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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1614話:大魔道士のやる気スイッチ

 フイィィーンシュパパパッ。


「やあ、いらっしゃいユーラシアさん。今日もチャーミングだね」

「こんにちはー、ポロックさん」


 ガリアで昼食をいただいたあと、アレク達を送ってさらにギルドへやって来た。

 アイテムを買い取ってもらう目的もあるが、ペペさんに消火魔法作成依頼の話をしておきたかったからだ。

 あれ、ポロックさんが真面目な顔してるが?


「ちょっといいかな?」

「何だろ?」

「チュートリアルルームから連絡があったんだ。『アトラスの冒険者』廃止について」

「えっ? 早いね」


 『アトラスの冒険者』の廃止が飽魚の月の末。

 その三ヶ月前にギルドの職員に告知ってことだったから、今月末くらいになるかと思ってたけど。

 トラブルでもあったかなワクワク。


「事情があるんだ。サクラさんが詳しいから、依頼受付所で聞いてくれるかな?」

「はーい」


 エントランスだとお邪魔だからな。

 ギルド内部、依頼受付所へ。


「サクラさん、こんにちはー」

「ユーラシアさん、お待ちしておりました」


 すぐに内緒話モード発動。


「『アトラスの冒険者』廃止をチュートリアルルームから知らされたって? 今ポロックさんから聞いたんだ」

「はい。内容はユーラシアさんから伺っていたことと変わりません。飽魚の月最終日をもって『アトラスの冒険者』は廃止。新規の石板クエストは廃止一ヶ月前の火竜の月末まで。所属冒険者には廃止一ヶ月前にギルドから伝えるとのこと」

「予定通りか。おかしいな? 何でギルド職員に知らせるのが早くなったんだろ?」

「水魔法『アクアクリエイト』のスキルスクロール外注が、異世界で問題視されているようなんです」

「ははあ、なるほど?」


 今までこっちの世界から外注に出すなんて考え方はなかったろうからな。

 とゆーか異世界は、こっちの世界にあんまり関わっちゃいけないんだったか?


「今月納入分をもって、水魔法『アクアクリエイト』のスキルスクロール生産受注は停止するとの通告です。併せて『アトラスの冒険者』を廃止が発表されました」

「ふーん。水魔法外注を『アトラスの冒険者』廃止の原因の一つっぽく仕立ててきたわけか。こっちの世界が納得しやすい理由だと考えたのかもしれないな」


 職員はともかく、『アトラスの冒険者』のメンバーは本部が異世界なんて知らないから、納得できんわけだが。

 したが困った。

 『アクアクリエイト』のスクロール生産どうしよう?


「……ドーラで作るしかないな。予定より大分早いけど仕方ない。ごめんね。『アクアクリエイト』の販売手数料がギルドに入んなくなっちゃうけど」

「いえいえ。しかしチュートリアルルームでのスキルスクロール販売自体が早期に停止される可能性があるのかと」

「あっ、あり得る!」


 汎用スキルのスクロール販売が廃止されると、何も事情を知らない冒険者達が騒ぎ出すだろう。

 だから販売中止は『アトラスの冒険者』廃止までないと思いたいが?


「ペペさんと相談してみるね。新『アトラスの冒険者』では、ギルドでスキルスクロールを販売するようにするから」

「お願いします」


 おっぱいさんニッコリ。

 お店ゾーンへ。

 買い取り屋さんで売却していると……。


「御主人!」

「ゆーらしあさん!」

「もー何だ何だ。あんた達は可愛いんだから」


 飛びついてきたヴィルとポーラをぎゅっとしてやる。


「ペペさん起こすよ。せーの」

「「たのもう!」」「たのもうぬ!」

「ふあっ?」


 飛び起きる外見幼女詐欺魔道士。

 マジでいつも寝てるなあ。

 まあ起きてたら起きてたでトラブル起こしそうだ。

 ペペさんが寝てることは、世界平和に貢献しているのかも?


「ペペさんに依頼がありまーす。例の水魔法『アクアクリエイト』のスキルスクロールを外注できなくなるんだって。カラーズでの生産に切り替えるから、ペペさんに『アクアクリエイト』のケイオスワード文様描いて欲しいんだ」

「あっ、聞いてる聞いてる! 明日持ってくるね」

「ペペさんの取り分は、小売価格の二〇%で一本当たり二〇〇ゴールドを目指すよ」

「ありがたいけど、今の一〇〇ゴールドで十分なのよ?」

「うーん、でも制作者の権利は守って厚く遇したいんだよ。ペペさんはいいかもしれないけど、おゼゼたくさんもらえないんだと後進のスキル制作者が育たないかもしれないから」

「ユーラシアちゃんは考えているのねえ」


 ペペさんの成功を見て、ケイオスワードを学ぶ人が増えてくれるといいな。

 スキルを新しく作るのは難しいかもしれないけど、裾野を広げたい。


「で、二つ目の依頼だよ。『ファイアーボール』とかの基本的な汎用スキルもカラーズでの生産に切り替えたいんだよね。これもペペさんに文様描くのお願いしていいかな?」

「ええ。でも私じゃない方がいいと思うの」

「どうして?」


 デス爺には転移関係を頼んでる。

 アレクやエメリッヒさんも描けるだろうけど、二人とも忙しそうだしな?

 ペペさんが一番手が空いてるから都合がいいんだが。


「正確に覚えてないのよ。私が描くとロマンなアレンジが入っちゃいそう」

「そーだったかー」


 実にペペさんらしい理由だ。


「じゃ他の人じゃ描けそうにない『ビートドール』と『勇者の旋律』だけお願いしていいかな? 取り分はペペさんオリジナルの『ビートドール』で小売価格の二〇%、『勇者の旋律』は五%で」

「わかったわ。任せて!」


 これでよし。

 『勇者の旋律』はレアらしいけど、火力増強にも人形系対策にも使えるいいスキルなので、手に入れやすい方がいいと思うのだ。


「もう一つ。消火に使える魔法って作れないかな?」

「消火?」

「うん。火事になると何もかも失っちゃうでしょ? 火事を防ぐことはできないかと思って」

「ユーラシアちゃんの提案は素敵ね」

「素敵なんだよ。単なる水魔法だと術者の魔法力やマジックポイント量に作用されちゃうから、実際には役に立たなさそうじゃん? 今までにない提案だと思うんで、難しいと思うけど」

「……ロマンね」

「えっ?」

「これまでにない発想の、皆が欲しがるスキル。これをロマンと言わず何と言おう!」


 何かスイッチ入ったぞ?


「よし、じゃあお願い。大魔道士の才能に期待する」


 握手。

 これでよし。


「じゃ、あたし帰るね。ポーラもバイバイ」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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