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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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1534/2453

第1534話:フリードリヒ公爵帝都へ

 ――――――――――二四六日目。


「おっはよー! ドーラの美少女精霊使いユーラシアとはあたしのことだ!」

『ゆ、ユーラシア殿か? 本物?』

「本物だとゆーのに。他に悪魔を連絡係に使ってる人間はいないわ」


 多分ね、ヴィルはいい子だから。

 翌朝、フリードリヒ公爵一行をヴィルに探してもらったら、何と野営しているのとのこと。

 おかしいな? 今日にも帝都到着のはずだったのに、何でどっかの町でお泊りじゃないんだろ?

 帝都の側に町がないような地区があるとも思えんけど。


 通信で繋がっているのは隊長格の人らしい。


『公爵様はまだ休んでおられるぞ』

「朝早い時間にごめんね。予定だと今日帝都に着くはずだから、行程どうなってるかなと思って確認したかったの」

『うむ、昼前には帝都メルエルに到着予定だ』

「今ってパウリーネさんの結婚準備で忙しいのかな? でなければルーネロッテ皇女を連れて、帝都公爵邸へ遊びに行きたいんだけど」

『忙しいのはむしろタウンハウスの使用人連中だ。公爵様がお疲れでなければ構わぬのではないか』

「じゃ、午後に行くね」

『そう、お伝えしておこう』

「お願いしまーす」


 次期皇帝候補最右翼ドミティウス主席執政官閣下の娘であるルーネを、ライバルであるプリンスルキウスの舅になるフリードリヒさんとこへ連れていくことをどう思うか?

 フリードリヒさんは面白がるだろうなあ。

 却って閣下の方が変に深読みしそう。

 悪いやつVS悪いやつの心理戦を特等席で楽しむべしニヤニヤ。


「ところで何で町で宿泊しないで野営してるの? 日程の関係?」

『いや、野営も訓練の内ということでな。パッフェルとの行き来では、大体一晩は野営することになっているのだ』

「へー。フリードリヒさんのやることは考えがあるんだなあ」

『表向きの理由はな。実は公爵様が野営好きだからだと思う。常々外で焼く肉は最高だと仰られているのだ』

「おおう、逆らえない理由だな」


 つまり野営はフリードリヒさんの趣味か。

 元騎士だけにたまにはワイルドなことがしたくなるのかな?

 ただし外で食べるお肉がおいしいとゆー意見には共感しかない。

 焼き肉親睦会やバアルの召喚祭りの時のお肉は美味かった。

 でもイシュトバーンさん家やチュートリアルルームで食べるお肉も最高だな?

 結論、お肉はいつどこで食べてもデリシャスにしてジャスティスにしてエクセレント。


「ありがとう。フリードリヒさんによろしく」

『うむ、さらばだ』

「ヴィル、ありがとう。次はパラキアスさんと連絡取ってくれる?」

『わかったぬ!』


 うちの子は皆いい子だ。

 今日はあとでいい子とは言えないテリブル精霊コケシとの絡みがある。

 たまにはコケシも遊んでやろう。

 楽しみだ。


『パラキアスだ。ユーラシアだな?』

「ドーラの美少女ヒロインことあたしだよ」

『各地で進展があったかな?』

「進展とゆーほどでもないけど着々と。まず『アトラスの冒険者』代替組織について。ドワーフ達に試験的にお仕事出してみたんだ。仕事の質やスピードは問題ないな。今デス爺に五〇人分の転移の玉の設計してもらってる。それをじっちゃんの孫アレクと移民のエメリッヒさんが手伝ってるんだ」

『ほう? 転移術を二人に伝授するということか?』

「転移術は帝国で禁断の術式って言われてるんだって。過去実験中に何度も転移事故起こしたらしくて」

『デス殿も似たようなことを話していたな。転移先が見えないと危なくて仕方がないと。理由を聞いて納得したが』

「転移先を見ることができるのが『晴眼』っていう、一般には遠くがよく見えたりする固有能力なんだ。転移先を見るためにはある程度のレベルが必要だけど。カラーズ~レイノス輸送隊のメンバーにたまたま『晴眼』持ちがいてさ。その子に協力してもらえば、安全に転移術が研究できそうなの」

『パーフェクトだ!』

「デス爺の転移術が失われると迷惑だもんねえ」


 思ったよりパラキアスさんが喜んでいるようだ。

 継承できない技術だと考えていたのかもしれないな。

 デス爺の転移術をかなり高く評価しているみたい。

 便利なだけじゃなくて、諜報や軍事にも応用できる技術だから。

 あたしも他所の国の人に、転移術の詳細については知らんで押し通してるし。

 ドーラ統治の基幹システムとして、各地と転移網で結びたい。


『テテュス内海情勢についてはどうなってる?』

「ガリアの外務大臣を帝国施政館に連れていって、サラセニア~タルガ間で天使国アンヘルモーセンを通さず直接貿易することになったよ」

『ふむ、カル帝国とガリアが手を結んだか』

「貿易の規模はわかんないけどね」

『帝国とガリアが組んだという事実が重要だ。アンヘルモーセンが動かなければ終いだが……』


 天使国の狙いがわからん。

 サラセニアに手を出せば大国ガリアが怒るのは自明の理だろうに。

 外野からは見えない成功のビジョンがある?

 関係のないところで混乱が起きて、ドーラにまで影響が波及したら困るが……。


「もうちょっとでツェーザル中将がタルガに赴任するんだ。そしたら一度、タルガの様子見てくるね」

『ああ、頼むよ。変わったことがあれば知らせてくれ』


 この件はパラキアスさんの中ではドーラに影響なしとなったらしい。

 ま、あたしも天使国が引っかかってるだけ。


「最近、主席執政官閣下の娘のルーネロッテ皇女をよく遊んでやってるんだ」

『何か目的があってのことかい?』

「とゆーほどでもないな。あたしがルーネを構ってると、ルーネの表情が豊かで笑顔が魅力的だってことに最近閣下が気付いたらしくて。冒険者活動は認められないけどルーネを遊んでやってくれみたいな、ジレンマの中に閣下がいるんだよ」

『ハハハ、遊び過ぎないようにな』


 あたしとしてはもっと遊んでやりたいんだが。


「今日、プリンスルキウスの義父になるフリードリヒ公爵が帝都に戻ってくるんだ。ルーネ連れて公爵邸へ遊びに行こうかと思ってる」

『……実に面白いな』


 悪いやつ同士を咬み合せることに思い当たったらしい。

 パラキアスさんも悪いやつだから。

 表面上はどうあれ、閣下派とプリンス派の融和を望めるアクションなんだけどね。


「じゃねー。そんなとこ」

『うむ、さらばだ』

「ヴィル、ありがとう。こっち戻ってきてくれる?」

『わかったぬ!』

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