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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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1684/2453

第1684話:遺書の写し

「わー、すごい人の数だな」


 ウルピウス殿下、ルーネ、うっかり元公爵、リモネスさん、新聞記者トリオとともに、遺書の内容を発表する場である中央広場に足を進める。

 ヴィルには一応通常任務に戻ってもらった。

 あたしの信頼性の問題もあるけど、多分群衆も興奮しちゃって、ヴィルの好む好感情は得られないだろうから。


 うっかり元公爵が話しかけてくる。


「ユーラシア君」

「何だろ?」

「コンスタンティヌスの……陛下の命を懸けた最後の意思だ。できることならかなえてやりたいのだが」

「うーん、五分五分じゃないかな」

「五分、か」

「遺書の内容にかかってるよね。内容自体に皆の賛成が得られないんじゃどうにもなんない」


 皆が頷く。


「でも陛下はじっちゃんが賢人って言うくらいの人なんでしょ? だったらそれなりに納得できる案が書かれているんだろうけど」


 パラキアスさんは、次代の皇帝の決定に民意を問うことはあり得ると言っていた。

 しかし市民の意見を聞くだけでは、皇族貴族の意思が反映されない。

 有力者に支持されないのではポシャるんじゃないか。

 皇帝決定までに時間かかりそうなのも問題だ。


「内容はどうであれ、オーベルシュタット公爵家は陛下の意思に賛成する。昨晩そうアルフォンスと話してきた」

「内容はどうあれなんだ? 思い切りがいいなあ」


 リモネスさんは何も言わない。

 遺書を尊重はしたいんだろうが、皇族貴族の綱引きになってしまうとできることはないからだろう。

 あたしも遺書が重要視された方が、所持してるあたし自身の存在感が上がるから嬉しいんだけどなあ。

 こればっかりは何とも。


「さて、中央広場に着いたぞ」


 群衆のざわめきの中、拡声器の声が聞こえる。


『陛下の遺書を所持する運命の少女の登場だ。その名はドーラの冒険者ユーラシア!』

「「「「「「「「うおおおおおお!」」」」」」」」

「どーもー」


 この司会の人、貴公子こてんぱんイベントの時のおっちゃんだな。

 帝都では有名な人なんだろう。

 拡声器を渡された。

 早速始めろって?

 了解でーす。


『レディースアンドジェントルメーン! ドーラの美少女精霊使いユーラシアですよ。皆さん、あたしのために集まってくれてありがとう!』

「「「「「「「「そういうのいいから!」」」」」」」」


 昨日に続く総ツッコミだ。

 わかっていてもやってしまう。

 実に気分がいいなあ。

 二通の遺書を高く掲げる。


『帝都市民諸君、とくと見よ! これが陛下からグレゴール元公爵と賢者リモネスに託された二通の遺書だっ!』

「「「「「「「「うおおおおおお!」」」」」」」」

『余計な御託は省略する。亡き陛下の残されたお考えがここにあるのだ! 市民諸君には内容を知る権利がある!』

「「「「「「「「うおおおおおお!」」」」」」」」

『これより開封する!』

「待った!」


 何ぞ?

 立派な身なりの壮年男性が進み出てくるんだが。

 文句でもあるのかな?

 とゆーか誰?


「陛下の末の弟君、宮内大臣を務めておられるレプティス殿下です」


 リモネスさんが教えてくれる。

 てかおっちゃん意外そうじゃないじゃん。

 こういう展開になること知ってたら教えておいてよ。


 レプティス殿下が言う。


「予は印璽を預かる職責上、陛下の遺書が存在することは知っていた。陛下の許しを得て写しも取っておる!」

「「「「「「「「うおおおおおお!」」」」」」」」

「予は要求する! 予の持つ写しと比較し、遺書の内容を確認させよ!」

「「「「「「「「うおおおおおお!」」」」」」」」


 おー盛り上げ方わかってるおっちゃんだなあ。

 しかし遺書の写しなんてもんがあるとは。

 信頼性を上げる絶好のチャンスだ。


『紳士淑女諸君! これよりレプティス殿下の協力を得て、二通の遺書と写しのチェック作業に入ります。しばし待て!』


 不安と期待と好奇に包まれ、遺書と写しの相互比較が始まる。

 ドキドキするなあ、が?


「全然読めない」


 書いた時既にかなり陛下は弱ってたはずなのに、筆跡自体は比較的しっかりしている。

 しかし何だこの蝶が飛んでるみたいな、優雅で丸い字は?

 主席執政官閣下がクセ字とは言ってたけど、程があるだろ。

 あたしじゃ全然解読できないわ。

 でもレプティスさんうっかり元公爵リモネスさんは普通に読めるらしい。

 陛下と親しかった人達は違うなー。


「最初の個人宛ての部分を除けば、一字一句同じですな」

「うむ、間違いない」

「わしは陛下の意思を尊重したい。レプティス殿はどう思われる?」

「もちろん予もです」


 おおう、三人のテンション上がってきたぞ?

 皇族にして現役閣僚のレプティスさんが賛同となると、遺書の内容が通ることになりそう?

 面白くなってきたぞー。


「あたしこの丸字読めないから、レプティスさん読み上げてくれないかな?」

「承知だ。グレゴール殿もリモネス殿もよろしいか?」

「うむ」

「よきように」

『お待たせしました! レプティス殿下の協力により、遺書に誤魔化しやすり替えがないことが証明されました。ただ今より内容の公表に移ります。静粛に!』


 静まる群衆。

 緊張感あるなあ。


『グレゴール殿及びリモネス殿に託された遺書の、私信の部分を除いた共通部分について読み上げる』

「「「「「「「「……」」」」」」」」

『予の遺体は火葬にし、その灰を大洋神パンタラッサに抱かしめよ』


 うんうん、遺灰を外海にバラ撒けってことだね。


『予の葬儀は新皇帝即位後、その采配によって行え』


 新皇帝のワードで一瞬ざわっとするが、すぐに静寂を取り戻す。


『新皇帝の選出は密室で行ってはならぬ。選挙で定めよ』


 選挙か。

 やはり民意によって決めたいという考えだったか。

 しかし果たして通るのか?


『被選挙権を持つのは全ての皇位継承権保持者である』


 全員横並び、平等といえば平等。


『選挙権を持つのは、皇位継承権保持者、爵位を持つ貴族、騎士爵所持者、予の死当日に帝都市民であった者である。一名当たり、皇位継承権保持者と公爵、辺境侯爵は一〇〇〇票、侯爵と辺境伯爵は八〇〇票、伯爵は六〇〇票、子爵は四〇〇票、男爵は二〇〇票、騎士爵所持者は五〇票、そして帝都市民は各人が一票を持つ』


 貴族票を重くし、市民は帝都市民に限るのか。

 新皇帝決定までさほど時間かからないだろう。

 貴族にもかなり配慮した内容なので、賛同者も多くなりそう。

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