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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1589話:開かれた赤眼族

 ――――――――――二五三日目。


「さーて、今日どうしよ?」


 朝食時、うちの子達と相談する。

 今日は何と一つも予定が入ってないのだ。

 あえて予定を入れてなかったわけじゃないのにな。


「何もない日も珍しいでやすね」

「そーなんだよね。たまには休めという、神様の思し召しかもしれない」

「もし神様の命令でも、ユー様は従う気はないんでしょう?」

「ないねえ」


 アハハと笑い合う。

 何もない日こそ雑事を片付けるチャンスだわ。

 大体あたしを贔屓する神様が休めなんて言うわけないわ。


「ボスは何かシンクしてたね?」

「んー? 魔境は定番だし、ガータンの黒妖石を回収ってのもあり。新聞記者ズに『福助』持ちの名を聞きに行ってもいいなとは思ってた。あたしがどっか行ってる間でいいから、海岸を見て新しい『地図の石板』来てないかチェックしてもらいたいってのもある」


 数えていけば、やるべきことがないではないんだが。

 ま、『福助』持ちについては判明すれば何か言ってくるだろ。

 後回しでいい。


「昨日ガリアでいただいたお酒をデス村長に届けるのは?」

「他に用がある時でいいかな。明後日リリーと鍛えてる魔物退治要員を連れて、ゼムリヤへ行くじゃん? そうすると自然、塔の村にも寄るから」


 お酒は腐るものじゃない。

 ついでの時でいい。


「結構素材もありやすぜ」

「アルアさんとこの工房か。無限ナップザックいくらでもものが入るから、つい行くのサボっちゃうね」


 当面は欲しいパワーカードもないので、足が遠のくというのもある。


「トゥデイはミートの日にすればいいね」

「どういうことかわからないけど、響きがいいからお肉デー採用。内容を聞こうじゃないか」


 つまり肉狩りして各地に配ってくる。

 夜はイシュトバーンさん家に食べに行くということか。

 なかなかいいプランだな。


「よし、肉狩りのあと、しばらく行ってなかった赤眼族の集落とエルフの里へ行くでしょ? 次にクララに解体してもらってる間に海岸で新しい『地図の石板』が来てないか確認。それからアルアさんの工房とバエちゃんとこにお肉を置いてこようか。最後にイシュトバーンさんところに連絡だな」


 首をかしげるクララは可愛い。


「盛りだくさんに思えますが、実はさほど時間かからない気がします」

「どうせ何か予定外のイベントが入るよ」


 揃ってああ、という顔をするうちの子達。

 ハプニング対応力が鍛えられてるなあ。

 何もなかったら魔境行けばいいじゃん。


「ごちそーさまっ! 本の世界へ肉狩り行くぞお!」

「「「了解!」」」


          ◇


 お肉(加工前)とともにフワリと降り立つ。

 コブタマン狩りをしてから、赤眼族の集落にやって来た。


「おっはよー」

「おお、精霊使いの人じゃねえか。また肉を持ってきてくれたのかい?」

「まあね。ちょっと様子見がてらだよ。こっちは調子どうかな?」

「復興著しいぜ」


 うむ、畑が青々としている。

 トラブルさえなければもう問題はないな。


「食糧危機の時に潰しちまった家畜の数が多いだろ? 今はとにかく数を増やそうってな。一時期ひよこの鳴き声がうるさかったぜ」

「あはははは!」


 しかし財産や命を奪う火事は怖い。

 特に乾燥気味のドーラの気候では。

 戦争と同じであたしの敵だな。

 ペペさんに消火の魔法を作ってもらいたいが、難しいのかな?

 レベルの高い人の使う水魔法はかなりの効果を発揮するだろうが、正直『アクアクリエイト』程度じゃ何の役にも立たない。


 あ、村長とミサイル来た。


「よく来た!」

「いらっしゃい。何か用件はあったかな?」

「特にはないよ。ただの様子見。順調そうでよかった」


 村長もミサイルも喜ばしげ。

 ミサイルが言う。


「他部族と交流がしたい!」

「お、ミサイルもそーゆー考えになったか。偉いねえ」

「でも俺達はどこへも行けない。魔物が強い」

「よくわかる」


 赤眼族は魔物を倒す方向には文化を発展させなかったようだ。

 元の異世界の影響なのか、あるいは強力過ぎる碧長石の魔物除けのせいかわからんけど。


「俺は誇り高き戦士として魔物をやっつけたい。でも誰も賛成してくれない」

「いくらミサイルが頑張ったとしても、一人じゃ集落から出て行くのは難しいかもしれないな。じゃあ向こうから寄ってくるのを待てばいいじゃん」

「「「えっ?」」」


 あれ、皆他部族と交流する方に心が動いてるのかな?


「時々この集落に来る人はいるんでしょ?」

「そりゃあたまには来る者もいる。頻度が高いわけではないが」

「今まで他所者に対してつっけんどんに接してたかもしれないけど、歓迎してやればいいよ。この村にはこんなものがあります、あんたんとこの村にはどんなものがあるかなって付き合っていけばいいじゃん。魅力的なものを生産できれば、定期的に他所の人も寄るって」

「魅力的なものといっても……」

「かれえの作り方教えてあげるから」


 メッチャ食いついてくるミサイル。


「かれえはすごく美味い! スペシャルだ! かれえの香りがしていれば、必ず人は来る!」

「かれえは味もナイスだけど、匂いがスペシャルだよね」

「カレーってそれほどのものなのかよ?」

「それほどのものだ!」


 基本的な作り方が同じであっても、いずれ使える調味料や食材の関係で違ったかれえに進化していくと思うよ。

 皆違って皆いい。

 とても楽しみじゃないか。


「畑広げていろんな作物育ててさ。まずは足元の基本部分からじゃないかな」


 ホドイモみたいな変わったものも作ってるわけだし。

 しかし村長が難しい顔をする。


「魔物除けの有効範囲があるからな。今以上に村域を広げるのが難しいんだ」

「言うの忘れてた。赤眼族の集落の門のところに設置してある強力魔物除けね。あれに使われてる碧長石を、たくさん手に入れられる目処がついたんだ」

「何、本当か?」

「うん。秋には強力魔物除けを大量生産できるようになると思う。そしたら情報提供料としていくつかあげるよ。門に据えつけてあるデカいやつほど効果が強力ってわけじゃないけど、軽く村域を倍以上にできるはずだよ。畑がふえーる!」

「助かる!」


 赤眼族には碧長石型の魔物除け使用のテストケースになってもらおう。

 大喜びの三人。

 ハッハッハッ、発展の道筋が見えてくると心高ぶるものだ。


「じゃーねー」

「また来い!」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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