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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1497話:かれえと通貨単位統一と温泉と

『ユーラシアか?』

「そう。可憐で華麗でかれえが大好きな美少女精霊使いことあたしだよ」


 ヴィルでパラキアスさんに連絡を取ってもらった。


『かれえ、とは何だ?』

「『アトラスの冒険者』の運営母体のある異世界の食べ物だよ。今まで食べたことのないようなスパイシーな味と匂いで、しかも相当おいしいの。イシュトバーンさんも驚いてたくらい。食べただけじゃどうしてああいう味になるのか想像つかないんだけどさ。レシピを教えてもらったら、魔境に生えてる植物を使えばこっちの世界でも作れそうなんだ。今年中には再現してみせるよ」

『ハハハ、いつも楽しそうだね。完成したら私にも食べさせてくれ』

「もちろんだよ。ドーラの名物料理にして、帝国から観光客を呼ぶネタにするんだ」


 今年は米もある程度取れるはずだしな。

 かれえらいすの実現だ!

 くみん・こりあんだあ・たあめりっくの供給ができるようになったら、かれえの基本レシピを公開して、将来は食フェスもやりたい。


『今日はどうした?』

「午前中帝国の施政館に呼ばれてたんだ。ドーラには直接関係ないと思うんだけど、一応報告までに」

『何事だ?』

「ガリアの南東、帝国の東にテテュス内海ってとこがあるじゃん?」

『帝国の不毛な辺境開拓地区に面している海だな?』

「そうそう。テテュス内海は独自の交易圏を形成してて、内海に面している国の中にアンヘルモーセンって国があるの」

『ああ、内海で最も金持ちの国か』


 やっぱパラキアスさんは外国のこともよく知ってるな。


「アンヘルモーセンが、ガリアの腰巾着みたいなサラセニアって国にちょっかい出してるらしいんだ。悪魔達によると、アンヘルモーセンの天使崇拝の宗教もサラセニアに進出してるみたいなんだよね」

『ふむ?』

「簡単に言うとガリアとアンヘルモーセンが揉めると一大事。帝国も内海にタルガっていう植民地持ってるから、損を被りたくないってこと」

『帝国は武力にものを言わせる対応を取るのか?』

「新造の戦艦一艦を投入するって言ってたよ。でも基本的に消極的だと思う」

『何故わかる?』

「クンツっていう帝国軍のトップがそう言ってたこともあるけど、ソロモコ遠征の司令官だったツェーザル中将をタルガに送るって言ってたから」


 血気に逸った将軍なんて他にもいると思うよ。

 政治的に物事を考えることができて、しかもあの辺を探ってこられそうなあたしと面識があるツェーザル中将をタルガ植民地に置く方針に、施政館の意図が見える。

 つまり帝国にとって強みのある地でもない内海で、くだらん騒動に首突っ込みたくないってことなんだろうと思う。


『君はガリアの突っ込んだ情報を調べろって任務か?』

「うん。ガリアとアンヘルモーセンはマジで揉めちゃうのか、それとも秘密裏に手を組んでるのかわからんってことで」

『ではドーラに直接影響はなさそうだな?』

「まあね。でも次席執政官に戻るプリンスは事情を知ってた方がよさそーだから」

『ああ、細かい配慮をすまんな。了解だ。引き続きこの件について進展があれば教えてくれ』

「わかった」


 これでパラキアスさんも内海情勢の情報集めてプリンスに伝えるだろ。

 ドーラも国際的になってきたなあ。


『君も御苦労だな。無給なんだろう?』

「おゼゼに関しては大いにもの申したいね。ただガリアとは仲良くしときたいんだ」

『どうして? ガリアは遠いだろう?』

「商売でも何でも帝国とドーラが差し向かいじゃ、国力に差があり過ぎてどーしてもドーラは言いなりになっちゃうじゃん?」

『ハハッ、君はかなり好き勝手やってるように見えるが』

「あたしだって気を使ってるわ。ここにガリア他の国が入れば、帝国の我が儘ばかりは通らなくなるから、駆け引きの余地が生まれるでしょ?」

『……ユーラシアは帝国を含めた諸国を手玉に取ることを考えていたのか。大変に面白いな』


 悪いやつが面白がってるぞ。

 あれ? あたしも悪いやつ寄りの思考なのかな?


『具体的な方策として考えていることはあるか?』

「具体的っていうか、通貨単位を統一する国際的な組織があればいいなと思ってる。あとできればどりょうこうの統一も。今よりも自由に貿易できそうでしょ? それで帝国とガリアに主導権争いさせといて、ドサクサで本部をドーラに持ってこられないかなーと」

『通貨単位と度量衡の統一か。実に面白い。私ももう少し世界に目を向けることにするよ』


 パラキアスさんが世界の情報集めてくれると楽できるかなー。


「プリンスルキウスの結婚が来月半ばになりそうだって話は知ってる?」

『フリードリヒ公爵がそうした腹積もりでいるらしいということは』

「ようやくフリードリヒさんも本気みたいだよ。愉快なことになってきたねえ」

『公爵が乗り気ということは、かなり見込みが出てきたということか?』


 パラキアスさんはあえて口にしないが、プリンスの次期皇帝の目がということだろう。


「どーだろ? 見込みが出てきたのは確かだけど、いよいよ皇帝陛下が危ないから、今勝負かけとかないと出番がなくなっちゃうってことじゃないかな」

『ユーラシアは冷静だな』

「涼やかな目線の美少女だよ。パラキアスさん、じゃーねー」

『ああ、またな』

「ヴィル、ありがとう。次はイシュトバーンさんと連絡取ってくれる?」

『わかったぬ!』


 しばしの沈黙のあと、イシュトバーンさんの声がする。


『おう、精霊使いか。面白えことか?』

「出し抜けだなあ。面白くなるかどうかはイシュトバーンさん次第だよ」

『ん? どういうことだ?』

「明日の温泉、帝国の主席執政官閣下の娘ルーネロッテ皇女一四歳を同行させる了解を得ました!」

『いい女なんだな?』

「才能の塊みたいな子。イシュトバーンさんが気に入るのは間違いないよ」

『ほお? 楽しみだな』

『お父ちゃんの主席執政官閣下が溺愛してるんだ。閣下の頭があんまり働いてないタイミングで許可取ったから、あとでどうなるかエンターテインメントなの」

『相変わらずひでえな』


 含み笑いが通信越しに聞こえてくるわ。

 何と比べて相変わらずなんだまったく。


「今日そんだけ。じゃーねー」

『おう、明日楽しみにしてるぜ』

「ヴィル、ありがとう。魔境行くから、オニオンさんところで待っててくれる?」

『了解だぬ!』

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