくれるかもしれないし」


 青い空と白い砂の島とバアル美術館の二枚看板。

 あーんどかれえらいすを筆頭とするドーラグルメで客を呼びたい。

 実現は遠いけどな。


「面白いことにその島、人が入った跡があったんだよ」

「えっ? 魚人のナワバリの中ですよね?」

「おそらくだけど、飛行魔法を使ったんじゃないかな。ヒバリさんっていうドーラ黎明期の冒険者だよ。名前が書いてあった」

「ああ、存じております。西域街道を作ったという、伝説上の開拓者ですよね?」

「以前話した西域街道に埋まってる魔物除けの基石も、ヒバリさんがヒント残しててくれたんだ」


 ほんとありがたい。

 一〇〇年以上前の知識が、今になってあたし達の役に立つ。

 ヒバリさんには頭が上がらんなあ。


「で、ヒバリさんのパーティーがハマサソリを食べるために、わざわざその島に行ってたみたいなんだよね」

「だからハマサソリが夕御飯という話に繋がるんですか」


 クララがハマサソリおいしいっていう情報を持ってなかったら、あんなもん食べてみようとは考えなかったが。

 いかにヒバリさんが『食ったぞハマサソリ』と書き残していてもだ。


「まだ島の外周をぐるっと回っただけで、中の方に入ってはいないの。時間のある時、もう一度様子見てくるつもり」

「魔物一〇匹退治が条件でしたら、クリアはされてるんですよね?」

「クエストとしてはは完了だね。で、オニオンさんに聞いてもらいたいことがあるんだった」

「何でしょう?」

「クリア時のボーナス経験値でレベル上がって、魔法を覚えたんだ」

「え? あっ、ユーラシアさんそろそろレベル上限に達するんでしたよね?」

「確認してないけど、レベルがカンストの一五〇になったと思う。カンストが習得条件だったんじゃないかな」

「どのような魔法です?」

「『全知全能』っていう、マジックポイントを使用し触れたものの情報を得る魔法だよ。『魔法スキル大全』にも載ってない魔法なんだ。オニオンさん知ってた?」

「いえ、初耳です」


 スキルオタクのオニオンさんが初耳ならば、やはり知られてない魔法の可能性が高い。

 活躍を期待できるかはもう一つわからんが。


「ちょっと面白い魔法なんだ。自分で使用するマジックポイントを調節できるの」

「ほう?」

「最低限だと、触れた対象の名前と使い方くらいの最低限のことしかわからない。でもマジックポイント多く使うと、そりゃすごい情報量になるの。一瞬で眠くなっちゃうくらい」

「アイテムの鑑別や真贋判定に使えて、さらに眠れない夜にすぐ寝られる魔法ですか」

「あれ? そう言われるとメッチャ使える魔法だな」


 睡眠抵抗のあるあたしを眠くする魔法って、考えてみるとすごい。

 ウマの糞やウシの糞の数を数えなくてもよくなりそう。


「うちはクララがものをよく知ってるから、あんまり使う場面なさそうではあるけどね」

「ユーラシアさんは、今までに知られていないものを手に入れる機会もありそうじゃないですか。調べるとどうなるのかには興味ありますね」

「面白そーだな。さすがオニオンさん」


 霜の巨人がドロップした魔宝玉に使ってみよ。


「じゃ、行ってくる!」

「行ってくるぬ!」

「行ってらっしゃいませ」


 ユーラシア隊及びふよふよいい子出撃。

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