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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1602話:第一皇女ヴィクトリアさんと会う

「ドキドキするなあ」

「ドキドキするぬよ?」


 ルーネの案内で、皇宮のヴィクトリアさんの住む区画を行く。

 この辺第三皇子セウェルス殿下のいたとこの近くなんだよな。

 前皇妃系の皇子皇女の居住するエリアということか。


「考えてみりゃヴィルを連れてきていいのか、確認してなかったな」

「ヴィクトリア伯母様に聞いてきましょうか?」

「いや、いいよ。さっきの情報を総合して考える限り、ヴィルを嫌う要素は特にないと見た」


 ヴィクトリアさんは人に対して好き嫌いはさほどないんじゃないか?

 おそらく皇妃様とフロリアヌス殿下ウルピウス殿下リリーに引っかかりがあるだけ。

 

「ヴィクトリアさんは未婚なんだよね?」

「はい。恋仲であったザイフリート侯爵家の令息が亡くなられてしまい、独り身を貫いていると聞いています」

「おお、悲劇のロマンスだなあ」

「有名な話なんですよ」


 真面目な人なのかもしれない。

 寂しいか、あるいは退屈ってことがあって、あたしを呼んだのかも。

 ルーネが立ち止まり、部屋に声をかける。


「伯母様、ルーネロッテです。ユーラシアさんをお連れいたしました」

「入ってくりゃれ」


 部屋の中から落ち着いた、やや低めの声がする。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「ようまいったの」

「こちらへどうぞ」


 侍女に導かれ、部屋の主人ヴィクトリアさんのいる中央のテーブルへ。

 ブラウンのドレスと同じ色の髪と瞳の中年女性、これが第一皇女か。

 なるほど、きつめの目が若干威圧感があるなあ。

 イシュトバーンさん好みではないかもしれない。


「ドーラの美少女冒険者ユーラシアだよ。こちらは悪魔のヴィル」

「よろしくお願いしますぬ!」

「おお、噂の連絡悪魔か」

「ヴィルのことも知ってたんだ?」

「知ってたぬか?」

「うむ、よう知ってるぞよ。とても可愛いではないか」

「とても可愛いぬよ?」


 目を細めてヴィルを眺めるヴィクトリアさん。


「ぎゅーしていいかの?」

「もちろんどーぞ」

「ぎゅー」

「ふおおおおおおおおお?」


 あれ、何ぞ?

 ヴィルのこの声は、余計な感情なしに純粋に可愛がってもらってる時の声だ。

 ヴィクトリアさんって、初見のイメージと全く違う人なんだが。

 ルーネも目が点になってるぞ?

 ヴィルを離したヴィクトリアさんが言う。


「はあはあ、すまなんだの。妾は可愛いものに目がないのじゃ」

「うんうん、わかるわかる。だからあたしも呼ばれたんだね?」


 アハハと笑い合う。

 何だ、話しやすい人じゃないか。

 警戒する必要なかったわ。


「ヴィクトリアさんに用がある時、ヴィルを寄越すけどいいかな?」

「もちろんじゃぞ」

「何時頃だと迷惑にならない?」

「いつでもよい。何なら茶会の最中でも構わぬ。それも一興じゃからの」


 ふむふむ、結構退屈を持て余してるっぽいな?

 これも予想通りだ。

 じゃあ最近ルーネが来てるのも喜んでもらえてるんだろう。

 侍女が淹れてくれたハーブティーから良い香りが立ち昇る。


「あー落ち着くわー」

「皇宮の庭で作らせているラベンダーじゃ」

「ヴィクトリアさんはハーブティーが好きなの?」

「普通の茶より工夫が利くし、他人の好みやその日の気分に合わせられるじゃろ?」

「そうだねえ」

「ドーラに変わったハーブはないかの?」


 ふむ、自分の興味のあることに関しては貪欲だな。

 ハーブはあたしも興味があるから、今後ヴィクトリアさんに教えてもらえばいいな。

 で、ドーラのハーブか。

 変わってるわけじゃないんだが。


「魔境で取ってきた、普通のに比べてすごく香りの強いタイムがあるよ。最近のあたしのお気に入りなんだ」

「ほう?」

「つい昨日エルフから手に入れたレモンバーベナってものもある」

「レモンバーベナ……知らぬハーブじゃの」

「名前の通り柑橘系の匂いがする、低木のハーブだよ。面白いエピソードがあるんだ。エルフの族長がレモンバーベナを推してるんだけど、普通のエルフは柑橘が好きなの。だからレモンバーベナをまがいものとして嫌ってるんだって」

「ほほう、珍妙な話じゃの」

「世の中変わったことが多いよ。魔境タイムとレモンバーベナは今度来る時持ってくるから、どっかに植えとくといいよ」

「すまぬの」


 ふうと、淑女らしくないため息を吐くヴィクトリアさん。


「堅苦しい茶会やパーティーばかりでは、肩が凝るのでうんざりなのじゃ」

「意外でした。ヴィクトリア伯母様はいつもきちんとしていらっしゃいますから」

「そうそう新しい話題もないじゃろ? ルーネロッテからおんしのことを聞いて、くだけた話でもできるかと思っての」


 今までルーネに、というか他人に見せてない一面なんだろうな。

 ヴィルが素直に頭撫でられてるところ見ると、こっちのヴィクトリアさんが素だろう。

 ヴィルすげえ気持ち良さそうだな?


「ヴィクトリアさんは可愛いものが好きなんだ?」

「大好きじゃの」

「三日後、ツムシュテーク家ノルトマン伯爵と娘さんを連れてドーラのスライム牧場行くんだけど、ヴィクトリアさんも来る?」

「スライム? 魔物の? 可愛いのか?」

「普通のスライムは可愛くないけど、牧場のやつは品種改良されてて性格が温和なんだ。ムイムイって鳴きながら頭撫でられに寄ってくるの」

「ふうむ、なかなかに逃がしがたい貴重な体験じゃの」

「ユーラシアさん、ズルいです! 私も行きたいです!」

「三日後の午前中、時間ある? じゃルーネもおいでよ」

「はい!」

「あ、でもスライム見に行くとか言うと、またお父ちゃん閣下が魔物は危険だとかって怒りそうだな。ヴィクトリアさんのお供することになったって誤魔化しときなよ」

「わかりました!」


 ハハッ、ちょっとずつルーネが悪い子になっていくぞ?

 実に面白いニヤニヤ。


「では三日後、妾はどうしていればいいかの?」

「えーと午前中は午前中なんだけど、時間が読めないんだ。こっち来たらルーネに迎えに行ってもらうよ。それでいいかな?」

「うむ、わかったぞよ」


 三日後はプリンスとリリーを皇宮へ連れてくる日でもあるのだ。

 ヴィクトリアさんと現皇妃様の子であるリリーが鉢合わせになるのもまずいだろうから、近衛兵詰め所で待っててもらうのはよろしくない。

 トラブルメーカー大好物の場面だろって?

 トラブルメーカーちゃうわ!

 あたしだってちょっとくらいの気は使うのだ。

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