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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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1674/2453

第1674話:ルキウス殿を皇帝にするから助力せよという話

「……よって機を見るに敏な商人が、様子見を決め込むかもしれないのです」

「ふむ、十分にあり得ることだな」


 王様とプリンスの話が続く。

 テテュス内海の覇者アンヘルモーセンや交易に携わる商人達にカル帝国皇帝の死が伝わった時、影響がどの辺に出るかが問題だ。

 一時的にタルガ~サラセニア間の貿易に参加してくれる商人が減ってしまうのではないか?

 テテュス内海貿易に絞った話で、ゼムリヤには触れないみたいだな。


「しかし我が帝国としては、ガリアとの修好にヒビを入れる意図は全くありません。今後ともよしなにということです」

「ハハッ、御丁寧に痛み入る。こちらこそサラセニアに干渉するアンヘルモーセンに腹が据えかねていてな。帝国がその気なら心強い」

「我が国もかつて、アンヘルモーセンに煮え湯を飲まされたことがあるのですよ。テテュス内海におけるアンヘルモーセンの支配力を下げねばならんと、個人的に考えております」

「あれ? プリンスの内海に対する考えって、何げに初めて聞いた気がするな。せっかくだからもうちょっと聞きたい」

「そうだったかい? 辺境開拓民対策と植民地タルガの拡張、テテュス内海貿易の活性化はワンセットだと考えているよ」


 プリンスが市民権を持たない空の民の対策に興味があることは知っていた。

 ところが潜在的な空の民たり得る辺境開拓民をも対象にした、かなりスケールの大きい施策を考えているみたいだ。

 へー、見直したよ。


「これからタルガに行くんだ。ガリア&サラセニアとの貿易止めんなって発破かけてくるからね」

「よくわかった。で……」


 王様の眼光が鋭くなる。


「用はそれだけか?」

「王様は押しの強そうな表情だね。当面はテテュス内海関係についてだけだよ」

「ルキウス殿を皇帝にするから助力せよという話なら、協力するのにやぶさかではないぞ?」


 プリンスと顔を見合わせる。

 ぽにょとパウリーネさんが息を呑むのがわかる。

 どうやら短期間でかなり帝国の次期皇帝候補について調べたらしいな。

 ガリアがバックにつけば、プリンスルキウスを皇帝にできると踏んだっぽい。


「ハハハ、物騒なことはないのですよ」

「しかし至尊の冠を戴く者は決まっておらぬのだろう?」


 魅惑的な話ではある。

 しかしプリンスはこの提案を受けられないのだ。

 何故なら見返りにゼムリヤを寄越せという条件とセットになるだろうから。


 ゼムリヤを割譲しては売国奴の烙印を押され、皇帝にはなれても帝国国内が動揺してしまう。

 王様もベストタイミングで仕掛けてくるなあ。

 プリンスがこっち見てくる。

 あれを王様に見せろって?

 了解。


「こういうものがあるんだ」

「何だ、これは。手紙か?」

「皇帝陛下の遺書だよ。多分後継者をどうするかにも触れられている」

「「「!」」」


 王様相当驚いたみたいだな。

 ついでにぽにょとパウリーネさんも。


「二通あるのか。何か理由が?」

「一通は皇帝の親友の公爵に、もう一通は皇帝が最も信頼する相談役に宛てられたものなんだ」

「ふむ、察するに後継者と直接利害関係のない二人ということか」

「そうだね」

「これを……ユーラシアが持ってるのは何故だ?」


 説明しにくいんだが。

 簡単に言うと……。


「公爵は引退して遠隔地に行くという理由で、相談役は皇帝の意思を託されているという噂のせいで、ともにこの遺書を持ちづらいという事情があるの」

「ユーラシア君は帝国内で急速に存在感を増していて、その二人にも信用されているという事実があるんですよ」

「ふむ、遺書が本物であり、ある程度納得できる内容でありさえすれば、ユーラシアのゴリ押しで認めさせることができるということか」

「えっ?」


 あたし自身は、あたしが所持してるんじゃ遺書の信用性が足りないと思ってるんだが。

 どーしてあたしがゴリ押すと考えているのか。

 プリンスまで頷いてるがな。

 あたしってゴリ押しキャラだと思われてるの?


「皇太子を立てているケースより決着までに時間がかかるのは間違いない。が、さほど揉めることはないと考えているのです」

「ふむ。先ほどの戯言は忘れてくれるとありがたい」


 笑い。

 まー王様も本気ではなかったんだろう。

 王様が言う。


「もう少し面白くなるかと思ったのだがな」

「贅沢だなー。今回は大人しくしてるだけで帝国に貸しを押しつけられるんだから、満足すりゃいいじゃん」

「内海で共闘できれば十分だな」

「サラセニアの状況はどうですか?」


 顔を顰める王様。

 プリンスもさる者、反撃に出た。

 借りっぱなしにする気はないらしい。


「隠すようなことではないか。帝国からの物資が入るようになって、物価と市民感情は落ち着きつつある」

「結構なことですな」

「うむ。しかし天崇教宣教師の布教活動が活発になったという報告もあるのだ。今後帝国から一時的に穀物が入りにくくなるかも知れぬし、気を抜けぬ」


 ははあ。

 帝国とガリアに手を組まれると、アンヘルモーセンといえどもパワープレイはできないんだな?

 やり方を変えてきたってことか。

 プリンスが首をかしげる。


「天崇教の布教活動は問題ですか?」

「アンヘルモーセンの手先みたいなものであろう?」

「いや、直球で天崇教徒はダメって、決めつけることはできないような?」

「天崇教はダメだぬ!」

「嫌がらせだ!」

「ヴィルが天崇教の教義はダメって考えるのはわかるけど、王様が天崇教を毛嫌いするとあとで祟るんじゃないの?」

「む……」


 苦虫を噛み潰したような顔になる王様。

 言ってることはわかるんだろう、むやみと敵を増やしていくスタンスは良くない。

 天崇教徒だって善良な人がほとんどなんだろうから。


「天崇教の布教活動を活発化するのがアンヘルモーセンの策なら、王様が嫌悪感を催す状況は向こうさんの思う壺だぞ?」

「わかった。皆まで言うな」


 王様も気を鎮めてくれたようだ。

 しかしマジで策だとすると迂遠だな?

 宗教に対してオープンなところを見せつけて、アンヘルモーセンを嫌ってる商人とアンヘルモーセン認定商人の両方を呼び寄せるってふうに、逆用されちゃうおそれだってあるだろうに。

 別の思惑がある?


「さて、帰ろうか。あ、その前にプニル君に挨拶していこうよ。すごい格好いいスレイプニルだよ」


 しまった、今日急ぎだったからニンジン持ってきてないや。

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