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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1594話:帝国版美人絵画集

 ユーラシア教会までもうすぐだな。


「ライナー君には聖女キャロが合ってるんだよ。相性的に」

「ほお?」

「本心だったのかい?」

「本心だとゆーのに。真剣に検討してよ」


 ライナー君は皇女リリーの婚約者候補ではあった。

 リリーは奔放のようで真面目だ。

 一方キャロは逆に真面目のようで奔放。

 ライナー君はキャロの暴走を抑える役目の方がピッタリだと思うよ。

 伯爵領が裕福と言うなら、ムリに皇室と関係を結ばなきゃいけない理由もないんだろうし。


「とうちゃーく。キャロいないな?」

「聖堂の中ではないかな」

「入ってみるべえ。こんにちはー」

「こんにちはぬ!」


 ユーラシア協会はあたしの名を使っているだけあって、悪魔の出入りもオーケーだ。

 安心感があるなあ。

 修道士が挨拶してくれる。


「ライナー様、勇士殿。当協会へ足をお運びくださり、ありがとうございます」

「こちら今帝都で大評判の画集『女達』の絵師イシュトバーンさんだよ」

「これはこれは。高名な絵師殿とは存ぜず、失礼をいたしました」

「創作意欲に駆られて、とにかくいい女を描かせろってことなんだ。聖女キャロラインを貸してくれない? これモデル料」

「ま、魔宝玉ですか? 今すぐにキャロラインを呼んでまいります!」


 ハッハッハッ、大分金品に敏感になっていると見える。

 商売づいてきたかな?

 あんまり欲をかかないように注意ね。

 あ、キャロが出てきた。


「ユーラシアさん! ライナー様! いらっしゃいませ!」

「よーし、元気だね」


 濃い青と白の修道女服に身を包んだキャロが飛びついてきた。

 最近ぎゅーが多いな?

 肩車してるヴィルもしがみついてきたぞ?

 イシュトバーンさんはニヤニヤしてるし。


「こちら女性の絵を描かせたら当代ナンバーワンの絵師イシュトバーンさんだよ。キャロの絵を描かせてもらいに来たの。もうモデル料渡したから、キャンセルは利かないぞ?」

「もちろん構いませんけれども」

「完成した絵はあげるから、ポスターにして販売するといいよ。多分メチャクチャ売れるから」

「えっ? いいんですか?」

「いいんだぜ。オレはあんたを描きたいんだ」

「まあ、情熱的!」


 イシュトバーンさんもキャロを気に入ったようだな。

 キャロは聖女と言われるだけあって、裏のない子だ。

 どこまでも真っ直ぐで素直で純真。

 だからこそ危ういとも言えるが、天才剣士ライナー君が聖女キャロを守るという構図はピッタリだよなあニヤニヤ。


「じゃ、外行こうか」

「ん? 聖堂内でいいんじゃないのかい?」

「中だと宣伝にならないからね」

「宣伝? とは?」


 ライナー君にはわからないか。

 イシュトバーンさんの宣伝であり、ポスターの宣伝でもあるよ。

 ここは割と人通りがあるからね。


「レディースアンドジェントルメーン! 話題の画集『女達』の絵師イシュトバーン氏来たる! 今日のモデルはユーラシア教会の聖女キャロラインだよ! 寄ってらっしゃい見てらっしゃい!」

「……人を集めても教会の収入にはならないだろう?」

「直接にはならないけど、間接的にはなるよ」

「どういう意味だい?」


 ライナー君、納得できませんか?

 時間が経てばわかるよ。


 ――――――――――三〇分後。


「「「「「「「「うおおおおおおお!」」」」」」」」

「「「「「「「「画伯! 画伯! 画伯!」」」」」」」」


 熱狂に包まれるユーラシア教会聖堂前広場。

 帝都は人口が多いからすごい盛り上がりになるなあ。

 ライナー君が言う。


「ど、どうして修道女服の立ち姿なのに、こんな艶っぽい絵になるんだ!」

「よくわかんない。イシュトバーンさんの謎技術としか言いようがないんだよねえ。世の中理解しがたいことはあるよ」

「私にとっては、君の存在も理解しがたいよ」

「理解しがたいほど可憐だって? ライナー君は美男子なだけじゃなくて、女の子の褒め言葉も心得てるなー」


 アハハと笑ってると?


「「「ユーラシアさん!」」」


 おっと、新聞記者トリオだ。


「記者さん達も来たんだ? なかなか記事ネタを嗅ぎつける感覚が磨かれてきたんじゃないの?」

「ひどいじゃないですか! どうしてこんな面白いイベントがあるのに連絡してくれなかったんですか!」

「言われてみれば。ごめんよ。でもここまで面白いイベントになる予定はなかったとゆーか」


 ちょっとした思いつきで来ただけなのだ。

 イシュトバーンさんが我が儘言うから、キャロなら描かせてくれそうだと考えて急に決めて。

 

「よし、できたぜ」


 すっ飛んで来るキャロ。

 ぞろっとした修道女服なのに、案外身が軽いな。

 レベルが上がってるからかな?


「まああああ! ありがとうございます! とても素敵です!」

「まだ完成じゃねえんだ。家で仕上げて、近日中に届けに来るぜ」

「「「「「「「「うおおおおおおお!」」」」」」」」

「「「「「「「「画伯! 画伯! 画伯!」」」」」」」」


 ヴィルがちょっとソワソワしてるけど、肩車してれば大丈夫そうだな。


「皆注目! この絵はポスター化して販売します! 興味がある人は買ってね」

「もちろんだぜ!」

「新しい美人絵画集出してくれ!」

「カル帝国版を出せ! ぜひ出せ!」


 ええ? 随分とダイレクトに要望が来るなあ。

 画集の帝国版か。

 イシュトバーンさんどうする?

 やる気あるみたいだね。

 でもあたし、帝国在住のイシュトバーンさん好みの美人あんまり知らないしな。

 となれば……。


「よーし、じゃあ人気投票をします! 帝国版美人絵画集に載せて欲しい女性を、意見として新聞社に寄せてください。上位にランクされた人のところへ交渉に行くぞお!」

「「「「「「「「うおおおおおおお!」」」」」」」」


 イシュトバーンさんがえっちな目で見てくる。

 多くの票が集まるのは皆が知ってるような有名人になるだろう。

 であればおそらく上位にランクされるのは有力者メインになるだろうから、あたしは知り合うメリットが大きい。

 イシュトバーンさん好みの女性の可能性も高いだろうな。


「見たかい、色男よ。あれが精霊使いユーラシアのやり方だぜ」

「イベント仕立てか……」

「これ新聞で告知して、結果が出たら教えてよ」

「「「ユーラシアさん、ありがとうございます!」」」


 ハッハッハッ、楽しみが増えたな。


「皆さんさようなら! 帝国版美人絵画集もよろしくね」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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