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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1488話:魔道施設のアイデア

 フイィィーンシュパパパッ。


「やあ、チャーミングなユーラシアさん。いらっしゃい」

「ポロックさん、こんにちはー」


 ギルドにやって来た。

 まあポロックさんも気になるだろうけど。


「そちらは?」

「元宮廷魔道士のエメリッヒさん。移民として海を渡ってきたの」

「元? 宮廷魔導士とは大変に恵まれているものなのでしょう?」


 あ、何か問題起こしてドーラに来たのかって警戒してるみたい。

 ポロックさんに説明っと。


「今、カラーズでスキルスクロール生産を始めてるんだよ。でも魔道知識を持ってる人って少ないじゃん?」

「そうだね」

「魔道に詳しい人材をパラキアスさんに探してもらったんだ。で、引っかかったのがエメリッヒさん」

「宮廷魔導士を辞めたのは何故なのです?」

「研究に予算が下りないから嫌になっちゃったみたい。帝国は軍事関係以外の研究におゼゼを回してくれないの」

「ははあ、難しいものですね」


 苦笑するエメリッヒさん。


「せっかくだからドーラで働いてもらうことにしたんだ。スキルスクロールだけじゃなくて、帝国がおゼゼを出さなかった研究でもね」

「いいことですね。ギルドに来たのは?」

「ドーラの魔道に詳しい人には顔繫ぎしときたいんだ。ペペさんを紹介しようと思って」

「ハハハ、なるほど」

「じゃねー」


 ギルド内部へ。

 お店ゾーンに行くと……。


「御主人!」

「ゆーらしあさん!」

「よーし、あんた達はいい子だな」


 ヴィルとポーラが飛びついてきた。

 ぎゅっとしてやる。

 エメリッヒさんが後ろを振り向きつつ挙動不審だ。


「お、おい。目の覚めるような美人がいたんだが」

「おっぱいさん? 魔境で会ったオニオンさんの奥さんになるんだよ」

「あの小男の? ……世の中理不尽だな」

「それ多分ギルドの独身男性冒険者は全員思ってた」


 でもオニオンさんはいい人だよ。

 おっぱいさんにピッタリ。

 理解できない男はおっぱいさんを望む資格がないのだ。


 さて、オリジナルスキル屋へ。

 ヴィルを先行させてギルドに出勤していることは確認していた。

 予定通り寝ている。

 せーの。


「「たのもう!」」「たのもうぬ!」

「ふあっ?」


 飛び起きる外見詐欺魔道士。

 エメリッヒさんが動揺する。


「お、おい。彼女が?」

「帝国に輸出している水魔法『アクアクリエイト』や、今度輸出する盾の魔法『ファストシールド』の開発者だよ。ドーラ一の大魔道士ペペさん。言いたいことはわかるけど、年齢はエメリッヒさんよりずっと上」

「ええ?」

「あっ、ユーラシアちゃん? そちらは?」

「元宮廷魔道士で、移民としてドーラに来たエメリッヒさん。先々絡みがあるかもしれないから、ペペさんを紹介しとこうかと思って」

「よろしくお願いします」

「こ、こちらこそ」

「ペペさん。盾の魔法の量産始まったんだ。今月分のペペさんの取り分持ってきたよ」

「こ、こんなに? 水魔法よりずっと多い……」


 単価が高い上に、歩合が小売価格の二割と水魔法より高いからね。


「いずれ水魔法もペペさんの取り分二割にしたいんだけど、ちょっと先になる。ごめんね」

「えっ? いいのいいの。ユーラシアちゃんが私のこと考えてくれるのが嬉しい」

「ペペさん昼御飯まだでしょ? 食べようよ」

「じゃあ私が奢るね」

「やたっ! 奢りだ!」


          ◇


「何だこれ? メチャクチャ美味いじゃねえか」

「うまうまでつ!」

「食堂の大将の腕がいいんだよねえ」


 ワイバーンの卵フワフワ焼きに舌鼓を打つエメリッヒさんとポーラ。

 うちの子達も喜んでるし、よかったよかった。

 エメリッヒさんが聞いてくる。


「で、スキルを作るというのは?」

「ペペさんに頼むと、大体数日でスキル作ってくれるんだ」

「えへへー」


 ペペさんったらクララみたいな照れ方だな。

 見た目年齢も同じようなもんだ。


「数日? あり得ねえ……」

「やっぱそーか。ペペさんはどっかおかしいと思ってたんだ」

「普通スキル作成ってのは、調整にやたら時間がかかるものなんだ。実用レベルにまでブラッシュアップするには、数人がかりのプロジェクトで何年もかかる」

「本来数人がかりで何年も時間がかかるものなら、ペペさんの取り分は決して多くないな。大威張りでお金もらっていいからね」

「ありがとう!」

「論点はそこじゃねえ!」


 どこだったろ?


「不世出の大天才魔道士じゃねえか!」

「わかってるってば。もっともペペさんは自分の納得した仕事じゃないとやんないけどね」


 ペペさんに才能と情熱があることは事実だ。

 アーティスティックな魔法のロマンに魅せられて魔境に身を置き、自身のレベルアップと回復魔法陣の存在が膨大な回数の試行錯誤を可能にし、結果として魔道の深奥に手を届かせることができたのだろう。

 いかにペペさんに偉大な才能があろうとも、好き勝手魔法をぶっ放せる環境になければ、大魔道士たり得なかったに違いない。

 つまりドーラ人じゃなかったら、ペペさんの才能が花開くことはなかったのだ。

 環境って大事だな。


「エメリッヒさんはスキルスクロールの生産に携わってもらうけど、独自の研究もしてもらおうと思ってるんだ」

「宮廷魔道士としては何の研究をしていたの?」

「魔力かまどと石けんだって」

「へえ、生活が豊かになるのはいいわねえ」


 孤高の天才アーチストペペさんが日常重視の考えになってくれるのは嬉しいことだ。

 エメリッヒさんが大魔道士に認められてこそばゆいみたいな顔してる。

 エメリッヒさんは、魔力炉がなければ魔力の供給ができないと考えてたみたい。

 でもドーラには大地の魔力を吸い上げる技術がある。

 魔力を利用して何かするっていうアイデアを、魔力かまど以外にも持ってるんじゃないかな。 

 世界の発展のためにアイデアを吐き出すといいよ。


「生活水魔法の話を聞いて、魔道水利ってのも考えたんだ。スイッチが入ってる間だけ、水魔法で水を出すっていう。井戸いらずだな」

「おお? すげえ!」

「魔力かまどと組み合わせれば、いつでもお湯を浴びることのできる施設を作れると思う」

「素晴らしいじゃない!」

「これが天才の発想か」


 町で使うためには使った水を流す水路も必要になりそうだな。

 しかし面白いなあ。

 研究が進むの楽しみ。


「ごちそーさま。楽しかったよ。今日は帰るね」

「またね」

「さようならでつ」

「バイバイぬ!」


 新しい転移の玉を起動し帰宅する。

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