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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1613話:内海情勢と帝国の出方

 王様も森林大臣も嬉しそう。

 未来が明るくなると心が浮き立つものだ。

 ウィンウィンの商売は気分がいい。


「まだ未発売の札取りゲームの新バージョンを、ガリアで先行販売してもよいとのことだ」

「今まで薪にしかならなかった端材や間伐材を有効に使用できます。輸出も可能になる!」

「喜んでもらえてよかったねえ。もうちょっとサービスしてやったら?」


 アレクケスハヤテが頷く。


「ああ、おいら達には木を用いたゲームやパズルのアイデアがある。もちろんドーラからも発売するが、ガリアでの製作が早いなら先行販売してもらっても構わない。試作品ができたら見せに来てもいいか?」

「じゃんじゃん持ってきてくれ」


 知育ゲームはともかく、双六系やパズルなどのゲームはある程度バリエーションが欲しい。

 買う人に選ばせたいからね。


「ユー姉は何かアイデアある?」

「ぽにょの絵をイシュトバーンさんに描いてもらって、バラバラにしてピースを組み合わせていく絵合わせパズルを作るでしょ? 王様とぽにょの結婚の日に売り出せば絶対に売れる」

「「「「「それだ!」」」」」「「?」」


 あ、ぽにょ本人とちょびヒゲ大臣はイシュトバーンさんの画集知らなかったか。

 実物を見せて説明っと。


「なるほど、これは売れる……」

「素敵に魅力的な絵ですねえ」

「バラバラのピースを組み立てていくタイプのパズルが売れるかどうかは、どう考えたって絵の良し悪しにかかってるでしょ。観光客に来て欲しい名所とかのシリーズ作れば、売り上げ以上に宣伝価値があると思うよ」


 皆の目がキラキラしてるやん。

 パズルは一発ネタではあるけど、連作シリーズものにするとコレクション性も出てくるかもな。

 でも本筋の正攻法である、識字率を上げて本を売ることを忘れないでね。

 ガリアは製紙業も有力だから。


「姐さん、どうして今まで絵合わせパズルのアイデアを出してくれなかったんだ?」

「生産余力がなかったろーが。それにあんた達には小手先のアイデアじゃなくて、もっと緻密で戦略性の高いゲームとか斬新なパズルとかを開発してもらいたいんだもん。冬の長いガリアでいつまでも楽しめるようなやつ、字が読めなくても遊べるやつって考えると、方向性は定まるでしょ?」


 ランダム性が高いものや対戦型のゲームだ。

 アレクケスハヤテは頭柔らかいし、年齢の割にいろんな経験してるからね。

 期待してるんだぞ?


 森林大臣とちょびヒゲ大臣が喜び合う。


「いやあ、農作物の増産が可能になる、森林資源も生かせるとなると我がガリアの前途も洋々ですなあ」

「まことに。カル帝国が味方についたのが大きい」

「ユーラシア様々ですぞ」

「ちょっと待った! 帝国がいつまでも味方だと思ってちゃダメだぞ? 帝国は帝国の都合で動いてるだけなんだから」


 王様とコージモさんはわかってる。

 王様が言う。


「ユーラシアの見解を聞かせてくれ」

「帝国はとにかくテテュス内海で成功したいんだよ。国として外洋でもう大きな成功を望めないってこともあるし、現政権が外洋で失点重ねてるから、内海で点稼ぎたいってこともある」

「帝国が我が国とサラセニアに肩入れする理由は?」


 ドーラ人であるあたしが国外からどう見ているのかを知りたいのか。

 あるいは重要閣僚の意識を引き締めておきたい意図かな?


「そりゃアンヘルモーセンとガリアを咬み合わせておいて、自分が漁夫の利を得たいんでしょ。サラセニアが簡単にアンヘルモーセンの手に落ちたら、内海におけるガリアの影響力なんてなくなっちゃう。帝国の立場から言うと、ますますアンヘルモーセンが強くなって鬱陶しいことこの上ない。だからガリアに味方する」


 コージモさんが驚いとるわ。

 あたしが帝国の施政館に食い込んでることを知ってるから。

 でもあたしは帝国の味方ってわけではないのだ。


「サラセニアが穀物買ってくれるなら損はないし、ガリアとサラセニアに恩を売れるおまけつき。帝国の存在感を増すために、ガリアもサラセニアもせいぜい景気よく踊ってくれってなもん」

「な、何と卑怯な!」


 怒る森林大臣を制して王様が言う。


「帝国の立場としては当然だな。今後帝国はどう動くと見る?」

「アンヘルモーセンがのさばる状況を変えたいってのは、帝国の本音ではあるよ。ただその姿勢には温度差があるの」

「む、温度差?」

「内海をよく知ってるタルガ総督サエラックさんは、マジでアンヘルモーセンをどうにか抑えたい派。でも帝国本土の世論は内海情勢に比較的関心が薄いんだよね」

「何故だろう? 内海交易の規模は、大国である帝国であっても無視できぬほど大きくなり得ると思うのだが」

「ちょっとわかんないんだけど、皇室の信仰対象であるパンタラッサ神は大洋の神だからっていう説を聞いた。内海の貿易と外洋の植民地経営を天秤にかけると、植民地経営の方が優先されるんじゃないかって」

「宗教上の理由があるとは……」


 呻く王様。


「いや、ドミティウス主席執政官閣下は、タルガと内海を重視してるよ? でも政権支持率の関係で、内海でポカできない。帝国はサラセニアとの直接貿易を行うけど、アンヘルモーセンに対しては当面様子見だと思う。もしガリアとサラセニアが一方的にやられちゃえば、大ケガしない内に手を引いちゃうんじゃないかな」

「帝国とアンヘルモーセンが手を組んで、我が国とサラセニアの敵になる可能性はないか?」

「ないなー。途中で乗り換えるなんてことするくらいなら、最初からアンヘルモーセンに味方するって。わざわざガリアに協力してからアンヘルモーセンに擦り寄るなんてセンスなさ過ぎる。それこそ政策の失敗を糾弾されちゃう。新造軍艦を最も有効に使えるのが、アンヘルモーセンへの牽制ってこともある」

「ユーラシアは我が国に味方してくれるのだな?」

「あたしとドーラに得になる方に味方するよ。あたしは自由に交易して儲けていろんなものを手に入れられる世界にしたいの。貿易を制限しようとするアンヘルモーセンはあたしの敵だ。だからあたしはガリアに肩入れする」


 全員が感じ入ったように頷く。

 カリスマ性を発揮しちゃったかな。

 王様が言う。


「うむ、有意義な交渉と議論であった。時間も時間だ。昼食にしようではないか」

「やたっ! いただきまーす!」

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