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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1527話:ほこら守りの村の未来

 フイィィーンシュパパパッ。

 チュートリアルルームから帰ったあと、ほこら守りの村にやって来た。


 まばらな木々の間を通り抜ける風が優しい。

 もっとも美少女精霊使いに対しては万物が優しくしなければならないと、法律で決まってたんだったかな?


 このくらいの時期になってくると、やや日差しを強く感じる。

 転送先からずんずん歩いて村の中へ。

 

「おっはよーございまーす!」

「おお、これは精霊使い殿」


 ニコニコする村長。

 村長はいつも広場のところにいるな。


「これ、お土産でーす」

「貴重な肉を、いつもすみませぬな」

「いいのいいの」


 お肉は笑顔の素だから。


「この辺は街道から外れてるのに、いくつか自由開拓民集落があるよねえ?」


 警備とか治安の観点からすると、ちょっと盲点になりやすい地域の気がする。

 オニオンさんはこの辺りの人みたいだけど、『アトラスの冒険者』のメンバーは誰かいるのかな?

 もっとも御神体リタがいるから、そうそう悪さもしてられんだろうが。


「当村は街道ができる以前からの集落、というのが正しいですな。他は当村の分かれや、当村があるから設立された集落ですぞ」

「じゃあ本当にドーラのごく初期からある集落なんだ?」

「ええ、魔物が少ない地区ですからな」


 以前ほこら守りの村の成り立ちを聞いた時から、かなり古い集落とは聞いていたけど。

 消滅してしまった土地神や、今は少女霊リタの影響で魔物が少なく、住みやすいんだろう。

 ドーラ黎明期の魔物の脅威ヤベーとゆーか、霊験あらたかですげーとゆーか。


「この時間ですと、マーシャは御神体のところですぞ」

「ありがとう。挨拶してくるね」


 土地神の碑を参ってから参道へ。

 こっちの森は鬱蒼という表現が近い。

 てくてく歩いてほこらへ向かう。


 ほこらの前には、参拝客用の御神体像が立てられていた。

 これリタに似てるかなあ?

 ごつくて微妙じゃない?

 手を合わせて軽めに祈る。


「あっ、やはりユーラシアさん!」

「ゆーしゃさま!」

「おっはよー」


 リタとマーシャが出てきた。

 祈った時のパワーでリタが気付いたのかな?

 飛びついてきたマーシャをぎゅーしてやる。

 うーん、やはり明るいところだとリタは透けてるな。

 精霊や悪魔みたいに仮の実体がないから落ち着かないわ。


「大きなパワーが流れ込んできたのでそうかなと」

「やっぱりか。絵描かせてもらった時みたいになっちゃうと大変だから、今日は手加減して参ったんだけどなあ。あの画集大人気なんだ。カル帝国の都でも五万部売れたって」

「五万部ですか? すごいですね! ありがたいことです」

「これ、マーシャにお土産だよ。これからの季節用の帽子」

「ありがとうなのです!」

「うん、可愛いね」


 マーシャはいつも子供らしいワンピースなので、リボン付き麦藁帽子が良く似合う。

 あたしと同じ清楚系だな。

 誰だ、疑問に思ってるやつは。

 あたしは言うに及ばず、マーシャだって清楚系だぞ?


「きょう、ゆーしゃさまはなにしにきたですか?」

「何の用があるってわけじゃなかったけど」


 一応聞いておくか。


「『福助』っていう幸運をもたらすレアな固有能力持ちが、ほこら守りの村の近くの自由開拓民集落出身なんだ。その人に会いに来たというか」

「あっ、しってるです!」


 単なる脱落『アトラスの冒険者』と思ってたけど、この辺ではよく知られてる人なのかな?


「いまはれいのすにいるのです」

「あれ? マーシャが知ってるくらいか。有名な人なの?」

「ゆうめいではありません。げんざいからみらいにわたってながくどーらにこううんをもたらす、えんのしたのちからもちなのです。じゅうようなのです」

「マジかよ?」


 あたしを最初からゆーしゃ認定しているマーシャがチェックしてる人物、ときたもんだ。

 現在から未来にわたって長くドーラに幸運をもたらす?

 『福助』って漠然とした固有能力なのかと思ってたけど、かなりヤバめの能力らしい?


「わかった。ありがとう、マーシャ」

「どういたしましてなのです」


 ほこらの周りは風がほとんどない。

 木が密なせいだろうか。

 ポカポカして気持ちがいいな。


「ほこら守りの村は、とてもいいところだよねえ」

「ええ。大変だったのは開村時くらいです」

「うーん……」

「どうしました?」

「今どんどん移民が来てるんだよね。あたしはドーラを発展させたいんだけど、ほこら守りの村はこのままでいいとゆーか」


 純朴な古き良きドーラの風景なのではないだろうか。

 下手に弄っちゃダメなような。

 マーシャが言う。


「へんかをきらうひともいるですよ」

「うん、わかる」

「でもだんだんじぶんがびんぼうになっていくのを、ゆるせるひとはいないのです」

「それなー」


 このままでもいいのだが、ドーラの発展に取り残されると相対的に貧乏になっちゃう。

 となると村を捨てる人も増えて寂れてしまう。

 リタだって悲しいだろうしな?


「……難しいな。でもこの村は割と裕福だよね。何でかな?」


 『ほこら守りの村の怪』のクエストを解決した時の報酬はかなり多かったのだ。

 お賽銭なんかたかが知れてるだろうしな?


「畑は広くないですが、植物はよく育ちます。森の恵みも多いですよ」

「りたのおかげなのです!」


 なるほど、御神体として崇められているリタの霊験なのか。


「……植物がよく育つ霊験なら、生かすべきだな。でも畑が広いってわけじゃないから、単価の高い果樹と薬草がいいか。マーシャ、これあげるから、村長さんに渡して増やして」

「これはなんですか?」

「眠り草とか湿布草とかの種だよ」


 以前掘り出し物屋さんから手に入れ、放置状態になっていた薬草の種だ。

 半分は灰の民の村に渡してきたが、うちではこれから魔境や外国の植物を採取して試験栽培していきたい。

 と考えると、うちは薬草まで手が回らない。


「薬草は育てるの難しいんだ。でもリタのおかげでうまく育てられるなら、この辺一帯のウリになるからね。それから帝国から導入した果樹を今増やしてるんだ。増えたらあげるね」

「ありがとうなのです!」


 バアルのお宝でもらった、油の多く取れるツバキもある。

 でもあれは量で勝負だもんな。

 ある程度面積が必要か。

 付近の集落だとどうかな?


「じゃ、今日は帰るね」

「さようなら」

「ゆーしゃさまのぜんとにさちあれっ!」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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