表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1528/2453

第1528話:精霊トレード

 フイィィーンシュパパパッ。

 うちの子達を連れて塔の村にやって来た。

 大体エルのパーティーは、これくらいの時間に早めにお昼を食べてから塔に入るはず。


「ビンゴだな」

「ビンゴですね」

「ビンゴだぜ」

「ビンゴね」

「ビンゴだぬ!」


 久しぶりだな語尾変化。

 新しい芸風の開発もいいが、たまにはおさらいもしとかないと。

 故きを温ねて新しきエンターテインメントを知るウルトラチャーミングビューティー。


「おーい、エル!」

「ユーラシアじゃないか」


 表情の柔らかいエル。

 探索も調子いいんだろう。


「フィフィリアとノヴォリベツの温泉に行ったらしいじゃないか。ボクも誘ってくれればよかったのに」

「どーしてエルはノーガードで爆心地に飛び込もうとするんだろうな?」

「えっ?」


 サディスティック精霊コケシがスタンバイしてますよ。

 今日はヴィルもいるし、コケシに頼みごともある。

 たまには遊んでやるか。


「あたしとフィフィと、もう一人一四歳の帝国の皇女が一緒だったんだ。リリーから見ると姪になるルーネって子」

「フィフィリアの本の表紙絵を描きに行ったと聞いた」

「今更話題を変えようとしたって遅いわ。厳正な審査の結果、三人ほぼ同じ大きさだと判明したんだ」

「何が?」

「エル様にないものです。すなわちおっぱいです」

「あっ、コケシ! ド真ん中過ぎるわ!」

「うがー!」

「おいこら、サディスティック精霊コケシともあろう者が何やってるんだ。エンターテインメントが台無しじゃないか」

「申し訳ないです。絶好のトスだったものですから、ついそのままアタックしてしまいました。素直過ぎたと反省しております」

「コケシは真綿で首絞めるように追い込むのがいいところなのに。もーしょうがないなあ。ヴィル、鎮静剤」

「はいだぬ! ぎゅー」

「ああ、君はとてもいい子!」

「とてもいい子ぬよ?」


 残りの精霊達が皆、真綿で首絞めるのがいいところ? って顔をしている。

 他にどーゆー褒めどころがあるのだ。

 誰あろうコケシだぞ?


「はあはあ」

「エル、落ち着いた?」

「何とか。今日ユーラシアが塔の村を訪れたのは?」

「コケシを貸してもらおうかと思って」

「「「「は?」」」」


 うむ、何故好き好んでデンジャラス精霊なんぞを借りたがるか?

 山より高く海より深い謎だろう。

 これには当然説明が必要。


「以前、赤眼族の文字の資料をコケシに渡したじゃん」

「エル様の世界の昔の修飾文字ですね?」

「そうそう。同じ文字の書かれた石が、ある洞窟の中にあってさ。以前のクエストの現場だった、地下のダンジョンの中ね。書かれた文字をコケシに読んでもらいたいんだ」

「ああ、私は興味があるのでよろしいですけれども」


 がめつい交渉してくるかと思ったら素直だな。

 かなりあの文字には御執心らしい。

 チラッとエルを見るコケシ。

 エルの了承がいるんでしょ?

 わかってるわかってる。


「それで明日、コケシとクララをチェンジしてもらいたいの」

「「「「えっ?」」」」


 別に驚くところじゃないでしょ。


「エルの塔探索を邪魔しようってんじゃないんだ。メンバー足りないと困るじゃん?」

「まあ予定が狂うのは困るな」

「コケシってヒーラーなんでしょ? だから同じヒーラーのクララと、一日トレードはどうかなってことだよ。そりゃクララは真面目な子だから、コケシの腹黒いところまではマネられないけど」

「何てことを言うんですか!」


 笑い。

 エルが言う。


「コケシとクララちゃんが了承してるならいいんじゃないかな」

「他のパーティーに参加させていただくのも勉強になります」

「アトムダンテわかってるね? あれは『他のパーティーで犠牲者を出します』って意味だよ。つまり標的になるのはあんた達」

「何てことを言うんですか!」


 再びの笑い。

 冗談やないけ。

 え? あながち冗談でもない?

 まあたまにはアトムダンテも楽しんでみればいいけれども。


「コケシってただのヒーラーじゃないんでしょ? 撲殺系と予想してるけど」

「そうだぷー」

「合ってるでござる」


 やはり積極的に物理攻撃してるのか。

 じゃ、クララにも物理攻撃可能な装備させとこ。

 うちのパーティーはあたしの『薙ぎ払い』や『雑魚は往ね』が主力の火力なので出番はないが、クララの攻撃力パラメーターは低いわけじゃないのだ。


「明日も今くらいの時間に来るからよろしくね」

「ああ、わかった。……ユーラシア」

「何だろ?」

「レイカやリリーが転移の玉を持っていただろう?」

「ちょっと頭寄せて」


 内緒話モード発動。


「『アトラスの冒険者』が廃止されると聞いた」

「うん。まだ誰にも言わないでね」

「母が迷惑をかけているのか?」


 エルの母赤眼天使エンジェルが『アトラスの冒険者』のトップだということは、エルには伏せてあったのだが。

 デス爺辺りから聞いたか。


「ややこしい事情があるんだ。『アトラスの冒険者』の廃止は時間の問題ではあったよ。エンジェルさんだけのせいじゃない」

「すまない」

「いや、大体『アトラスの冒険者』って、希望してるしてないに関係なくいきなり選ばれたり、庭に突然転送魔法陣作ってみたり、頭おかしい組織だとは思ってたんだ。今はドーラの治安を守る活動もしてるんだけど、そんなのは本来異世界じゃなくてドーラの責任でやるべきだしね。だからこの際、あたし達に都合のいい組織に作り変えることにした」

「ユーラシアはいつも前向きだな」

「エルも参加してよ。計算に入ってるの」

「もちろんだ。ボクだけ入れてくれないなんて不平等じゃないか」

「何だこの寂しんぼめ」


 三度目の笑い。

 今のところこれでいい。

 異世界についてはまだわからんこと多いけどな。


「具体的には、自分のホームと現在の『アトラスの冒険者』のギルドに飛べる転移の玉を、各冒険者に持たせる。ギルドに転移石碑をたくさんおいてさ。各地へ行けるステーションにしようと思ってるんだ」

「拙者達も様々な場所に行くことができるということでござるな?」

「できる。楽しくなるよ」


 エルのパーティーの面々も嬉しそう。

 エルのパーティーは塔のダンジョンのエースだ。

 こっちでも目標としてることはあるだろうけど、行動範囲が広がるとなるとワクワクするもんな。


「じゃ、あたし達は帰るね。また明日」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動して帰宅する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ