表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1490/2453

第1490話:輸送隊の未来

「サイナスさん、こんばんはー」

『ああ、こんばんは』


 毎晩恒例のヴィル通信だ。


「エメリッヒさん、あれからどうだった?」

『レベルが上がったことによる身体能力の向上に改めて気付いたようだぞ? 身体が軽いってジャンプして、屋根庇に頭をぶつけてた』

「何やってんだよもー。あたし達はエメリッヒさんの頭脳に用があるんだから、ぶつけるなら頭以外の場所にしてって言っといて」

『干からびるほどドライでひどい』


 アハハと笑い合う。


「アレク達も帰ってきたよね?」

『ああ。エメリッヒ氏との顔合わせは明日だな』

「よしよし、予定通りだな。よろしくお願いしまーす」


 これでスキルスクロールの生産体制は万全だな。

 アレク達がエメリッヒさんとどう付き合うかも楽しみ。

 エメリッヒさんもアレク達から刺激を受けるんじゃないかと思う。

 魔道かまどや石けんの研究も進むといいな。


『レイノスのセレシア族長からの伝言だ。帽子ができたから来てくれと』

「わかった、ありがとう」


 以前頼んだヴィルとマーシャの夏用の帽子だ。

 取りに行かねば。


『最近、輸送隊員になりたがる人が増えているんだ』

「いいことではあるね」

『ああ、画集や札取りゲームなんかのヒットが続いてるだろう? 輸送隊員への報酬も多くなってて、羽振りが良くなってるんだ』

「今回のスクロールなんか特に儲かるだろうしなー」


 ただし今の交易規模で輸送隊員なんかがメッチャ儲かるわけはない。

 未成年の輸送隊員が小遣いを稼いではしゃいでるってレベルじゃないの?

 あるいはカラーズの貧しさを如実に表してるものかもしれない。


『隊員を増やすつもりはないのかい?』

「それはあたしの考えに左右されるんじゃなくて、輸送隊が組織で隊員を増やしたいかどうかの問題じゃん。でもこの前インウェンに、増員が必要だと思うとは言われたな。開拓地の移民が交易に参加したがってるからって」

『となると当然増員は移民から?』

「ってのが自然だね。サイナスさんも同感でしょ?」

『ああ』


 今後は畑仕事に慣れてない移民も増えるだろうし。

 インウェンやサブローさんと相談して、希望者から輸送隊向きの人選ぶのがいいんじゃないかな。

 カラーズ各色の民と移民との融和や意思疎通にも有効だと思うし。


「カラーズからヒット商品が出て、輸送隊員が潤うのはいいことだけどさ。いつまでも続くもんじゃないから、レイノスから仕入れてくる商品で儲けられるようになって欲しいんだよね」


 商人の目を持ってもらいたいのだ。

 ただものを作ってるだけじゃなくて、どういうものが売れるのか、儲かるのか。

 鋭い視点が今後の発展には必要だと思うから。


『当たりハズレはあるようだな。レイノスからの交易品では酒が人気商品だったんだが、ここのところ買い込み過ぎてダブついてるようだ』

「いいこと聞いたわ。買い叩いてデス爺へのお土産にしよ」

『わざわざ買い叩かなくても』

「ジョークだってばよ」

『ユーラシアの場合……まあいいや』


 諦められたぞ?

 お酒は腐るものじゃないから、そー安くならないことくらいはわかってるのだ。


『魔境へ連れてったんだろう?』

「エメリッヒさんを? もちろん」

『意図があったのかい? 君の玩具にしたいだけじゃなくて』


 おかしいな、そーゆー認識なのか?

 特に玩具にしたい意図はなかったんだが。


「エメリッヒさんは普通の魔法使いじゃなくて、『魔力操作』っていう固有能力持ちなんだ。うちのパーティーだとアトムが持ってるやつなんだけど」

『ほう、どういう固有能力なんだい?』

「最初に受けた説明だと、他人にマジックポイントを分け与えることができるってことだったな。でもレベルが上がってくると、魔力の流れが見えるらしいんだよね。結構有用だと思う」


 どうも固有能力って、レベルが上がってきてから出てくる効果は知られてないような気がする。

 レベルの高い者があんまりいないってこともあるんだろうな。


『魔力の流れは君もわかるんだろう?』

「あたしがわかるようになったのはレベル六〇近くになってからだよ。『魔力操作』持ちはレベル二〇くらいで見えるみたい」

『いずれにしてもエメリッヒ氏の研究には大変有用だな』

「だけじゃなくて、魔法医としても有用なんだよ」

『魔法医?』


 これは説明が必要だな。


「身体を流れてる魔力の流れがわかるの。で、悪い部分は魔力の流れが滞ってるものなんだよ」

『つまり、悪い部分に『ヒール』すれば治る?』

「原因が損傷の場合なら治るね」

『魔法医ってそういう医術なのか? ただ回復魔法を当ててるだけじゃなく?』

「適当に回復魔法撃ったって治る時は治るだろうけど。クララを見てると、効果範囲をかなり絞って単位面積当たりの出力を上げないと効きが悪いみたいだぞ?」

『だから魔法医は当てにならないって話になるのか』


 実によろしくないのだ。


「魔法医ビジネスはチャンスかもしれないけど、どーもあんまり気が進まないとゆーか」

『何故だい? 他人に感謝されて儲かるのは、君のウィンウィン理論に沿う気がするんだが」

「多分あたしの聖女魂が癒しを施せって叫ぶからだと思う」

『商魂、聖女魂に完全敗北』

「あれ? それはそれで面白くないね」


 聖女大勝利はともかく。


「エメリッヒさんに悪いところを正確に教えてもらって『ヒール』撃てば、関節の痛みや古傷の類なんかの症状が緩和するはずだよ」

『ありがたいな』


 エメリッヒさんを移民やカラーズの面々に親しませるというか馴染ませる必要があるなら、魔法医サービスも手段の一つとしていいかもな。

 ただエメリッヒさんの研究時間を、魔法医のマネごとで使って欲しくないという思いもある。

 『魔力操作』持ちが有用なのはわかったので、どこかで見つけたら積極的にレベル上げしたい。


『ドワーフの村はどうした?』

「どうってことはないな。ドワーフって面白いんだ。気取ってオレの仕事は安くないんだぜって言うんだけど、お肉の香ばしい匂いには勝てないの。普通に仕事受けてくれるから問題ない」


 転移の玉のでき上がりが楽しみだ。


「眠い。サイナスさん、おやすみなさい」

『ああ、御苦労だったね。おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『はいだぬ!』


 明日はルーネの杖が完成する日だ。

 ナバルさん連れて帝都だな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ