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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1560話:投資のメリット

「今ドーラから月二〇〇〇本、水魔法のスキルスクロールを帝国に輸出してるの。水に不自由しないのは便利ってことでよく売れてるんだけど、本来は超すごいお茶用に作ってもらった魔法なんだ」

「お茶のために魔法を?」

「それくらいの価値があるお茶だと思わない?」

「ふむう……」


 呻くフリードリヒさん。

 元騎士だけに、魔法を組み立てて実用的なものに仕上げる困難さもある程度知ってるのかもしれないな。

 いや、ドーラには天才魔道士がいるから、魔法作ってもらうのも帝国ほど難しくないの。


「……もう一杯、もらおうか」

「あっ、私もお願いします!」

「私にもよろしく!」


 いい匂いだなあ。

 これだけで喉が鳴るよ。


「……美味い」

「最高でしょ?」

「ああ、世界一だ。僕も保証する」


 この感想をテオさんやザバンの人に聞かせたかった。

 より茶作りに理解が得られるだろう。


「ユーラシア君やドーラ政府が、このお茶に尋常でない努力と敬意を払っているのは理解した。僕にも協力させてもらえないか?」

「ありがたい申し出ですけど、返せるものがありませんので」

「茶畑が広がればやりようはあるだろう? ねえ、ユーラシア君」


 フリードリヒさん、まだ超すごいお茶を手に入れること諦めてないらしいな。

 お金持ちの公爵が協力してくれる。

 しかも茶畑を広げる方向で考えてくれてるのは、ドーラにとって大いにメリットがあることだ。


 しかし現実問題として手が回らない。

 手はいずれ何とかなるとしても、配当金出したんじゃドーラの利益にならないしな?

 現物はドーラ政府に納める契約だし……。


「……あたしと契約しない? フリードリヒさんはザバンの茶産業に投資する。代わりにあたしのザバン茶買い取り枠の少なくとも半分と、手持ちの超すごいお茶の茶葉全部をフリードリヒさんに譲る。どお?」


 これなら生産量が多くなるほど、フリードリヒさんの入手できる茶葉は増える。


「十分だ。でもいいのかい?」

「もし畑が何十倍に広がっても、あたしが必要とする茶葉は販促・接待・お土産用と、せいぜいリリー達に譲る分だけだから。そろそろ一番茶が手に入る時期なんで、手持ちを全部あげても構わないし」

「いや、ユーラシア君にメリットがないだろう?」


 あ、いいのかってのはそーゆー意味だったか。


「ドーラの発展はあたしの利益だからいいんだぞ?」


 ヒューと口笛を鳴らすフリードリヒさん。

 尊敬の表情のルーネ。

 呆然とするライナー君。

 おいこら、ライナー君どうした?


「よし、僕がザバンの茶産業に毎年二〇万ゴールド出資しよう。ユーラシア君、どうだい?」

「いいよ。毎度あり」


 握手、契約成立だ。

 茶農家テオさんが何が何やらって顔してるけど、タダでおゼゼが入ってくるってことだよ。

 人を雇って茶畑拡張してね。

 しかしフリードリヒさんは、毎年二〇万ゴールド出しても儲かると見てるのかな?

 収穫量が多くなれば余裕か。


「小腹がすいたな。店主、何かあるかな?」

「団子がありますぜ」


          ◇


「ふむ、甘くて美味い」

「ザバンは砂糖の産地でもあるんだよ」


 ルーネも気に入ってくれたらしい。

 ヴィルがくっついてら。

 対照的にライナー君は……。

 フリードリヒさんがライナー君に話しかける。


「ライナー君はザバンで何か得るものがあったかい?」

「はい、まあ……」

「何もないなー。ただお茶飲みに来ただけだったなー」

「ひどいじゃないか!」


 アハハと笑い合う。

 新しい経験ができたことは確かだろうが、ライナー君のためになったかと言われるとな?


 フリードリヒさんが愉快そうな顔をする。


「ユーラシア君はツムシュテーク伯爵領について、何か知ってることはあるかい?」

「タムポートのすぐ北にあって、金銀を産出するからお金持ち。酪農や漁業も盛んだって聞いたよ」

「よく調べてるじゃないか。ではライナー君が領主になったらどうなる?」

「騙されてすってんてんになるか、さもなくば財産貯め込むかどっちかだと思う」

「僕も同意見だ。よろしくないね」

「ほんとだねえ」


 ルーネが聞いてくる。


「財産を貯め込むのはよろしくないのですか?」

「うーん、ビンボーで税金上げるのよりはマシなんだけど」

「ルーネロッテ様。金は有限なのです。領主が貯め込むと、その分民に回る金は少なくなる。すなわち民が貧しくなってしまうのです」

「いざという時の蓄えくらいは必要だよ。でも貯め込み過ぎるのは害悪だなー」


 金銀採掘の収入ってメッチャ大きそう。

 多分今の伯爵家当主はうまいことやってるんだろうけど、金銀っていつまでも掘れるもんじゃないだろうからな?

 堪りかねたかのようにライナー君が言う。


「私は何を学べばよかったのでしょうか?」

「今日のフリードリヒさん見ててどう思った?」

「えっ?」

「投資だよ。自分が儲けようとして民にもおゼゼを回す。あれが正しいおゼゼの使い方だよ。でも……」

「富裕な伯爵家ともなると、胡散臭い儲け話がたくさん集まるはずなんだ。玉石混交、ほとんど石だね。ユーラシア君が言っていたすってんてんというのは、ろくでもない話に引っかかって金を失ってしまうということだよ」

「む、難しいですね」

「突っ込んだお金が大きくなると、思い通りに行かなかった時どうしても取り返さなきゃって思っちゃうんだよ。ここまでって線引いときゃいいんじゃないかな」

「思い入れがあるとか多方面から強い要望があるとか、失敗しても悔いが残らない分野に投資すべきだね。ちなみにユーラシア君はどうしてるんだい? 君もかなりあちこち出資してるとみたが」

「あたしは儲けようと思って投資したことないな。世の中が発展すると色々なものを手に入れられるようになるよ。それがすなわちメリットだから、お金なんて落としてやりゃいい。領主の考え方じゃないだろうけどね」


 領主だと自分とこの領内を発展させたいだろう。

 あたしはドーラを発展させたいが、行動範囲全体が発展するのが一番いい。

 対象が広い方がトータルのリターンが大きいのだ。


「喜んでもらえるものを売って欲しいものを買える。とゆー社会がいいな」

「ユーラシア君の視野は広いねえ」

「やりたいようにやってるだけだよ」


 いい感じにライナー君が考えてるので、今日はいいだろう。


「じゃ、帰るよー」


 転移の玉を起動して帰宅する。

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