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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1704話:『全知全能』の魔法

「今日のところの結論。リゾート地として有望」


 おっぱいさんにもらった石板クエスト『青い空と白い砂の島』の、転送先の島をぐるっと一周しての感想だ。

 一周ちょうど強歩二時間くらいだな。

 お弁当がおいしい。


「今日はこれで帰るんでやすか?」

「うん、飽きた」


 苦笑するうちの子達。

 いや、だって青い空白い砂ハマサソリ、それだけなんだもん。

 乙女にとっては退屈です。


「内陸部がどうなっているか、調査しなければならないかと思いますが」

「ヴィルが島の中で気付いたことある?」

「真ん中に向かって緩やかな傾斜になってるぬ。一番高いところでも標高一〇〇ヒロを超えないくらいだぬ。小さな池がいくつかあるぬが、あとは木で覆われているところが多くて、上から見ただけではよくわからないぬ」

「オーケー、御苦労様」

「ナイステイストなプラントがメイビーあるね」

「あり得るな。いずれ中も探索しないといけないね」


 変わった香辛料やフルーツがあるかもしれない。

 あたしらの住んでるところじゃ気候が合わなくて栽培できなくても、南部なら作れる可能性は高いしな。

 ま、でも今日はいいや。


「午後は魔境行こうよ」

「魔境の方がハプニングが起こりそうだからかぬ?」

「魔境の方が出現する魔物のメリハリがあるからでやすね?」

「魔境の方がエキサイティングだからね?」

「魔境の方がお金になるからですね?」

「勝者クララ!」

「えへへー」


 何の勝負だ。

 誰もリラックスできるからとかまったりできるからって言わないのな。

 うちの子達との共通認識ではないらしい。

 ちょっと切ない。


「ごちそーさま。天気が良ければ気持ちのいいところだということは理解した。また暇な時来ようよ。どっちみちこの島を何とかしようと思うのはずっとあとになる」

「そうですねえ」

「じゃ、帰るぞー」


 転移の玉を起動して帰宅する。


『クエストを完了しました。ボーナス経験値が付与されます』


 レベルアップか。

 あ、この感覚は……スキル覚えたぞ?


「ワッツ?」


 ホームに降り立つとともにダンテがあたしの異変を感知したらしい。


「いや、レベル上がってスキル覚えたんだよね」

「レベルカンストでやすか?」

「多分。確認しなきゃいけないけど」

「どんなスキルです?」

「魔法だね。『全知全能』。おお? 名前はあたしに相応しいぞ!」

「聞いたことのない魔法です」

「『魔法スキル大全』に載ってないんだ?」

「載ってないです」


 オリジナルでない自然習得のスキルなのに、『魔法スキル大全』に載ってないのか。

 なら、これまでに知られていない魔法の可能性が濃厚だな。

 アトムの言う通り、あたしはそろそろレベルカンストのはずだ。

 この『全知全能』は、『限突一五〇』でレベルカンストするのが習得条件かもしれない。


「あれ、でも効果はえらく微妙だぞ? マジックポイントを使用し触れたものの情報を得る、だって」


 マジックポイントが必要で実際に触んなきゃいけないんじゃ、『道具屋の目』の固有能力の劣化版かな?

 決して使えないスキルじゃないけど、うちにはクララ先生がいるから、アイテムの判別に困ることないし。

 それでもわかんなきゃイシュトバーンさんに見てもらえばいいんだし。


「ま、いいや。スキルはあって困るもんじゃないから」

「姐御は試し撃ちもしてないスキルも多いんでやしょ?」

「うん」

「ワンタイム、テストしてみればいいね」

「一応やってみようか。賢くなった気がするかもしれない」

「御主人は賢いぬよ?」

「ありがとう。ヴィルはいい子だね」


 ぎゅっとしてやる。

 手持ちの一番わけわかんないアイテムといえば……。


「やっぱこいつかな。『呪いの振り子』」

「危険なアイテムですからね」

「うん、よく知っとけば何かに役立つのかもしれないし」


 バアルのお宝で手に入れた『呪いの振り子』。

 イシュトバーンさんによれば、相手に催眠をかけられるが、油断してるとかけたはずの方まで催眠にかかって解けなくなる欠陥品という話だが?


「よーし、いくぞお! 全知全能!」


 振り子を手にして『全知全能』の魔法をかけてみた。

 えっ? この魔法えらくマジックポイント持ってかれるんだけど?

 頭の中に浮かぶ文字の羅列。


『名称:『呪いの振り子』。別名:『永遠の振り子』『コンフュージョンペンデュラム』。ケイオスワード文様の彫りつけられた純粋な『サイコランダム』のトップと白銅の鎖からなる振り子。カル帝国開祖帝の一二年、サラクの女魔道具師シシリー・フックによって製作された。左右に揺れる振り子を見つめる者を、術者が催眠に陥れることができる。ただし術者自身も催眠にかかるおそれがある。製作者シシリーは意中の男性を意のままに操る目的で『呪いの振り子』を用いたが、彼女自身も術にかかり、催眠が解けることなく命を落とした。『呪いの振り子』による催眠は強力で、白魔法『キュア』あるいは万能薬の効果は高くないとされる。特効薬は眠り草。眠り草の解催眠効果が知られたのは偶然で……』

「ぐう……」

「ユー様!」

「はっ! 今寝たら夜寝られなくなるところだった。ありがとうクララ」

「ワッツ?」

「いや、ものすごい情報量が頭の中に流れ込んでくるから、一瞬で眠くなるの。大量のマジックポイント消費するし、実用的な魔法じゃないな、これ」


 ちょっとビックリの魔法だった。

 メッチャ詳しいことを知ることができるという面で、単なる知識や『道具屋の目』の固有能力と差別化できるわ。

 クララならいろんな知識吸収できて大喜びだろうけど、あたし向きの魔法ではないな。


「消費マジックポイントを絞ったらどうなりやす?」

「えっ?」

「消費マジックポイント量に応じて得られる知見の量が上下する可能性はありやせんか?」

「なるほど? たまにアトムは知性派だな。やってみよう」


 もう一度振り子を手にして全知全能!

 手にした振り子に魔力を流さないイメージ、これでどうだ?


『名称:『呪いの振り子』。左右に揺れる振り子を見つめる者を、術者が催眠に陥れることができるマジックアイテム。ただし術者自身も催眠にかかるおそれがある』

「あっ、名前と効果が過不足なくわかる!」

「よかったぬ!」


 そーか、こうやって使えばいいな。


「問題解決! 魔境行くよー」

「「「了解!」」」「了解ぬ!」

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