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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1535話:デンジャラス精霊とともに

 フイィィーンシュパパパッ。

 クララとヴィルを連れて塔の村にやって来た。

 古い文字に詳しいという、エルパーティーの精霊コケシの力を借りるため、クララと一日トレードしてもらう予定なのだ。


 正直コケシの力を借りることはスリルを伴う。

 あのデンジャラス精霊は、対価として何要求してくるかわかんないからな。

 ただそーゆー交渉も今日の楽しみの内なのだ。

 コケシはコケシで愉快な個性の子。


「さてと、エルはどこかな?」

「あそこだぬ!」


 広場の真ん中、目立つところにエルのパーティーがいた。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「やあ、ユーラシア」

「待たせちゃった? ごめんね」

「いや、そんなことはない」


 最初会った時はエルって不機嫌そうな子だなあと思ったけど、最近は大体いつも機嫌がいい。

 冒険者活動が順調で、知り合いも多くなってきたからだろう。

 基本寂しがり屋だもんな。


 機嫌が悪くなるのは触れちゃいけないところに触れた時だけだ。

 もっとも触れられるほどの大きさはないけれども。

 コケシが言う。


「ユーラシアさんが、エル様に対して失礼なことを考えている気がします」

「失礼なことって何だい?」

「だからどーしてコケシは言わんでもいいことをゆーんだ。そして何故エルは無警戒に地雷を踏みに来るかな?」


 導入が完成されているとゆーか、息を吸うようにナイチチを攻撃したくなるとゆーか。

 コケシが遊んでくれという顔をしている。

 しかし今日は暇じゃないのだ。

 今度にしなさい。


「通常うちのパーティーでクララは専任ヒーラーなの。ただ今日は装備を物理寄りにしてるから、コケシのマネごとはできると思う」

「十分だよ。クララちゃん、よろしくね」

「こちらこそよろしくお願いします」

「じゃ、コケシ借りてくよ。昼過ぎくらいに食堂で待ち合わせでいいかな?」

「ああ、構わないよ」


 コケシが聞いてくる。


「私は何をすればいいですか?」

「今から行くダンジョン、って言っても大したことない広さだけど、一番奥にある碑文を読んで欲しいんだ。あんたの知識に期待する」

「ではなくて、戦闘面でですが」

「戦闘? こっちで片付けるから、コケシ様の御手を煩わせるようなことはないよ」

「つまらないじゃないですか!」

「えっ?」


 つまりストレス発散のため、戦闘に参加させろってこと?

 ゲストで参加する時くらい大人しくしてりゃいいのに、どこまでもデンジャラスなやつだな。

 コケシの欲求不満でエルに迷惑をかけても何だから。


「じゃあ道中の戦闘はコケシメインでいこうか。強い魔物はいない、レベル一桁のパーティーでも全然問題ないくらいのダンジョンだよ。洞窟コウモリっていう、タワーバットの近縁種がいるんだ。今日の昼御飯にする予定だから、そいつの調達という重要どころを任せようじゃないか」

「ありがたき幸せ!」


 何がありがたいんだか。


「よくわからんぬ」

「同感だわ」


 バトルジャンキーなんだろうか?

 コケシは同じ植物系の精霊であるクララと同じように色が白い。

 クララよりもずっと大柄で、身長はあたしと同じくらいある。

 何もしなきゃ可愛いと思うんだが、どーも言動から嗜虐的とか慇懃無礼という言葉でしか表現できない。


「……コケシは身分や立場は女王様が似合うかな」

「ユーラシアさんの目にも高貴に見えますか?」

「高貴というか猟奇?」

「何てことを言うんですか!」


 でも全員が頷いてるからな?

 で、このテリブル精霊と温厚なクララの性格が合うってのもわけわかんないところだ。

 えっ? クララはあたしとも気が合うだろうって?

 だからどうした。

 何の関係もないだろーが。


「エル。あたし達は行くよ。またあとで」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動して帰宅する。


          ◇


「人工のダンジョンのように見えますが」

「中行くと人の手はあんまり入ってないんだよね。自然の洞窟を利用したんじゃないかな」


 『苔むした洞窟』の転送先にあるダンジョンに来た。

 確かに入り口だけ見るとかなり人工的に見える。

 アトムが言う。


「昔ドワーフが作り、研究所として用いたって話でやすぜ」

「ビューティフルなアンダーグラウンドレイクがあるね」

「奇麗な地底湖なんてのはコケシの心に響かないだろうけれども」

「何てことを言うんですか!」


 アハハと笑いながら洞窟内へ。

 あ、でもあの地底湖には生物がいないみたいなんだよな。

 その辺はコケシの興味を引くかもしれない、何となく。


「コケシはどんなパワーカードを普段使いしてるの?」


 何々?

 『ライトスタッフ』『風林火山』『スナイプ』『癒し穂』『武神の守護』『オールレジスト』『テンパランスチャーム』か。

 『ライトスタッフ』で殴打属性を確保して攻撃力と魔法力を増強、『風林火山』『スナイプ』で攻撃力をさらにアップしつつマジックポイント自動回復と攻撃の遠隔化を付与する。

 『癒し穂』で魔法力のアップと付属のノーコスト回復魔法『些細な癒し』を、『武神の守護』で防御力のアップとヒットポイント自動回復を確保する。『オールレジスト』で状態異常にかかりにくくし、『テンパランスチャーム』で能力値を全体的に底上げしさらにマジックポイント自動回復か。

 ふうん?


「随分マジックポイント自動回復に厚くしてるんだね。いや、ヒーラーだからわからんことはないけれども」


 一方で魔法力増強はさほどでもないしな?


「格闘スキルを常用しますので」

「えっ? あんた『格闘』持ちなのかよ。なら攻撃参加しないともったいないね」

「そうでしょうとも!」


 現れた洞窟コウモリ一体を、コケシが慣れた手付きで倒す。


「お見事。『癒し穂』を装備してるところ見ると、コケシは『乙女の祈り』は使えないんだ? 『些細な癒し』によく似た効果の、戦闘中だけ使用可能なバトルスキル」


 女性の白魔法使いが覚えることがあるってことだったが。

 『乙女の祈り』も習得条件がよくわからんスキルの一つだ。


「使えません」

「心の清らかな子じゃないと覚えないのかもしれないな」

「ユーラシアさんの言い方ですと、私の心が汚いみたいに聞こえますが」

「汚いとは言ってないよ。ただコケシの心はサイケデリックに彩られてそうと思っただけ」

「えへへー」


 コケシよ、クララみたいな照れ方するな。

 今のは褒め言葉じゃないからな?

 洞窟の先へ歩を進める。

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