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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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1562/2453

第1562話:内緒事を抱えて行政府へ

 フイィィーンシュパパパッ。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「精霊使いじゃないか。いらっしゃい」


 デス爺から新『アトラスの冒険者』用の転移の玉の設計図を受け取ったので、ドワーフの集落へ行ってきた。

 転移の玉作製の注文という名目のお肉パーティーをしてきたのでお腹一杯だ。

 満足満足。


 じゃなくてイシュトバーンさん家に来たんだった。

 すぐさま飛んでくるイシュトバーンさん。


「おう、どうした?」

「ちょっとおかしなことになったんだ。プリンスに報告しなきゃいけないことがあるから、行政府行くの」

「そうか。行こうぜ。ノア、ついて来い」

「はい」


 流れるように決定。

 門を出て行政府へ。


「で、どんな用なんだ」

「割と重要な秘密なんだよね。プリンスに伝えるのもどうかと思うんだけど、リモネスさんにそうしろって言われたの」

「あの賢者殿にか? ノアを連れてきたのはまずかったか?」

「いや、いいよ。ドーラの人間にはあまり関係のないことだから」


 これでイシュトバーンさんは帝国の、おそらく皇室関係の案件だと察したろう。

 『ララバイ』持ちノアは口が軽いわけじゃないし、同行しても特に問題あるまい。


「ユーラシアさん、イシュトバーンさん!」

「密会ですか逢引きですかスキャンダルですか?」

「御苦労様」

「御苦労様だぬ!」


 当たり前のように新聞記者ズ登場。

 実に仕事への意欲が旺盛だ。


「記者さん達は、何でそんなに仕事熱心なの?」

「愛し合う二人だからだぜ」

「ラブいからだぬ!」

「そーだったかー」

「「違いますよ!」」


 大慌てで否定する新聞記者ズ。

 いや、違わないニヤニヤ。


「記事になるようなネタをお話しいただきたいのですけれども」

「あたしも心の養分となるようなラブいネタを話してもらいたいけどなあ」


 当然皇帝陛下の遺書のことは話せない。

 ソロモコの話は面白いけどまだ早いか?

 帝国を取り巻く情勢が落ち着いてからの方がいいよなあ。

 とすると……。


「あんまり大きいネタがないな。今月一七日に、プリンスルキウスとアーベントロート公爵家令嬢パウリーネさんが結婚ってのは知ってるんだっけ?」

「「はい」」

「その二日前にはあたしがプリンスとリリーを帝都に送るよ。結婚式のあとのパレードでは面白い趣向がある」

「何でしょう?」

「普通は帝都中央広場で新郎新婦が挨拶して、馬車で皇宮まで手を振りながらゆっくりパレードするってパターンなんだって。これがちょっと格好いい演出になるの」

「どんな演出ですか?」

「まだ内緒」

「「ええっ!」」


 不平面したってダメだぞ?

 本番の楽しみが減るだろーが。


「で、では一七日結婚パレードの日に、私達を帝都に連れていっていただけませんか? 記事を書きたいのです!」

「いいよ。一七日朝にイシュトバーンさん家の門のところにいてよ」

「「やったあ!」」


 プリンスの結婚に当てられて、新聞記者ズも燃え上がっちゃってくださいニヤニヤ。


「あと記事になりそーなことと言えば、海外のことで。故ガレリウス第一皇子の遺児リキニウス殿下が、ラグランド植民地の旧王族オードリー王女と婚約しました」

「帝国のラグランド統治が根本的に変わる可能性がありますか?」

「あるね。いずれ帝国統治下ではあっても、リキニウスちゃんとオードリー共同統治によるラグランド王国として、自治が強まるんじゃないかな」


 あたしの希望的観測も大いに含まれているけれども。


「三日前にリキニウスちゃんの爺ちゃんグレゴール元公爵、元ドーラ総督ね。とアルヴィリア第一皇子妃とともにラグランドへ遊びに行ったよ。ラグランドは反帝国感情の強いところなんだけど、うっかり元公爵が約五〇段ある階段のてっぺんから転げ落ちるという離れ業を多数の見物人の前で実演して、『不死身の公爵』と呼ばれるようになったって」

「おい、元公爵は大丈夫なのかよ」

「大丈夫みたい。うっかり元公爵には盾の魔法っていう、最近ドーラで開発された外的ダメージを短時間ゼロにする魔法を組み込んだステッキをプレゼントしてあったんだ。うまく起動できたんじゃないかな」


 面白いイベントを見損なったのは残念だが。


「ガラッと話題変わるけど、八日前にイシュトバーンさんと塔の村にいるフィフィリア元男爵令嬢、帝国の主席執政官閣下の娘ルーネロッテ皇女を連れて、ノヴォリベツの温泉へ行ったんだ。主目的はフィフィの著書の表紙絵をイシュトバーンさんに描いてもらうことだったけど」

「ええ、仰ってましたね。温泉でだったんですか」

「絵師の希望で」


 納得しちゃう新聞記者ズ。


「イシュトバーンさん筆が乗っちゃってさ。本来関係のないルーネの絵まで描きだしたんだ。これがイシュトバーンさん自らが大傑作って言ってたくらいの出来なの。お父ちゃんの主席執政官閣下が破廉恥だーって言いながら目を離せないくらいの」

「ルーネロッテ皇女の絵は新聞に載せられないですか?」

「ちょっとムリ。閣下はルーネにこの絵は誰にも見せていないだろうねって確認してたくらいだし、絵師を処刑してやりたいとも言ってた」

「すごい絵なんでしょうねえ……」

「ハハッ、感無量だぜ」


 何が感無量なんだかわからん。

 帝国の実力者に目をつけられてるんだから、もっと恐れおののけ。


「フィフィの本の表紙絵は載せちゃっていいからね。あんまりえっちじゃないけど」

「それなりだぜ」


 それなりなのか?

 言われてみると、フィフィの絵完成してから見てないな。

 子供にも売りたいから派手にえっちだと困るんだが。


「フィフィリアさんの本はいつ販売になるでしょう?」

「あ、わかんない」

「かなり早めるって言ってたぜ? 今月末になるんじゃねえかな。ヘリオスに問い合わせてみろよ」

「「はい」」

「以上です。記事になる?」

「もちろんです。ありがとうございました!」

「最後にもう一つ。人探しをお願いしたいんだよ。ピジョー・ジブリさん。二〇~三〇歳くらいの男の人で、レイノスにいるって聞いた」

「この人も『日和』持ちバーナードさんと同様の理由で探してるんですか?」

「うん。ドーラに恩恵のありそうな人。ごめんね、新聞記者さん達には直接恩恵はないけど」


 『福助』の能力についてはぼかしておけ。


「わかりました」

「お願いしまーす。じゃーねー」

「バイバイぬ!」

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