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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1489話:ドワーフに注文を出す

 クララの飛行魔法で灰の民の村まで戻ってきた。

 フワリと舞い降りる。


「ただいまー」

「やあ、随分ゆっくりだったね」

「魔境も寄ってきたから、予定より遅くなっちゃったな」


 魔境? またか? みたいな顔してるサイナスさん。

 しょうがないじゃん。

 エメリッヒさんの持つ固有能力『魔力操作』は、レベル上がると魔力の流れが見えるようになるのだ。

 研究捗りそーだし、魔法医の素養としても重要なんだもん。


「いやあ、くたびれたぜ」

「そお? 連れ回しちゃってごめんね」


 サイナスさんがほら見たことかって顔してるけど、あたしのせいじゃないわ。

 会う人会う人のキャラが濃いせいだわ。

 エメリッヒさんだってレベル上がってるんだから、身体がまいったってことじゃないはず。

 知らん人との面会が続いて気疲れしたんだろう。


 ……気疲れって実はあたしはよくわかんないのだが、世の中にはそーゆー不思議な現象があるそーな。


「あんたこれからどうすんだ?」

「もう一度魔境行ってお腹すかせてから、お肉持ってドワーフの村訪れようと思ってる」

「ええ? どんだけパワーが余ってんだ」

「無尽蔵なんですよ」


 クララも首コクコクしてる。

 でもうちの子達は反対しやしない。

 何故なら魔境もお肉も好きだから。


「夕方にはアレクっていうあたしの弟分が帰ってくるよ。塔の村のデス爺の孫で、ケイオスワードにはかなり詳しいの」

「今、スキルスクロールのチェック担当してるってやつだな? ん? あんたの弟分ってことは?」

「一四歳になったんだったかな。見た目年齢はペペさんより上」


 マジでケイオスワードに詳しいのかよって顔してるけどマジなんだってば。

 とゆーか皆顔で会話しようとしないで、声に出してよ。

 声帯が退化するぞ?

 地中の魔力を吸い集める技術もアレクに聞いてね。


「じゃあまたねー」


 転移の玉を起動して帰宅する。


          ◇


「御主人!」

「よーし、ヴィルいい子!」


 飛びついてきたヴィルをぎゅっとしてやる。

 エメリッヒさんと別れたあと、魔境でゆったりと時間を過ごし、お腹をすかせてきた。

 魔境は何度行ってもいいところだなあ。


 今はドワーフの集落の石造りの立派な門の前だ。

 門番が言う。


「おう、またあんた達か」

「ウルトラチャーミングビューティーのあたしだよ。お仕事を頼みに来たんだ」

「ははーん。しかし俺達は腕の安売りはしねえって言わなかったか?」

「聞いた。でもあたしはドワーフがお肉に勝てないことを知ってるから」

「肉が土産か。しかしその背負子に入るくらいの量じゃたかが知れてるぜ…… えっ? どんだけ出てくんだ。おかしくねえか?」

「これいくらでもものが入るマジックアイテムなんだ」

「お、おう」

「ごっそり持ってきたぞお!」

「おーい! 宴だ! 客人を歓待するぞ!」


 ハッハッハッ、ざっとこんなもんだ。


          ◇


「ごちそーさまっ! もー入んない!」

「もう入んないぬ!」


 満足満足。

 白く長い顎ヒゲの長老ドワーフが話しかけてくる。


「仕事を頼みたいという話じゃったか?」

「そうそう。この石をこっちの設計図通りに丸めて彫って欲しいの」

「ふむ、確かに黒妖石じゃな」


 あ、ドワーフは石に詳しいんだ。

 さすがと言えばさすが。

 当たり前と言えば当たり前。


「これが二個必要なんだ」

「ふうむ……文様化したケイオスワードかの? 魔道の装置のようじゃが」

「転移の玉って言って、使用者の魔力で特定の場所に瞬時に移動できる装置なんだ。これはノーマル人居住域二ヶ所に飛べるようになるやつ」

「ほう、過去にも転移術はあったと聞くが、失われた技術だと思っておった」


 へー、転移術って過去にもあったんだ?

 やっぱ伝承するだけでも危ないから、廃れちゃったのかなあ?


「文様が正確なら、間違って起動して移動しちゃったとしても大丈夫だぞ? 転移先は知ってる場所だからね。どうせあたしんとこに話が来るから、ちゃんとこの村に送り届けることは保証するよ」


 注意点はそれだけだよな。


「いくらでお仕事を受けてもらえるかな?」

「ホッホッホッ。いくらが妥当だと思いますかの?」


 ここへ来て駆け引きか。

 しかし相場が全くわからん。

 ドワーフしか持たない技術だから高くても仕方ないのだが、今後たくさん仕事を出す予定だ。

 最初から足元見られても面白くないしな?

 かといって、値切り過ぎて嫌々仕事されるのも困るし……。


「よし、言い値で構わないよ」

「ホッホッホッ。太っ腹なことですな」

「ただしあたしが高いと判断したら、次からお肉持ってこない」

「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」


 周りで聞き耳立ててたドワーフ達が、絶望したような表情浮かべてんじゃん。

 マジでお肉好きなやつらだなあ。

 まあコブタマンのお肉は絶品だし、この辺じゃいくらおゼゼ出しても手に入らないだろうからな。


「で、では一個五〇〇ゴールドでいかがですかな?」

「安過ぎない?」


 でも周りのドワーフの顔からすると、メッチャ安いというわけでもないようだな。


「じゃ、今回は二個一〇〇〇ゴールドでよろしく。サービスしてもらったと思っておくよ。先に払っとく。今日のはお試しで、いずれもっとたくさん注文すると思うんだ。次はもう少し高くてもいいからね」

「それより肉をお願いしますじゃ。明後日午後にはでき上がりますでの」

「りょうかーい。多分三日後、たっぷりお肉のお土産を約束するね」

「お願いしますぞ!」


 すげー必死にお願いされたぞ?

 お肉好きここに極まれり。


「あ、長老に聞きたいことがあったんだった」

「何でしょうかの?」

「碧長石のたくさん取れる場所に心当たりないかな?」


 ヒゲをしごく長老。


「碧長石、ですか。魔物除けでも作りなさるか」

「知ってるの?」

「過去、街道を作るということで、ノーマル人から碧長石の魔物除けを大量に受注したという記録があるのですぞ」


 西域街道の基石って碧長石の魔物除けだったのか。

 ビックリ。


「もちろん持ち込みの碧長石だったそうじゃ。比較的珍しい石ですでの。まとまって取れるところとなると、とんと見当が……」

「うん、ありがとう」


 ヒバリさんは大量の碧長石を手に入れることができ、魔除けにすることも知っていた。

 赤眼族とも交流があったのか?

 謎は深まるが。


「じゃ、帰るね。よろしくお願いしまーす」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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