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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1675話:何べんでもぎゅっとしてあげる

「御主人!」

「よーし、ヴィルいい子!」


 飛びついてきたヴィルをぎゅっとしてやる。

 プリンスルキウスとパウリーネさんを連れて、タルガの総督府へやって来た。

 ヴィルはよく働いてくれて偉いなあ。

 今日は何べんでもぎゅっとしてあげるからね。


「サエラック総督、ツェーザル中将、調子はいかがかな?」

「毎度おおきに。ルキウス様、えらい御立派になられましたでんな」

「ガハハ、そちらがパウリーネ様ですな?」

「そうそう。今日は結婚祝いもらいに来た」

「もらいに来たんだぬ!」


 アハハと笑い合う。


「こっちの情勢はどーかな?」

「サラセニアとの貿易でっか? 徐々に集まる商人も多くなってきましてん。タルガから見て輸出超過になってるのが気がかりと言えば気がかり。しかしわかってることやったし、サラセニアは石炭で補填してるんで問題ないのとちゃいまっか?」

「アンヘルモーセンが何らかの横やりを入れてくるかと思ったが、今のところ何もないな。拍子抜けなくらいだ。当座の俺の任期が今月末までだったので、普通に帰れそうだな。後任が誰になるという話は出てなかったか?」

「あ、ごめん。中将の任期伸びそう」

「む? 何故だ」


 プリンスが厳かに言う。


「今朝方父上が亡くなった」


 驚愕と沈黙が場を覆う。

 あえて陛下と言わなかったのは、プリンスのワードセンスかな?


「……今朝方でっか。覚悟していたつもりではあるんでっけど、寂しいでんなあ。御愁傷様なことで」

「その情報が今日来た本命の理由か。ルキウス様、新しい指令はありますか?」

「いや、特にはない。タルガはタルガの職務を全うしてくれ」

「ガリアの王様にはもう、陛下御逝去の報は伝えてきたんだ。商人が動揺して一時的に貿易が細るかもしれないけど、ガリアと協力関係を維持していく帝国の方針は変わらないぞってニュアンスで」


 頷くサエラックさんと中将。


「こんなこと聞いていいかわかりまへんけど、次の皇帝陛下はどなたはんを戴くことになりそうでっか?」

「ハハッ、まだ全然わからぬな。ドミティウス兄上か予だろうと思っているが」

「おープリンスよく言った!」

「ほう、そういう情勢でっか?」


 皇位継承権一位二位のセウェルス殿下フロリアヌス殿下の名が挙がらないことに関する疑問だろう。

 タルガにいてはわかんないことかもしれないな。

 中将に聞きなよ。


「今後どうなるとかの急ぎの情報があればあたしが伝えに来るからね」

「うむ」

「じゃ、お仕事よろしく」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動して一旦帰宅する。


          ◇


「御主人!」

「よーし、ヴィルいい子!」


 飛びついてきたヴィルをぎゅっとしてやる。

 今日何度目だったかな?

 プリンスルキウスとパウリーネさんを連れてゼムリヤの宮殿にやって来た。

 メルヒオール辺境侯爵がニコニコしながら話しかけてくる。


「ルキウス殿、よくいらした。御成婚おめでとうございます」

「ありがとうございます。メルヒオール殿も御壮健で」

「パウリーネ嬢も、リリーの婚約破棄イベント以来でしたな」

「はい」

「婚約破棄ではないとゆーのに」


 縁談クラッシュだとゆーのに。

 迂闊に聞き逃すところだったけど、全然違うぞ?


「あれからルキウス殿との仲があれよあれよという間に?」

「は、はい」

「仲介のあたしとヴィルのパワーがあり過ぎたから」

「とんとん拍子だぬ!」


 アハハと笑い合う。

 いや、マジでヴィルが偉かった。

 一日何往復も手紙のやり取りに付き合ってたみたいだからね。

 

「町を案内させよう。長らく戦渦のないゼムリヤには古い趣のある建造物も多いのだ」

「いや、じっちゃん。今日急ぎの連絡があるんだ」

「ん? 通信で新婚旅行だと言ってなかったか?」


 言ったけれども。

 ま、新婚旅行であることも正解なんだけどね?


「今朝皇帝陛下がお亡くなりになったんだ」

「……旅立たれたか。御冥福をお祈りする」


 さすがに驚いてはいるが、意外ではないようだ。


「帝都が混乱の渦にある、というわけでもないんだな?」

「ないない。でもまだ何も決まってない」


 頷くメルヒオールさん。

 陛下は皇太子を定めていなかったしな。

 次の皇帝が白紙だということは伝わったろ。


「陛下が亡くなったことは、さっきガリアの王様に伝えてきたんだ」

「ガリアに? 何故だ?」

「ゼムリヤには情報が入ってないかな? テテュス内海交易で一強のアンヘルモーセンに対抗するために、帝国とガリアが組んで直接貿易始めてるの。でも陛下が亡くなったことが広まってくると、輸送担ってる商人が寄りつかなくなりそーじゃん?」


 合点した表情のメルヒオールさん。


「なるほど。我が国が変心したとの疑念を抱かせないための措置か」

「そゆこと」

「一方でゼムリヤに対するガリアの圧迫が増す可能性が、なきにしもあらずなのです」

「王様と話した感じでは多分大丈夫だけど、一応注意しといてよ。隙は見せないでね」

「よくわかった」


 ちょっとメルヒオールさんにサービスしといてやるか。


「三日前にプリンスルキウスとリリーを連れてガータンへ行ってきたんだ」

「ガータン? 何の用で?」

「あたしはガータンで取れる石が欲しくて。プリンスはガータンでやってる山賊対策の視察に。そしたらリリーと新男爵ヘルムート君がいい感じ」

「ほう?」

「ただリリーには、皇室のゴタゴタを嫁ぎ先に持ち込むのは申し訳ないって考えがあるみたいなんだよね。先妃様系の皇子皇女と関係がよろしくないじゃん?」

「ふむ、周辺の事情を考えられるようになったとは、リリーも大人になったものだ」


 あれ? 感想が孫娘を見るじーちゃんだわ。


「先妃様系の皇子皇女ったって、残ってる影響力のある人はヴィクトリアさんだけなんだよ。あたしヴィクトリアさんともちょっと話したんだけどさ。皇妃様に対して深い恨みつらみがあるわけじゃなさそう。いずれ和解させられると思う」

「ヴィクトリア姉上のところにまで食い込んでるのか」


 プリンスったら呆れた目で見んな。

 たまたまだ。


「ヘルムート殿との関係が進むかもしれないのか」

「リリーとヘルムート君との仲は、あたしが積極的に推進するよ。ヘルムート君がリリーを一番大事にしてくれそうな気がする」

「うむ」

「帝都の状況がハッキリしてきたら連絡に来るね。じゃあまた」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動して帰宅する。

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